壁とは、材料や建物の内外を問わず空間を分離している垂直の構造物の事を指します。
同じ壁といっても木が少ない地域では、石やレンガを基本素材としてきた組積造の壁が一般的で、古代から日干しレンガなどを用いていました。
伝統木造建築のような軸組構造の壁は、これとは性格が異なります。
日本のように骨組みの間を埋めるつくりの壁は、高温多湿の気候の地域に多く、室内空間も障子・襖などの建具類で分割され、壁自体が少ないこと、軽量なことが特徴となっています。
壁の仕上げについては様々ありますが、今回は壁タイルについて見ていきます。
身近な住宅の住まいや都市部の大規模建築、また海外の宗教建築や住宅・・・。
現在ある建築物の壁や床にタイルは使用されています。
素朴な土の味わいを持つもの、たっぷりと釉薬をかけたもの、ガラス、文様が描かれたもの、華やかな色合いのものなどバリエーションは豊か。耐候性、耐熱性や防火性、耐水性や防水性、清掃性などの機能性に加えて、その表情の豊かさもタイルの大きな魅力となっています。
■陶磁器ならではの性質
タイルは紀元前からの歴史を持つ焼き物建材、すなわち陶磁器である。したがって、陶磁器という観点から、タイルは磁器質、せっ器質、陶器質の3種類に分類されます。
3種類のうち、最も焼成温度が高いものが磁器質タイルで、焼成温度は1300度。高温で焼成するため焼き締まりがよく、素地には透明性があり、緻密で硬い。たたくと金属性の清音を発する。反面、収縮率が大きく、個々の寸法にばらつきがあります。吸水率が低いので、床、内装の壁のほか外装、寒冷地用のタイルとしてもよく使われています。
最も焼成温度が低いのが、陶器質タイルで、その焼成温度は1100度以上。素地は多孔質で吸水率が高いため、多くが釉薬をかけて仕上げられます。焼成による収縮率が少なく、寸法精度が高いので狭い目地幅でも対応できます。耐摩耗性に劣るため、ほとんどが内装の壁に使用されています。たたくと濁音を発します。半磁器質、硬質陶器質などと紹介されるタイルもこの陶器質タイルに分類されます。
磁器質タイルと陶器タイルのほぼ中間の性質を持つのがせっ器質タイルで、焼成温度は1200度前後。素地に磁器質タイルのような透明性はないが、焼締まりがよく硬い。わずかに吸水性があり、外部の床・壁、内装に使われています。
■釉薬の有無や製法にも違いがあります。
さらに、これらのタイルの素地に釉薬をかけたものが施釉タイル、かけていないものが無釉タイルと呼ばれています。
<施釉タイル>
ガラス質の「釉薬」と呼ばれるものをタイルの上に塗布して焼いたタイル。
施釉面からのタイルへの吸水が少なくなり、吸水性の高いタイルでも水周りに使用可能。汚れもつきにくく、掃除もカンタン。色のバリエーションも豊富で、価格も安い物からあり、種類も豊富です。
この施釉の中でも大きく分けて下記のように分かれています。
· ブライト釉 ・・・ 光沢のある釉薬
· マット釉 ・・・ 光沢のない釉薬
· ラスター釉 ・・・ 光彩をする釉薬
<無釉タイル>
「釉薬」を塗布していないタイル。
施釉ほど色のバリエーションは作れませんが、土の持つ本来の温もりや落ち着きを感じることが
できます。施釉品とは違い、原料土自体に色をつけるので、タイルのカケができてもタイルの中まで同じ色なので目立つことはありません。
□製法による違い
・乾式プレス成形 ・・・ 粉末にした原料を高圧でプレスする
収縮率が少なく、安定した品質が特徴で大量生産に向いています。
内装用タイルはプレス成形によるものが多くなっています。
・湿式押出し成形 ・・・ 原料を練り土状にして押し出す。
1枚1枚の表情の豊かさが持ち味となっています。
■目地材の進化によりさらに使いやすく
さらに昨今はタイルの目地材の進化も目覚しい。
目地の汚れやカビがタイル仕上げの弱点でもありましたが、目地材の防汚性や防カビ性が高くなり、タイルを採用しやすなりました。また、テクスチャーやカラーバリエーションも豊かになり、目地によってタイルのデザイン性をより高めることができるようになっています。床暖房でタイルを使う際には伸縮に対応するエポキシ系樹脂など、弾性を高めた目地材も開発されています。
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(文:インテリア情報サイト編集部-2 / 更新日:2015.02.12)