お店や住空間、ホテル、公共の施設など、インテリアのプロフェッショナルが作り上げる空間は、華やかさや安らぎ、そして居心地の良さを感じることができ、心を豊かにしてくれます。ここではそのインテリアのプロフェッショナルを目指す人のための『インテリアの基礎知識』をご紹介します。
第8回は、前回に引き続き「ランプ」から、次世代の照明についてです。
有機EL照明
有機EL(エレクトロルミネッセンス、Electro-Luminescence)と呼ばれる物理現象を利用して作られた照明。
発光体は超薄膜の有機化合物なので、形状自体が薄く面発光が可能で様々な形状が作れます。また、面発光するため、指向性の強いLEDと比較して影の少ない柔らかな光となります。
ミラノサローネ2011のカネカのインスタレーション「yozakura」 2500枚の有機EL照明を使ってyozakuraを表現した幻想的なインスタレーション
演色性
Ra90以上と高い演色性をもちます。
効率・寿命
原理的に電子が光に直接変換されるため、熱損失が極めて低く発熱せず変換効率が高いので消費電力が低くなります。
有機ELパネルの寿命は約1万時間前後です。
消費電力
白熱電球の約1/4と低消費電力であるが、LEDほどではありません。
生産性
面発光させるために輝度を確保するために多層構造にしたりと通常の電球と比べて製造コストがかかります。
フレキシブル
発光体が薄膜化できるため、様々な形状で制作できます。
当初はLEDと比較して、消費電力・発光効率・寿命で劣るものの、高演色・面発光といった特徴から期待されてきた有機ELですが、現在では演色性で勝る高演色LED、面発光可能なLEDなどの登場で優位性が薄れてきています。
フレキシブル性を利用したデザイン照明としては利用価値が高いですが、コスト面の改善など課題はまだ多いです。
無機EL照明
無機ELと呼ばれる無機化合物の蛍光体に電圧を印加すると起こる真性エレクトロルミネセンスを利用した照明。
STUDIO NIJIの「Lactea」は無機ELを用いており、らせん状に光源とランプシェードが一体でが作られ、それ自体を伸び縮みさせることが可能となっている。
演色性
高演色タイプだと、Ra90以上と高い演色性をもちます。
効率・寿命
発光効率は有機ELに劣り明るさは低くなります。
寿命も約数千時間と有機ELと比較して短いです。
生産性
無機材料を利用するため有機ELよりもコストが安いというメリットがあります。
フレキシブル
ガラス基板をベースに作る有機ELに対し、無機ELはガラスのみでなくプラスチックを基板にすることもでき、制作した形状自体も曲げられるためよりフレキシブルです。
門脇 太一さんの 「KNOT LAMP」は軽くフレキシブルに曲げることができる無機ELファイバーを光源として使った照明。こちらも光源自体がランプシェードの役割を果たしている。
効率・寿命・生産性などの側面からLEDに遅れを取っている有機EL・無機ELですが、高いデザイン性を必要とする照明器具の製作では高い可能性を秘めていると言えます。
今回でインテリアの知識 照明編は最終回となります。
次回からの新シリーズにもご期待下さい。
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(文:インテリア情報サイト編集部-2 / 更新日:2013.05.29)