2012年春の開業が待ち遠しい、東京スカイツリー。これからますます発展しそうなこの周縁エリアが、「EAST TOKYO」として、いま注目を集めています。これまで、TOKYOといえば渋谷区や港区など西側エリアが文化の中心として牽引してきましたが、飽和状態となった今、建築家・アーティスト・デザイナーなど、あえてこの「EAST TOKYO」へ移るクリエイターが増えつつあるといいます。
そんな「EAST TOKYO」の新しいムーブメントを牽引する中心的役割として、期待が高まる「EAST PROJECT Mirror」。今年5月のオープン以来、数多くのメディアにも取り上げられ、その存在感は日に日に増すばかりです。
全面に隅田川を望むリバービューの立地もさることながら、インテリアデザインのセンスの良さも評判の同施設。
今回は、各フロアごと細部にまでこだわった空間作りについて、運営会社「バルニバービ」取締役、デザイン・企画開発室ディレクターの中島邦子さんにお話を伺いました。
まず、ピンク色が目を引くファザードデザインは、建築家の永山祐子さんが手がけたもの。
「改装前のビルの印象は、永山さんいわく『川の近くにありながら、川を感じられない』とのことでした」と中島さん。
そこでアイコンカラーとしてピンクを使用。開放感を表現しながら、ピンクを通して見る空間がモノクロに見えることから、古くは江戸時代から城下町として文化が栄えたこのエリアの“新と旧”を表しています。
1F「Cielo y Rio(シエロ イ リオ)」の第一印象は、元倉庫だったという場所だけに際立つ、4.5mもの天井の高さと、コンクリート打ちっ放しの壁とアート作品。
「コンクリートのカチッとした質感、冷たさだけで空間を作るのではなく、イスに花柄をもってきたり、クッションでやわらかさを演出しています。堅さとやわらかさ、両方に振り子を振らなければ、いい空間にはならないのではと思います」。
クッションなどのファブリック類は、海外のさまざまなショップなどで購入し、自分たちで製作することも多いとか。エントランス付近のシャンデリアは、アンティークにカサを別注。テーブル照明ひとつとっても、テーブルの並べ方に合わせてフレキシブルに動かせるよう、可動式に。前回の特集でご紹介した、中島さんの言葉「allowance」の考え方が活かされています。
中2Fは、ラウンジ風にソファー席が並びます。イスのレザーはカラーリングにこだわり別注。スタッフの間で、“プラダ・ブルー”と呼んでいた印象的な青は、この空間のアイコンカラーとなっています。
キッチンは、あえて全面をクリアにし、モノが作られるストーリーも一つのエンタテイメントとして、見せる工夫が施されています。「ちゃんと作っている安心感・安全性もお客さまにお見せすることができます」。
4Fは、8月4日にオープンしたばかりの卓球サロンバー「RIBAYON(リバヨン)」。
靴を脱いでくつろげ、卓球で遊べるという新感覚のバーです。「ここは天井が低いので、すべて低くすることを心がけました」と中島さん。
壁には、3枚のアート作品が。「この作品は、アーティストに依頼して作った連作です。遊び人の中年オジサンが主人公です」。また壁に直接描かれた街の風景も印象的です。
このように「友達の家に遊びに来たような感覚で楽しんでほしい」という、フロアのコンセプトに合わせた別注のしつらえをしながらも「クッションの中身を抜いたり」と、居心地の良さへの細やかな気遣いもありました。
床と絨毯の両方を使ったメリハリのある空間は、まさに“友達の家のリビング”。
初対面でありながら隣の席同士の卓球対戦が始まったりと、コミュニケーションが生まれる場としても、成功を収めつつあるようです。
EAST PROJECT "Mirror"
運営:株式会社バルニバービ
HP:http://www.balnibarbi.com/
リバーサイドカフェ「Cielo y Rio(シエロ イ リオ)」
営業時間:11:30 - 23:00 / Mon - Fri
9:00 - 23:00 / Sat,Sun,Holiday
卓球サロンバー「RIBAYON(リバヨン)」
営業時間:19:00 - 26:00
(文:制作_インテリア情報サイト編集部-1 / 更新日:2011.07.20)