お店や住空間、ホテル、公共の施設など、インテリアのプロフェッショナルが作り上げる空間は、華やかさや安らぎ、そして居心地の良さを感じることができ、心を豊かにしてくれます。ここではそのインテリアのプロフェッショナルを目指す人のための『インテリアの基礎知識』をご紹介します。
インテリアの土台となり、空間全体の中で他のものを引き立てるための床材。
素足で生活することの多い日本では、見た目だけでなく足ざわりの良さも床材選びの重要なポイントとなります。
「インテリアの知識 床材編」では床材選びの際に役立つ床材の基本知識を紹介していきます。
第五回目は日本伝統の床材、畳についてみていきましょう。
畳
日本独自の床材で、和室の空間を演出するのに無くてはならない畳。ワラとイ草からなる畳は、通気性と保湿性を備え、夏には足に涼しく、冬には暖かいなど優れた性能を持ちます。また、空気清浄作用・芳香による精神的鎮静作用もあります。構造は畳表、畳床、畳縁から成ります。
◇ 畳表
主原料のイ草を緯糸(よこいと)に、綿糸や麻糸を経糸(たていと)として織られたもの。
畳表の品質はイ草の長さ、イ草の量、経糸の種類、産地などによって決まります。
左) イ草が長く、多量のイ草を使用した最高級品。織り込みが密で美しい仕上がりになっている。
右) イ草が短く、イ草の量も少ない普及品。高級品に比べて仕上がりにムラがある。
山下製畳 http://www.ys-tatami.com/
イ草の長さ
イ草は真冬に植え付け、夏に100~140cm の長さで刈り取られます。イ草は先端と根元が白っぽいため、長さが短いものだと織った段階で両端にその色が出てしまいます。この色ムラをなくすためには長いイ草を用いればよいが、長いイ草は収穫量が比較的少なくなるため希少価値が増し、高級品として扱われます。
イ草の量
畳表に使用するイ草の量は多いほど高級仕様となります。畳一帖分に使用されるイ草は並物で約4000本、中級品で5000本、高級品になると6000~7000本を使って密に織り込んだものになります。
経糸の種類
畳表を織る際に通す経糸には綿糸、麻糸が使用されます。経糸の強度が強ければそれだけ多量のイ草を織り込むことができ、密になり畳の目が美しい仕上がりになります。綿糸より麻糸の方が強度が高く高級になります。経糸の代表的な仕上げとしては、綿糸1本仕様、麻糸1本仕様、綿糸2本仕様、麻・綿2本仕様、麻糸2本仕様があります。
畳表の織り方
●普通目織り
一般的な畳表の織り方で、ひとつの目の中に経糸が2本入る。
経糸の間隔は均一になる。
●諸目(もろめ)織り
普通目織りよりも目が細かく織られたもの。
主に上敷用の畳表に使用される。
●目積(めせき)織り
ひとつの目の中に経糸を1本だけ入れた織り方で、目は交互になり配ができない。
琉球畳や座布団、ござなどに見られる織り方。
●大目織り
経糸の間隔が広い、主に龍髭(りゅうびん)畳表に使われる織り方。
龍髭畳表は茶室や床の間に使われる。
●掛川織り
大小の折り目を交互に繰り返す織り方で、福岡県産の花ござに使われる。
◇ 畳床
伝統的には畳床には稲わらが使用されていましたが、近年では様々な材質の畳床が作られています。代表的には三種類。全てを稲わらで作った「本畳床」。稲わらを上下層に、中層にポリスチレンフォームを挟んだ「ワラサンド畳床」。稲わらを全く使わない「建材床」があります。
本畳床
伝統的な畳床で、わらを何層にも重ね合わせ強度を持たせたもので、わらの質、積層数、縫目の間隔等で品質が決まります。わらは最低4段、高級品では6段以上重ねます。わらを交互に重ねることによって、畳床に強度を持たせることができ、長期間使用できます。 吸放湿性・耐久性・復元力は優れていますが、換気の管理が悪いとダニが発生する問題があります。現在では流通量が少なく、高級品として扱われます。
ワラサンド畳床
わらの間にポリスチレンフォームのインシュレーションボードを挟み込んだ畳床。わらのクッション性とポリスチレンフォームの断熱性・防音性、軽量の長所をあわせもっています。
建材床
わらを一切使わない畳床、現在の畳床の主流です。ポリスチレンフォームや、細かい木材を圧縮したインシュレーションボード(タタミボード)を使用したもの。品質が安定していて低コストのためほとんど全てのハウスメーカーで使用されています。ダニ、カビが繁殖しにくく、断熱性・防音性・耐久性等に優れています。種類は3タイプあります。
Ⅰ型
タタミボードのみで構成されたタイプ。断熱・防音に優れた上級タイプ。
Ⅱ型
ポリスチレンフォームの上にタタミボードを重ねた2層式タイプ。コンクリートに直敷きでき、重量も軽い。
Ⅲ型
タタミボードをポリスチレンフォームでサンドしたタイプ。Ⅱ型と比べて狂いが少なく、幅広い用途に使える。
現在最も普及しているタイプ。
左からⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型 / TTNコーポレーション http://www.ttn-corporation.net/
◇ 畳緑
畳内部にほこりが入り込んだり、畳の角が傷むのを保護する役割を持つ畳縁。化学繊維、綿、麻などの素材でできています。無地のものと柄を織り込んだものの、2タイプがあり、畳緑によって部屋の雰囲気がガラリと変わります。最近の洋風化したインテリアにマッチするように様々な色やデザインがあり、好みや用途によって選べます。
菱柄、草木柄、無地など様々なデザインの畳縁 / 高田織物株式会社 http://www.ohmiyaberi.co.jp/
◇ 畳のサイズ
一般的に一帖サイズは中京間(3尺×6尺 910mm×1,820mm)が基本ですが、地方によってサイズが異なります。
京間(本間間)
サイズ:955×1,910mm
主に近畿・中国・四国・九州で使用
中京間(三六間)
サイズ:910×1,820mm
主に愛知・岐阜・三重で使用
江戸間(五八間)
サイズ:880×1,760mm
主に静岡以北で使用
団地間
サイズ:850mm×1,700mm
公団住宅、アパート、マンション等で使用
次回は、コルク・籐・麻について見ていきます。
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(文:インテリア情報サイト編集部-2 / 更新日:2014.02.24)