デザインが歩んだ歴史は、社会、文化、政治などの時代背景により、様々な建築の外観や表現上の共通点から、建築様式として時代の流れをみることができる。建築様式を通して室内、家具の歴史を紹介していき、古代から現代へ「建築様式から見る家具の歴史」を辿ってみよう。
<西洋インテリアの歴史 1>
古代、風雨から自分の体を守るため住居を造り、共同の空間を作ってきた。家具は地位と権威の象徴、宗教的役割として使われ、木材の他に大理石、ブロンズで飾られた装飾的なものが多い。上流階級に比べ、庶民の住まいは、狭い部屋の中で多数雑居の生活であった。
■ 古代エジプト
エジプト様式の特徴は、神殿や墳墓は石材で建てられ、柱をパピルスやロータスなど植物で意匠化した。
古王朝期(BC28〜23世紀)には、家具類は古王朝の王座にみるような支配階級のための、権威の象徴であった。
エジプト王朝時代の王座
■ 古代ギリシア
ギリシア古典建築は、アテネのアクロポリスにあるパルテノンの神殿にみられるような調和のとれたプロポーションで構成された。柱と梁は、三種類に分類されるオーダー(ドリス式、イオニア式、コリント式)で構成され、造形の基礎となった。
合理的生活のため家具は少なく、婦人用のクリスモス、食事と休息を兼ねた寝台など生活に合わせた実用的で簡素な形態のものが作られた。
クリスモス(婦人用の小椅子)
■ 古代ローマ
古代ローマ建築は、れんが造や石造に、コンクリート技術のアーチ・ヴォルト・ドームによる大規模な建築構造を用いた変化に富んだ内部空間が作られ、オーダーはローマ時代に至ると二種(コンポジット式、トスカナ式)が加わった。
家具類はギリシアより次第に装飾の度合いを強め、動物の彫刻などの装飾性が付加された。レクタス(寝椅子)は、家庭の最も高級な家具とされ、横になっての会食に使われた。
セラクルリス(儀式用の折り畳み椅子)、石の椅子 レクタス(寝椅子)
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(文:小竹 みちえ / 更新日:2015.10.22)