佐藤オオキを中心とするデザインオフィス nendo が、阿部興業創立70周年に合わせてデザインした7種類のドアのシリーズ「seven doors」を発表しました。
seven doors
for 阿部興業
木製の玄関扉や内装ドア、間仕切り、建具など、造作家具を主に製造する阿部興業の創立70周年に合わせてデザインされた7種類のドア。いずれも同じベーシックなドアをベースに、同社が保有する様々な技術や経験値を生かしたアイデアをひとつひとつ加えていった結果、新たな可能性を文字通り「開く」ような副産物がたくさん生まれることになり、単一の商品に留まることなく、今後の商品開発にも広がりを見せるプロジェクトとなっています。
lamp
玄関の電子錠に使用される配線の技術を使い、照明器具と一体化したドア。
baby
同社が保育園や幼稚園の建具なども手掛けていることから着想した、大人と子供がそれぞれ自分のサイズに合ったドアから出入りすることができるドア。
slide
窓の前にかかるブラインドのように、少し隙間を開けて光を取り入れたり、風を通したり、隣の部屋との繋がりを生み出したりすることができる。このように、引き戸の技術をドアに応用することで新たな価値を生み出すことを考えた。
hang
2.5mmのマグネットシートを内部に仕込むことで、様々なアクセサリーが貼り付けられるドア。トレーやゴミ箱、プランター、一輪挿し、コンテナなどを用意することで、単に人の出入りをするためだけだったドアに「モノを収納する」という新たな機能を与えることができた。
kumiko
和室の建具に使用されてきた組子の技術を生かしたドア。組子がグラデーション状にプレーンなドアへと変化していく。職人の手仕事と、高い工業力を併せもつ同社ならではの表現となった。
wall
普段、壁に固定される「棚」や「額縁」といった要素がドアも覆うことで、ドアの存在感が薄れ、これまで以上に壁に馴染むこととなった。棚と額縁の製作にはフラッシュドアのエッジの仕上げに使用している「Vカット」の技術を応用した。また、額縁は簡単に着脱が可能でありながらドアの開閉時に揺れないように、新たな接合部が開発された。
corner
部屋のカドから出入りできるようになることで、家具のレイアウトや間取りの考え方に変化が生まれることを目指したドア。結果的に、ドアが大きく開くことで車椅子での出入りが快適になるという副産物も生まれた。
photos by Akihiro Yoshida
(文:インテリア情報サイト編集部-1 / 更新日:2015.05.21)