AINO AALTO(アイノ・アールト)Architect and Designer
―Alvar Aalt o と歩んだ25 年―展 開催
江東区東陽町にある、一般の方々から専門家まで「建築」を「愉しめる」GALLERY A4(ギャラリー エー クワッド)で、2016年8月12 日( 金)- 10 月31日( 月)まで「AINO AALT O(アイノ・ア-ルト)Architect and Designer ―Alvar Aalt o と歩んだ25 年―」が開催されます。
アイノ・マルシオ(後のアイノ・アールト1894~1949)が、まだ無名の建築家アルヴァ・アールトの事務所を訪ねたのは1924年(当時30歳)のことでした。この時から、彼との長いパートナー関係が始まります。彼女が加わったことで、アルヴァの作品は使いやすく心地よいという「暮らしを大切にする」視線が加わり、空間に柔らかさや優しさが生まれたといわれています。そのことが、彼を世界的建築家の道へと歩ませたといっても過言ではありません。彼の作品が、理屈や理論的主張が際立つ近代建築の中で、特異な位置を占めるのはアイノの影響が大きかったのは確かでしょう。
The Aalto house,Riihitie/1936 リーヒティのアールト邸
1932年、まだ国際的な名声を得る前のアルヴァ・アールトは、あるデザインコンペで妻のアイノに敗北を喫しています。その時の作品「アールトグラス」はミラノ・トリエンナーレでも極めて高い評価を得ています。二人は互いの才能を認めあい、影響しあい、補完しあいながら本当のパートナーとして作品を作り続けました。
villa Mairea/1939 マイレア邸
The items of the Bolgeblick 「 ボルゲブリック」シリーズ/1932
彼女は「日常生活こそデザインされなければならない。」という信念のもとに、家具や照明器具、食器やクロスなど多くのデザインを手掛けています。
The items of the Bolgeblick 「 ボルゲブリック」シリーズ/1932
小さな子供のグラスは滑らないように、しかも美しくデザインしました。従って、実用的で簡潔で、しかも安く大量生産が出来、一般大衆も手に入れることができることを目指しました。
Garden furniture set ガーデン家具
Children’schair/1929.1932 子どものための椅子
この考えは1930年代の精神に合致し多くの賛同者を得、モダニズムデザインの本流となり、代にまで引き継がれています。アイノがアルヴァらと設立した”Artek(アルテック)”も日常生活を豊かにするための家具や照明器具などを作ることが目的でした。シンプルでオーガニックなデザインは、今日でもなお多くの人々の賛同を得ていると言えます。
Restaurant Savoy/1937 レストランサヴォイ
villa Flora/1926 ヴィラフローラ(夏の家)
また、アイノは写真家としても作品を残しています。身近な被写体を通してその中に潜む本質を見事に引き出している視座は、彼女の非凡さを垣間見せてくれます。
今回の展覧会では、建築家・デザイナー・フォトグラファーとしてのAino Aalto(アイノ・アールト)の生涯を俯瞰するとともに、アルヴァ・アールトの妻として、母としての素顔にも触れたいと考えています。彼女の生きた時代はまさに戦争の世紀でした。祖国であるフィンランドは、大国ソ連とヒトラーのナチスに挟まれ、資源にも恵まれず決して豊かな国とは言えませんでしたが、その中で本当の豊かさを追い求めた彼女の生きざまは現代の私たちの暮らしにもヒントを与えてくれるものと思います。
■展示概要
・アイノ・アールトのデザイン:家具、照明器具、食器、他
・スケッチ、原図、写真、他
・ アールト自邸リビングのインテリアの再現
・レストラン・サヴォイのインテリアの再現
・ ヴィラ・フローラの模型
・その他 : ビデオ、他
■リーフレット及び図録
・会場リーフレットを販売予定。
Aino Aalto アイノ・アールト(1894-1949)
建築家アルヴァ・アールトの妻としてアルヴァを支え、建築家、インテリアデザイナー、企業家、写真家としてアールトと共に25年フィンランドの建築界をリードした。アイノはヘルシンキ工科大学卒業後、建築事務所勤務を経て、アルヴァ・アールトの事務所で働き始める。その6か月後にアルヴァと結婚。以来25年間のアルヴァとの協働作業が始まる。貴重面で実直な彼女は、奔放で行動的なアルヴァを支え、建築図面のほとんどを彼女がとりまとめたという。彼女の能力は建築設計にとどまらず、家具のデザインや食器、ファブリックにも発展し、その才能を発揮する。インテリアデザインの代表作としては「ヴィラ・マイレア/1939」、「レストランサヴォイ/1936」がある。また、「パイミオのサナトリウム/1932」や「子どものための家具/1929」では家具デザイナーとしての才能を開花させている。1935年、彼女は夫アルヴァと資産家であるマイレア邸のクライアント、マイレ&ハリー・グリクセン夫妻とともにArtek(アルテック)家具メーカーを創立する。アルテック設立はアイノのキャリアをさらに飛躍させる最も重要な転機でもあった。アルテックが現在まで引き継いできた品質の伝統は、彼女の力によるところも極めて大きい。ガラス器「ボルゲブリック」は1936年のミラノ・トリエンナーレで極めて高い評価を得ている。これに関連してアイノがデザインしたフィンランド館の会場構成もグランプリを受賞している。
【開催概要】
展覧会名:AINO AALT O(アイノ・ア-ルト)Architect and Designer ―Alvar Aalt o と歩んだ25 年―
会 期 :2016 年8 月12 日(金)~ 2016 年10 月31 日(月)
会 場 :Gallery A4( ギャラリーエークワッド)
東京都江東区新砂1-1-1
開館時間:10:00-18:00( 最終日は17:00 まで)
休館日:土曜・日曜・祝日 及び 8 月 15 日(月)~ 8 月 19 日(金)
入館料:無料
主 催 :公益財団法人 竹中育英会
共 催 :公益財団法人 ギャラリーエークワッド
後 援 :フィンランド大使館、フィンランドセンター
協 力 :アルヴァ・アールト財団、アルヴァ・アールト博物館、アールト・ファミリーコレクション
写真提供:アルヴァ・アールト財団、アルヴァ・アールト博物館
公式サイト:http://www.a-quad.jp
(文:インテリア情報サイト編集部-1 / 更新日:2016.08.06)