蛍のように、明かりを集めて、スマートに照らす〜Tamura Nao〜
ミラノサローネサテリテ部門では、今年も何組かの日本人デザイナーの参加がありました。その中でも、今後最も活躍が期待されるデザイナーが、Tamura Nao(タムラ・ナオ)氏。昨年もサテリテ部門に参加し、コンクールでグランプリを受賞。受賞作品、木の葉のようなシリコン製のプレート「seasons(シーズンズ)」は、今年6月にイタリアのメーカーから発売される予定だそう。
その他、国内外のデザインアワードにおいて数々の受賞歴を持ち、KDDIやNIKE、イッセイ・ミヤケなど、世界的な大企業からのオファーを受け、プロダクトからグラフィックまで手がける、実力派若手デザイナーです。
今回の作品は、「alight」。人間が、無意識のうちにエネルギーを大量消費していることで、小さな虫たちだけではなく、自然を破壊していることを危惧、「エネルギーを必要な場所に、必要な分だけ」使うことそのものをデザイン。
蛍をモチーフにしたLED照明を制作しました。1つのライトは、11ワット。本が読める最低限の明るさのライトは、配線のどこにでも取り付けることが可能。ひとつで照らしたり、集めて明るさを出したりと、照度や形など、自由に使えるのが特徴です。「ライトをどこにでもつけられるような、配線そのものからデザインした」とタムラ氏。
テープ状の配線は、展示空間の中で自由に弧を描くほどの薄さ。絶縁のための透明テープのツヤ感も美しく、隅々にまでタムラ氏の美意識が感じられるものでした。
すでに省エネであるLED照明を、どうデザインし、どう扱うか。カタチのためのデザインではなく、使い方にもアプローチした配線のデザインは、エコとデザインの新しい関係を期待させるものでした。
(文:KEIKO YANO (矢野 恵子) / 更新日:2011.05.20)