企画展「建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”」

21_21 DESIGN SIGHTでは、2015年10月16日より「建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"」を開催します。

アメリカを代表する建築家 フランク・ゲーリーは、世界に衝撃を与えたビルバオ・グッゲンハイム美術館から昨年開館し話題を集めたルイ・ヴィトン財団まで、半世紀以上にわたり建築の慣習を覆し、世間の常識に挑戦する作品をつくり続けてきました。
見る者を圧倒し、人々の印象に深く残り続ける----その誰にも真似できない建築は、どのように生まれるのでしょうか。本展では、ゲーリーの創造の原動力である「アイデア」に焦点をあて、アイデアが生まれる背景や完成までのプロセス、建築家の変わらぬ信念と力強い姿勢を繙いていきます。

展覧会ディレクターには、エストニア国立博物館の設計や東京の新国立競技場基本構想国際デザイン競技のファイナリストとして国内外から評価の高い新進建築家 田根 剛を迎えます。田根は、自らの仕事にも大きな影響を与えたゲーリーの「アイデアの力」に注目し、「建築」「人」「技術」の三つの視点で展示を構成します。
会場には、ゲーリー建築の生命力に満ちた外観と居心地の良い内部空間を映像で体感できるプロジェクション・マッピングをはじめ、ひとりの人間としてのゲーリーの姿に触れられる「ゲーリーの部屋」が登場します。そして、つくっては壊し、またつくり、疑い、時に否定しながら生み出されるゲーリーのアイデアと、その実現に不可欠なテクノロジーや素材、建設プロセスを紹介します。
訪れる人々に驚きと発見、喜びと感動をもたらす建築家 フランク・ゲーリーの「アイデア」、またそれを実現しようとする彼の姿勢は、建築家や建築に携わる人のみならず、デザインやものづくりに関わる多くの人たちに、自由に発想することの楽しさと挑戦し続ける勇気を与えてくれるでしょう。
 

 

展示構成

[イントロダクション:ゲーリー建築のプロジェクション・マッピング]

ゲーリーの代表作の外観と内観を撮りおろし映像で複数の壁面に大きく投影。その空間を映像で体感する。


ビルバオ・グッゲンハイム美術館(スペイン・ビルバオ、1997)

現代のカテドラル(大聖堂)と称されたゲーリーの代表作。
たったひとつの建築が、スペインの地方都市を世界的に有名な都市へと変貌させた。

FMGB Guggenheim Bibao Museoa, 2015
(Photo:Erika Barahona Ede)
FMGB Guggenheim Bibao Museoa, 2015
(Photo:Erika Barahona Ede)


 


ウォルト・ディズニー・コンサートホール(アメリカ・ロサンゼルス、2003)

ウォルト・ディズニーの妻リリアン・ディズニーのアイデアで建てられたコンサートホール。
世界最高峰の音響と外壁のステンレスの表面加工には、日本の技術が貢献している。

Image Courtesy of Gehry Partners, LLP
Image Courtesy of Gehry Partners, LLP


 


ルイ・ヴィトン財団(フランス・パリ、2014)

2014年10月にオープンしたゲーリー最新作の美術館。
複雑に重なり合うガラスの外壁は、帆船をイメージして作られ、この建築のために20種類もの建築特許が開発された。

Photo:Iwan Baan
Photo:Iwan Baan


 


[ギャラリー1:「ゲーリーの部屋」]

ゲーリー自邸の映像に始まり、ゲーリーオフィスの部分再現やゲーリー自身のアイデアの原石となるような模型、建築家の日常を窺い知ることのできる写真などを通して、ひとりの人間としてのゲーリーの人物像に触れる。
また、ゲーリーがデザインした椅子「ウイグル・サイド・チェア」、「ウイグル・スツール」に座ることもできる。

 

ゲーリー自邸(アメリカ・サンタモニカ、1979)

1979年に安価な素材を組み合わせて改造した自邸は、ゲーリーが建築家として注目を集めるきっかけとなった。

Photo:Tim Street-Porter/OTTO

ゲーリーオフィス

フランク・ゲーリーの事務所である、ゲーリー・パートナーズの様子。
 

Image Courtesy of Gehry Partners, LLP


 

アイデアの原石

プロジェクトになる前の、布やアクリルのキューブ、紙などでつくられた模型。

Image Courtesy of Gehry Partners, LLP

リトル・ビーバー・チェア(1979)

1979年に発表した「エクスペリメンタル・エッジ・シリーズ」の一つ。
ダンボールでできた椅子は、使用するほどに使う人の身体になじむ。


 


[ギャラリー2-1:「アイデアを形にする」]

数々の模型とスケッチ、完成写真をプロジェクトごとに展示。
アイデアを試し、壊し、 捨てながら、アイデアが形になっていくプロセスを紹介する。


Facebook本社(アメリカ・カリフォルニア、2015)

端から端まで歩くと約15分もかかる、壁のない広大なオフィスは、依頼から完成までわずか3年間というスピードで建てられた。

Image Courtesy of Gehry Partners, LLP

 

UTSビジネススクール(オーストラリア・シドニー、2014)制作プロセス

シドニー工科大学の中に新しくオープンした建物。ゲーリーの設計プロセスは、四角いブロックを積むところから始まる。
クライアントが必要とする容積を確保した上で、さまざまな素材を使って外皮を検討するプロセスを、これらの模型とスケッチを通して紹介する。

Image Courtesy of Gehry Partners, LLP

 

Image Courtesy of Gehry Partners, LLP
Photo:Andrew Worssam


 

 

[ギャラリー2-2:「アイデアを実現する」]

ゲーリーの建築を可能にした最先端の設計技術、ゲーリー・テクノロジーズ社のBIM用ソフト「デジタル・プロジェクト」と、ゲーリー建築に使用されている日本企業の発色チタンや、ステンレスのモックアップを展示するほか、建設現場写真のプロジェクションを通して、ゲーリーのアイデアが実現されるまでのプロセスを追う。

 

ゲーリー・テクノロジーズ社「デジタル・プロジェクト」

一見複雑な建物もゲーリー・テクノロジーズ社のソフト「Digital Project(デジタル・プロジェクト)」を使用することで、発注・施工時のロスを大幅に縮小し、合理的な建設を可能にした。

Image Courtesy of Gehry Partners, LLP
Image Courtesy of Gehry Partners, LLP


 

エイト・スプルース・ストリート(アメリカ・ニューヨーク、2011)

ニューヨーク市マンハッタンに建つ76階建ての超高層マンション。
 

Image Courtesy of Gehry Partners, LLP

発色チタンの使用

スペインのワイナリーに建つホテル「マルケス・デ・リスカル」の屋根には、日本企業による端整でムラのない発色チタンが使用されている。

Photo:Marqués de Riscal


 

[開催概要]

会 期:2015年10月16日(金) ~ 2016年2月7日(日)
休館日:火曜日(11月3日は開館)、年末年始(12月27日 ~ 1月3日)
開館時間:10:00 ~ 19:00(入場は18:30まで)
入場料:一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
    *15名以上は各料金から200円割引
    *障害者手帳をお持ちの方と、その付き添いの方1名は無料
    その他各種割引についてはご利用案内をご覧ください
主 催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
後 援:文化庁、経済産業省、港区教育委員会、カナダ大使館
助 成:在日アメリカ合衆国大使館、一般財団法人安藤忠雄文化財団
特別協賛:三井不動産株式会社
協 賛:株式会社新建築社、YKK AP株式会社 窓研究所、Suzanne Blaug、William Erb
協 力:Vitra株式会社、キヤノン株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社、
    ゲッティイメージズジャパン株式会社
展覧会ディレクター:田根 剛(DGT.)
特別協力:Gehry Partners, LLP
企画協力:瀧口範子
会場構成:DGT.(DORELL.GHOTMEH.TANE / ARCHITECTS)
技術監修:遠藤 豊(LUFTZUG)
展示会グラフィック:AXIS
照明デザイン:海藤春樹
学術協力:伊藤公文
21_21 DESIGN SIGHTディレクター:三宅一生、佐藤 卓、深澤直人
同アソシエイトディレクター:川上典李子
WEB:www.2121designsight.jp

 

(文:21_21 DESIGN SIGHT  /  更新日:2015.09.05)

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