壁とは、材料や建物の内外を問わず空間を分離している垂直の構造物の事を指します。
同じ壁といっても木が少ない地域では、石やレンガを基本素材としてきた組積造の壁が一般的で、古代から日干しレンガなどを用いていました。
伝統木造建築のような軸組構造の壁は、これとは性格が異なります。
日本のように骨組みの間を埋めるつくりの壁は、高温多湿の気候の地域に多く、室内空間も障子・襖などの建具類で分割され、壁自体が少ないこと、軽量なことが特徴となっています。
壁の仕上げについては様々ありますが、今回は漉き模様の和紙について見ていきます。
漉き模様の和紙
表情のある壁面を作るには、日本の伝統的技法をベースにした創作和紙を、壁装材として活用するのもおもしろいと思います。
和紙には、漉く工程や抄紙の途中で意匠を施す各種の技法があります。手漉きでしか出来ないことも多く、プリントやエンボスとはまったく別の味わいのある、テクスチャー豊かな紙となります。
抄紙技法(しょうしぎほう)による分類
紙を漉き上げる工程の中で、さまざまな模様をつける技法です。これらの技法は単独でも用いられますが、併用することでより繊細な表現ができます。
1.打雲(うちぐも)・飛雲(とびぐも)
打雲は、紙の天地に雲がたなびいたように藍や紫の繊維を漉きかけたもの、飛雲は同様の技法で空を飛ぶ雲を表したものです。現在ではこの技法を発展させ、草花・山水などさまざまな模様が漉かれています。
2.雲竜紙(うんりゅうし)
打雲の技法と流し漉きの特長を巧みに利用したもので、着色した繊維や手ちぎりの長い繊維などを使い、紙全体に雲の模様をつくりだします。この雲竜紙は漉き模様紙の中でも最も種類が多くて普及しています。
3.水玉紙(みずたまし)・落水紙(らくすいし)・水流紙(すいりゅうし)
簀の上の湿紙に水をかけて模様をつくる技法です。 水玉紙:水滴を散らして、水玉模様をつくります。 落水紙:湿紙の上に型を置き、水滴を落として模様をつくりだします。 水流紙:ジョウロや複数の穴の空いたパイプなどで水を流し、縞状の模様をつくります。
4.塵入り紙(ちりいりし)
本来はそぎ落としていた楮の表皮(黒皮)などの素材をあえて漉き込み、素朴な味わいを生み出します。
5.漉き合わせ紙(すきあわせし)
塵入り紙と違い、最初から装飾目的で2枚の紙の間に紅葉や笹など、さまざまなものを漉き合わせる技法です。
その他にも、下記のような技法があります。
○ 金銀粉(きんぎんふん)、雲母粉混入紙(うんもふんこんにゅうし)
三椏の繊維とよくからみ合わせた金銀粉、雲母粉を通常の紙料と一緒に漉き込む、上品な表現です。
○ 流し込み模様紙(ながしこみもようし)
湿紙上に模様の形の木や金属の型枠を置き、その中へ染色された紙料を流し込むことで模様をつくります。
○ 引っ掛け紙(ひっかけし)
水槽の中に浮遊している三椏や楮の繊維を薄い金属板のヘリに引っ掛けて持ち上げ、別に漉いておいた湿紙に付着させる技法です。
○ 透き入れ紙(すきいれし)
簀の上に紗(シャ)の型紙を貼って漉き、紙面に凹凸を与えて模様をつくります。
今回ここで紹介したのはほんの一部の技法です。最近では、国内外の各地でさまざまな方法が試みられています。
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(文:インテリア情報サイト編集部-2 / 更新日:2015.04.15)