【インタビュー】 世界に挑戦し続ける日本企業「maruni」マルニ


ミラノサローネ2013 Photos by Shigeta Satoshi

 

現在は売上も好調。世界各国への輸出も増えてきています。
売上のボリュームはもちろん日本が一番多いのですが、2009年から続けたミラノサローネ出展で、世界に輸出している国がいまでは25カ国に増えました。 数字がいいのは、オーストラリア、北米、欧州。

2011年には新たに、ジャスパー・モリソン氏もデザイナーとして加わり、MARUNI COLLECTIONは年々その世界観を広げております。
 

 

工場にイギリスのライフスタイルマガジンMONOCLEも取材に来てくれ、東京にあるTHE MONOCLE CAFEでも当社のHIROSHIMAやジャスパー・モリソン氏デザインのLightwoodをたくさん使っていただいています。ノルウェーのオスロ空港内にあるW.B.SAMSONという老舗ベーカリカフェなどでも当社の家具は使われています。

2010年、19年ぶりに売上が増収へ転換しました。

世界でブランドを確立している日本の家具メーカーが一社もない今「それはワシらの仕事じゃろ」、「うちらしか出来んじゃろ」と社内一丸となったマルニ木工は、その夢を実現させたのです。
 

真のクールジャパンとは・・・

近年、クールジャパンが騒がれています。日本のマンガ、アニメ、ゲームなどを、韓国の韓流ドラマやK-POPのように、現代流行文化(ポップカルチャー)を核にして、政府は観光ビジネスやコンテンツ産業で経済の活性を促していますが、騒がれるほどには経済成長や利益をもたらしていません。

そのクールジャパン戦略に木工加工技術が挙げられているのを知っている人はどのくらいいるのでしょう。

いまだに日本各地に多く存在する神社や寺などの木造建築物。神社仏閣の建築に携わる大工から伝承されたのが木工加工技術です。日本ならではの繊細な技術は、戦後、マルニ木工のように家具職人に受け継げられて来ました。

日本の脚もの家具製作の歴史は欧米に比べて浅く、50年くらいの歴史しかありません。しかしいまでは、脚もの木工家具で高い技術とシェアを持つデンマークの職人さえ一目置くようになりました。

マルニ木工の創業者がずっと提唱してきた“工芸の工業化”。

工芸的なものを工業製品として作る。ベースは機械加工で作るが最後は職人の手でひとつひとつ仕上げていく、“人と機械のバランス”を大事にしていこうという考えです。日本の木工家具を世界へ発信していくためには、一つ一つ全部を手作りで作っていくのではなく、ベースを機械でつくる工業化の整備がポイントになってくるのではないでしょうか。

木工加工技術はこれから先もずっと大切にしていきたい日本の文化です。この産業が空洞化にならないためにも、そのイノベーションは必要です。

為替レートに一喜一憂されない世界で勝負できる高品質でデザイン性のある家具をつくること。それが海外から評価される最高のクールジャパンになります。そして、そこには新たな産業や雇用が生まれます。

戦後私たち日本人は、欧米文化のライフスタイルにあこがれていました。しかし、今ではどこの国の国民より豊かなライフスタイルの文化を持っています。食文化は世界を制し、日本独自の美しく質の高い*消費財文化は、世界中から注目されています。

いまこそ、そのライフスタイルを世界に発信するべきです。それこそが真のクールジャパン戦略と言えるのではないでしょうか。

 

 

*「消費財」とは~人間が普段の生活を営んでいく中で最も身近に関わってくる様々な商品の総称。
  住宅、食品などを除いた家具・インテリア・家電・ガーデニング商品などの住まいに関わるもの、
  衣類・宝飾品・靴・時計などの身につけるもの、ギフト・ホビー・工芸品・レクリエーション・スポーツ
  関連商品など趣味・余暇にかかわるものなどが含まれ、他にも化粧品、文具、書籍、食器等々がある。

 

 


  マルニ木工 HP
  http://www.maruni.com/jp/

 

 

 




 

 

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(文:KEIKO YANO (矢野 恵子)  /  更新日:2013.08.12)

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