2014年4月、世界最大のデザインイベントMilano Design Week2014がイタリアミラノで開催されました。
ミラノローフィエラでは4月8日 (火) から13日 (日) までの6 日間、第53回Salone del Mobile.Milano(ミラノサローネ国際家具見本市)が開催され今年の来場者は、35万7,212人、内、業界関係者数(平日来場者数) 31万1,781人、全体で前年度比13%増でした。予想を超えた記録的な来場者数は、世界の好景気の復活を予感させる重要なものであり、開催国イタリアからの来場者はもとより欧米を中心とした世界160ヶ国からの来場者を集めました。
世界最大のデザインイベントMilano Design Week2014期間中に、世界に発信されたトレンドや新作をシリーズでご紹介しています。
第3回目の今回は世界の家具産業界を牽引するメーカーの新作が多く展示されているSalone del Mobile.Milano(ミラノサローネ国際家具見本市)会場から、イタリアのMagis(マジス)展示会の様子をお伝えします。Magis(マジス)はプラスチック素材の最先端の技術とデザインを日常の製品に取り入れ、インテリアデザインに新しい変化を与える家具・家庭用品ブランドです。
マジスは今年もいくつもの特徴ある新しいデザイン発表しました。
500㎡のMagis(マジス)の展示会場は、すでに発売されている製品のリニューアル色と新しい製品の新鮮な色を強調させるために、ニュートラルな展示台が設けてありました。
今回は500㎡と広い会場だったためか、コンスタンチン·グルチッチのトラフィックコレクションやハイメ·アジョンデザインのピナコレクションを一般の人にも開放したラウンジが用意されていました。
| Cyborg - Marcel Wanders
Marcel Wanders(マルセル・ワンダース)デザインCyborg(サイボーグ)のNEWバージョン。
Cyborg lord(サイボーグ ロード)の、ハイバックとアームを一体化させたデザインは過去と未来、王立博物館とSF小説のように時代を超越しています。そして、エレガントでフェミニンなCyborg Lady(サイボーグレディ)は、最高品質のファブリック、居心地の良さが印象的です。
Cyborgのフレームはプラスチックの4本足で工業生産できるごくシンプルなデザインです。ですが、対照的に背もたれは凝ったデザインがなされており、籐やファブリック、レザーなどのバリエーションがあります。椅子の表情や美的な質を決定付けるのは背もたれです。誰もサイボーグがプラスチックの椅子だとは言わないでしょう。 背もたれが籐でできているときは籐の椅子、木でできているときは木の椅子だと言います。
| Troy - Marcel Wanders
Troy(トロイチェア)は、デザインをアップグレードしました 。
すべての用途に使えるように理想的なアイテムでマッチングの楽しさを再発見しました。
| Kyudo - Konstantin Grcic
Konstantin Grcic(コンスタンティン・グルチッチ)の全く新しい実験的なキャンティレバーのKyudo(弓道 )という椅子。
座ることが楽しくなる快適な木製の椅子Kyudo(弓道 )は高性能なスポーツ用品のデザインに触発され、ブナの成型合板で作られました。弓道は日本語で「弓の道」の意味で日本の武術の名前です。
椅子の片面は、カーボンファイバーのシートと薄い木のレイヤーを組み合わせたリボンのような形になっています。カーボンファイバーを用いることによって、薄さを実現したと同時に、弾力性が加わり格段に座り心地が良くなっています。
カーボンファイバー自体は、デザインを強調するものではなく、控えめに用いられていますが、その本来の性質である耐久性の強さや弾力性がこの椅子に加えられました。
| Tuffy, Spike - The Wild Bunch - Konstantin Grcic
アメリカの伝説の強盗団The Wild Bunch(ワールドバンチ)から名をとったWild Bunch collection(ワイルドバンチコレクション)は、3年前3本足の昇降調節可能なスツールTom and Jerry(トムとジェリー)を発表。そして同時に二つの異なるテーブルButch and Topsy(ブッチとトプシー)とシェルフTyke(写真なし)がファミリーに加わりました。
今年は、2つの新しいメンバーにAと呼ばれる椅子Tuffy(タフィー)とSpike(スパイク)という名前のコンソール/シェルフを追加しました。
Wild Bunch collectionの遊び心とシンプルさを採用したSpike(スパイク)は、壁掛け式のシェルフです。棚やコンソールを作成する素材は、木材、金属、ガラス、大理石です。
Tuffy(タフィー)はTom and Jerry(トムとジェリー)の兄弟ですから、プラスチック製の同じ昇降機構を使っています。木製の4本脚と座席、T字型の背もたれの椅子Tuffy(タフィー)は、カフェやオフィスはもちろん、キッチンでも、学校、子供部屋とどこでも使えるワークチェアです。
| Traffic Low Table - Konstantin Grcic
Traffic Low Table(トラフィックローテーブル )
昨年発表し大ヒットしたTraffic collection(トラフィックコレクション)は、今年は大小の低いテーブルとおよびわずかに高いコンソールを発表しました。
テーブルトップスは人工大理石で、ワイヤーの曲げだけでテーブルフレームが作られています。
| Substance - Naoto Fukasawa
柔らかい曲線とぽってり木製脚付きシェル型シートの組み合わせで居心地の良い印象を与えるSubstance。椅子の名前であるSubstance (物質)と言う言葉は、形容詞ではありませんが、正しいこと適切なことを表現する際によく使われます。プラスチックやレザー、ファブリックなど異なるいくつかのマテリアルと、脚も異なる種類の木が選択できます。
| Piña - Jaime Hayón Pina
ハイメ・アジョンはPiña chair(ピナチェア)の成功に続く、新しいコレクションを発表 。
パイナップルパターンのユニークなワイヤー構造は、イージーチェアのフットスツールとして、ローテーブルとして、そして、遊び心のあるロッキングチェアとして表現されます。様々な仕上げで、Piñaがシンプルで大胆なフレームへと変身しました。
| Tibu - Anderssen & Voll
1997年Giovannoni(ジョバンノーニ)のボンボのガスリフト付きバースツールは、マジスの最も重要な発明の一つです。それを再構築して作られたのがTibu(テフ)。新しい方法の昇降機能と シートとフットレストが一体化した形状です。
| Calippo - Philippe Starck with A. Maggiar
Calippo は飛びたがっていたが、そんな才能は無く飛ぶことが出来なかったテーブルの物語である。
才能のあるなしに関わらず、それは飛べる可能性について信じていた。
そしてそれ自身の脚の下部を取り除き、透明で色の付いたアイス"Caloppo"に付け替えた。
そしてみんなそれが本当に飛んでいると思うようになった。
と、Philippe Starck(フィリップ・スタルク)は語っています。
| Big Will - Philippe Starck
Big Will は旅に出発したかったテーブルの物語である。
それは自分自身に言った:私は自分の車輪で旅ができる。
実際にやってみたのか、少なくとも試してみたのだが、それは二輪しかもっていないことに気づいていなかったので、ただただ伸びることしか出来なかった。その様子を見ていたそれのマスターは大喜びで繰り返した。「6人用にも十分だし、8人用にも十分な大きさだ」。
と、Philippe Starck(フィリップ・スタルク)は語っています。
世界のビジネスが動き出した証でしょうか、今年は他のブースでもワイドビックテーブルを多く見かけました。
| Officina - Ronan & Erwan Bouroullec
錬鉄 (ハンマーによる鉄の成形) はものづくりの技術の中で最も古いものの一つです。
マジスの Officina Collection では、この古代の製造工程が採用され、それを新たなビジュアルランゲージとして提供しています。その結果作られた幾何学的な形状で作られた脚システムは、さまざまな大きさおよび材質(スチール、木材、ガラス)の天板を保持することが出来ます。そうした構造的要素が、究極に洗練され、優雅で調和の取れた家具作りを可能にしました。
錬鉄の表面は、生々しく不完全であるため、特殊な揺らぎを持ちます。そうした不規則性と、道具によって付いた機械的な跡が形に反映され、工業的スキームに新鮮な空気の息吹を与えます。
| Theca - Ronan & Erwan Bouroullec
デザイナーロナン&エルワン·ブルレック兄弟は、マジスと協力し金属プレスの加工を研究しています。ミッドセンチェリーの北欧デザインを感じさせるサイドボードは、回りを丸く加工したアルミニウム板の側面で天板の無垢材やMDFを固定しています。天板や棚板はMDFを黒に着色したものとウォールナット、チェリー。
| ArcheToys - Floris Hovers
Me Too にも、新しく楽しいデザインがたくさん加わりました。ArcheToysは単純な形と色のメタル素材のモデルカーコレクションです。デザイナーの自分のモデルカーを作りたいという欲求からスタートしたこのプロジェクトはやがては壮大なプロジェクトになりました。
| Caravan - Ineke Hans
キャラバンは、笑うミラー、通常のミラー、ホワイトボードと遊び心いっぱいのマグネットで構成されたキャビネットです。
キャスター付きだから自宅や保育所、学校に移動可能。子どもたちはミラーを発見し、太った姿や背の高い自分を見て笑い、サーカスをテーマにしたレリーフの側面の装飾は鏡で反射され、想像力を含ませます。
世界で数々の賞を受賞し、ニューヨーク現代美術館やパリ国立近代美術館など、世界のミュージアムでパーマネントコレクションに選ばれているMAGISの家具や製品の数々は、担当するデザイナーたちの創造性と、ラテン語で"もっと"を意味する社名MAGISに由来する、常に最先端のものづくりに挑戦する精神から作られた細部にこだわりのあるものばかりでした。
サローネ・デル・モビーレ・ミラノは世界最大規模の家具展示会です。2500の出展、30万人以上の訪問者の規模を持ち、160カ国以上の人々が集まります。家具デザインのトレンドを押さえる上で欠かせないイベントとなっています。
http://www.milanosalone.com/
1976年設立のイタリア家具・家庭用品ブランド。世界を代表するデザイナーたちの創造性をもって、常に時代の変化を掴み、最先端のものづくりに挑戦している。
(文:KEIKO YANO (矢野 恵子) / 更新日:2014.07.25)