TOTOギャラリー・間 企画展
How is Life? ――地球と生きるためのデザイン
2022年10月21日(金)~2023年3月19日(日)
TOTOギャラリー・間(東京都港区)は、運営委員である塚本由晴、千葉学、セン・クアン、田根剛の4氏をキュレーターに迎え、企画展「How is Life?――地球と生きるためのデザイン」を2022年10月21日(金)~2023年3月19日(日)の会期で開催します。
建築やデザインを介して気候変動や社会格差など私たちを取り巻く障壁に風穴を開け、成長を前提としない繁栄のあり方を示している古今東西のプロジェクトを紹介します。
上段左より 塚本由晴、千葉学 下段左より セン・クアン、田根剛 ©Anna Nagai
塚本由晴 Yoshiharu Tsukamoto
建築家。1965年生まれ。1987年東京工業大学工学部建築学科卒業。1987~88年パリ・ベルビル建築大学。1992年貝島桃代とアトリエ・ワン設立。1994年東京工業大学大学院博士課程満期退学。1996年博士(工学)。UCLA、Harvard GSD、Colombia GSAPP、Cornel U、KADAK他で客員教授を歴任。現在、東京工業大学大学院教授。
千葉 学 Manabu Chiba
建築家。1960年生まれ。1985年東京大学工学部建築学科卒業。1987年同大学院修士課程修了。日本設計、ファクターエヌアソシエイツ共同主宰、東京大学工学部キャンパス計画室助手、同・安藤研究室助手を経て、2001年千葉学建築計画事務所設立、東京大学大学院准教授に着任。2009~10年スイス連邦工科大学客員教授ののち2013年より東京大学大学院教授。
セン・クアン Seng Kuan
建築史家。1976年生まれ。2011年ハーバード大学大学院博士課程修了。現在、東京大学国際建築教育拠点(SEKISUI HOUSE - KUMA LAB)特任准教授、米ハーバード大学デザイン大学院講師。専門は日本現代建築史。2021年より『a+u』誌チーフ・エディトリアル・アドヴァイザー。
田根 剛 Tsuyoshi Tane
建築家。1979年東京生まれ。Atelier Tsuyoshi Tane Architects代表として、フランス・パリを拠点に活動。北海道東海大学芸術工学部建築学科卒業。ヘニング・ラーセン、デイヴィッド・アジャイ事務所を経て、2006年DGT.(Dorell.Ghotmeh.Tane / Architects)設立 (パリ)、2017年Atelier Tsuyoshi Tane Architects設立(パリ)。
展覧会概要
TOTOギャラリー・間は、運営委員である塚本由晴、千葉学、セン・クアン、田根剛の4氏をキュレーターに迎え、企画展「How is Life?――地球と生きるためのデザイン」を開催します。
21世紀に生きる私たちは豊かな暮らしを享受する一方で、気候変動や社会格差、感染症の拡大等による世界情勢の変化など、さまざまな課題に直面しています。こうした状況を受け、地球環境に対し建築に何ができるのか、運営委員と議論を重ねてきました。その過程で、建築を「人びとの暮らしをよりよくすることに奉仕するもの」として捉え直し、生活に関連するあらゆる分野に目を向けてみると、私たちを取り巻く障壁に風穴を開けるような事例の芽がいたるところで見つかりました。こうした議論やリサーチが、建築やデザインを介した、成長を前提としない繁栄のあり方を探る本展のテーマ「地球と生きるためのデザイン(Designing for our Earth)」へと発展しています。
展覧会会場では、本展キュレーターチームからの問いかけ「How is Life?」に答えている古今東西の多彩な事例をリサーチから見いだし、紹介します。
一例として、2018年にフランスで開催された展覧会「Capital Agricole(キャピタル・アグリコール)」では、色鮮やかなドローイング等を通じて、農業と共存するパリと周辺都市の未来像を提示しています。「藤村記念堂」(岐阜県、設計:谷口吉郎)は、地元出身の文豪を慕う人びとの熱意に建築家が呼応し、物資に乏しい戦後の山村において、子供や女性を含む村人たちの手で1947年に建設されました。
かつて存在した営み、現在進行形で行われている取り組み、さらに今の日本ではまだ見ることができないもの――私たちが知る都市や建築とは別の可能性を感じさせるこうしたプロジェクトを提示することで、多様な解釈やさらなる議論を導くとともに、一人ひとりに気づきが生まれ、地球とともに生きていくための新たな視点を見いだしていただくことを期待しています。
TOTOギャラリー・間
「出展プロジェクト例」
Capital AgricoleSOA / Augustin Rosenstiehl, architecte | フランス、パリ、アルスナル建築博物館 | 2018 ©Yann Kebbi
Agnes Denes in Wheatfield – A ConfrontationAgnes Denes | アメリカ、ニューヨーク | 1982Copyright Agnes Denes, Courtesy LeslieTonkonow Artworks+ Projects, New YorkPhotograph: John McGrail
藤村記念堂谷口吉郎 | 岐阜県 | 1947 ©菊池重三郎
Market Street Cross SectionGehl | アメリカ、サンフランシスコ | 2010©Gehl
古民家ゆうぎつか茅普請主催:小さな地球+東京工業大学塚本研究室 | 千葉県鴨川市釜沼集落 | 2021- ©小さな地球
古民家下さん改修:小さな地球+東京工業大学塚本研究室 | 千葉県鴨川市釜沼集落 | 2021 ©小さな地球
展覧会コンセプト
How is Life?
産業革命以降手に入れた生産力を背景に、成長を是としてきた人類の活動は、プラネタリー・バウンダリー※1を超え、気候変動や南北格差をもたらし、声をあげることのできない生物や将来世代を搾取し続けている。その対応策として、成長の原動力となった産業や便利な暮らしを維持しつつ環境負荷を低減させる行動がSDGsとして推奨されているが、事態はより深刻で、持続的成長ではなく成長なき繁栄※2を本気で検討しなければならないところまで来ている。そのためには産業分野だけでなく、暮らし自体を見直し、その構成要素の一つ一つを、地球に負荷をかけない方向に転換していかなければならない。しかし、産業からサービスを買うことに慣れてしまった我々は、自らの手で衣食住やエネルギーを獲得するスキルをもたず、また産業社会的連関による包囲網はそこからの逸脱を容易には許さない。20世紀後半につくられた生産―消費―廃棄の想定を定着し続けてきた構築環境の中に暮らしていると、その想定を疑うことも容易ではない。そこで培われた自画像は、同じ想定に基づく構築環境や暮らしを再生産してしまう。その反復から抜け出して、成長なき繁栄を選ぶのならば、我々はどう生きるか?
建築が人々の暮らしをよりよくすることに奉仕するものであるならば、そうした包囲網を障壁として発見し、挑んでいくことから、建築的営為を始めるべきだろう。その時話し合いのテーブルにつくのは、今ここにいる自分達だけでなく、立場の弱い人、地球の別の場所にいる人、未来の人、そしてヒト以外の生物かもしれない。「How is Life?」という、彼ら、そして私達自身への問いかけを、建築展という形にする試みに、ご期待あれ。
TOTOギャラリー・間 企画展 How is Life?
キュレーター
塚本由晴、千葉 学、セン・クアン、田根 剛
出典
※1 プラネタリー・バウンダリー
Rockström, Johan, et al. "A safe operating space for humanity." Nature, vol. 461, no. 7263, 24 Sept. 2009, pp. 472+.
※2 成長なき繁栄
Tim Jackson (2009). Prosperity without Growth. Earthcan. (ティム・ジャクソン 田沢恭子( 訳 ) (2012).
成長なき繁栄 ―地球生態系内での持続的繁栄のために― 一灯舎)
【開催概要】
展覧会名(日)― TOTOギャラリー・間 企画展 How is Life? ――地球と生きるためのデザイン
展覧会名(英)― TOTO GALLERY・MA Special Exhibition: How is Life? ――Designing for our Earth
会 期 ― 2022年10月21日(金)~2023年3月19日(日)
開 館 時 間 ― 11:00~18:00
休 館 日 ― 月曜・祝日・年末年始休暇 [2022年12月26日(月)~2023年1月9日(月)]
ただし、2023年2月11日(土・祝)は開館
※TOTOギャラリー・間ウェブサイト(https://jp.toto.com/gallerma)にて最新情報をご確認ください。
入 場 料 ― 無料
会 場 ― TOTOギャラリー・間
〒107-0062 東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F ⇒ map
東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分
TEL:03-3402-1010
https://jp.toto.com/gallerma
キュレーター ― 塚本由晴、千葉 学、セン・クアン、田根 剛
アシスタントキュレーター ― 平尾しえな、アナスタシア・ゴリオミティー(東京工業大学大学院塚本由晴研究室)
展示デザイン ― アリソン理恵(ARA)、飯田将平+下岡由季(ido)
主 催 ― TOTOギャラリー・間
企 画 ― TOTOギャラリー・間運営委員会
(特別顧問=安藤忠雄、委員=千葉 学/塚本由晴/セン・クアン/田根 剛)
後 援 ― (一社)東京建築士会/(一社)東京都建築士事務所協会
(公社)日本建築家協会関東甲信越支部/(一社)日本建築学会関東支部
(文:制作 PR-M _PR制作部-1 / 更新日:2022.07.16)