ミラノサローネ2010 レポート vol.03

 

昨年は森林のように白いポールを林立させ、それを背景に新作を展示していたmoroso(モローゾ)の空間構成。

 

今年もパトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)と建築家のマルティノ・ベルギンツ(Martino Berghinz)が、moroso(モローゾ)の文字をカッティングした発泡スチロールのパーツで構成された白いブースをつくりあげ、今年も多くの来場者の目を引いていました。ちなみにこれは終了後、リサイクルされるらしいです。

 

ここでも、パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)の人気は高く、新作チェアを数点出していました。新作チェアは、『SILVER LAKE(シルバーレイク)』(※写真1)。曲線を多く使うイメージのパトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)ですが、今回のこのチェアは多面的なフォルムでボリューム感のあるラウンジチェアでした。

 

また『Klara(カラーラ)』(※写真2)や、『Rift(リフト)』(※写真3)は素材を替えたものやカラーバリエーションが増され、展示されていました。

 

 

 

 

 

 

 

そして、今やミラノサローネの顔となった吉岡徳仁もこのmoroso(モローゾ)で新作を発表。しかし残念ながら新作チェア『Memory(メモリー)』(※写真4)は、初日にRHO FIERA (ロー・フィエラ)を回った私たちは見ることはできませんでした。このチェアは後日展示されたそうです。このチェアの素材を触るのか今回ミラノに来た最大の楽しみだっただけに、みることも触ることもできなかったことは本当に残念でした。

 

 

 

今年のmoroso(モローゾ)は各ブランドが新作発表を控える中、若手デザイナーを多く起用して新作を発表しているのが特徴的でした。

スウェーデンの女性だけのクリエイター集団FRONT は、いつもエキサイティングなデザインをみせてくれますが、今回も期待をうらぎらないものでした。球体をつなぎ合わせたこのラウンジチェア『WOOD CHAIR(ウッドチェア)』(※写真5・6)は布のように球体が柔らかくやさしく包みこむデザインで、座るとちょっとしたマッサージチェアのようで気持ちがよかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の椅子はNipa Doshi(二パ・ドーシ)とイギリス人男性Jonathan Levien(ジョナサン・レビアン)のユニットのデザインで『Paper Planes(紙ひこうき)』(※写真7)。方眼紙を曲げたような椅子で名前のとおり、紙ひこうきのような軽やかな椅子でした。

この椅子はトリアンナーレ美術館のSwarovski(スワロフスキー)の展示会場ではSwarovski(スワロフスキー)が織り込まれた生地の椅子もありました。私が今回の展示会で一番欲しいと思ったのがこの椅子です。

 

昨年のmoroso(モローゾ)のテーマでもある『アフリカ』でも、すでに発表しているセネガルのデザイナーDominique Petot(ドミニク・ペト)は、ハイビスカスやアイリスという花をテーマにした椅子(※写真8)で、ダイナミックで生命感を感じさせました。

 

 

 

 

また、日本の千代紙のような生地を張ったチェア『Sushi divider(寿司デバイダー)』(※写真9・10)を発表したEdward Van(エドワード・ファン・フリート)や、『ali baba(アリババ)』(※写真11)という名前のテーブルを発表したMarcello Jori(マルチェロ・ジョリ)など、まだまだ日本では知られていないデザイナーが多かったです。若手ならではの斬新なデザインで今回のミラノサローネRHO FIERA (ロー・フィエラ)会場を一番楽しませてくれたのが、moroso(モローゾ)の展示会場だったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真1:パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)の『SILVER LAKE(シルバーレイク)』

写真2:パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)の『Klara(カラーラ)』

写真3:パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)の『Rift(リフト)』

写真4:吉岡徳仁の『Memory(メモリー)』

写真5.6:クリエイター集団FRONTの『WOOD CHAIR(ウッドチェア)』

写真7:Nipa Doshi(二パ・ドーシ)とJonathan Levien(ジョナサン・レビアン)のユニットの『Paper Planes(紙ひこうき)』

写真8:セネガルのデザイナーDominique Petot(ドミニク・ペト)のデザインの椅子

写真9・10:Edward Van(エドワード・ファン・フリート)の『Sushi divider(寿司デバイダー)』

写真11:Marcello Jori(マルチェロ・ジョリ)の『ali baba(アリババ)』

(文:KEIKO YANO (矢野 恵子)  /  更新日:2010.05.25)

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