インテリアの知識 建具編 Vol.5 框戸の構造

框戸の構造

建具とは閉てる具の意味で、建築の開口部を開閉するものの総称です。

工業製品の建具は、サッシもドアも戸と枠が対で生産されますが、従来建具は建具職人が制作し、枠は建築本体の造作材としてつくりこまれてきました。

一方、伝統的な日本の建具の最大の特徴としては、柱と柱の間に建て入れて、鴨居と敷居に彫った溝の中を滑って動く、スライド式の引き戸であることでした。ドアのように建具を前後に動かす開き戸方式では開放スペースが必要ですが、引き戸は場所をとらず、スライドさせるだけで、簡単に部屋をつないだり、区切ったりすることが出来ます。こうした機構によって、引き戸は日本の室内空間に見合う建具として、開き戸よりも普及していきました。



框戸の構造框戸

框戸は、框組構造でできています。框組構造とは、四周に框を回した内側に、格子や羽板、鏡板やガラス板などをはめ込んで一枚戸にした構造になっています。
格子戸や、洋館の雨戸として使われる羽板をいれた鎧戸(ガラリ戸)は、この框組構造でできています。框の接合方法は框板の幅や厚みで異なりますが、左右の竪框へ上桟と下桟を一枚枘(ほぞ)で差し込むのが一般的となっています。
上下の框の成が大きい場合には、枘穴による竪框の断面欠損を少なくして強度を増すために、一枚二段枘を使います。また、竪横とも框板に厚みがある場合は、二枚枘や二枚二段枘を使います。これらの仕口は手間がかかりますが、より丈夫な構造になります。

框の内側は建具の意匠によって小穴溝に格子や羽板、無垢板や合板、ガラス板をはめ込みます。框を組む時にはめ込む場合は、框の溝に上下で遣り返し(上の方の溝を深く掘って下の溝に落とす方法)、左右どちらかを押縁にして止めます。

厚い無垢板を鏡板として使う場合は、几帳面や銀杏面、ひょうたん面などの操形を框の内側四周に回し、額縁のように見せて押縁に使う方法もあります。また、框の稜(角)は手触りをなめらかにするために最低でも細く面をとるほか、框自体に繰形の細工をする場合もあります。このとき入隅が留(45度での接合)になるように、上下の桟を竪框に馬乗りになるよう加工します。

ほぞの種類と繰形の種類


上記意外にも枘の種類では、小根枘、平枘、割りくさび枘、上端留め枘などがあり、繰形の種類では、浮出し繰形、波繰形、玉縁、組紐飾りなどがあります。

鏡板やガラスの納め方

鏡板やガラス板の納め方

(図1)押縁
    「遣り返し」で上下を納め、左右どちらか、あらかじめ欠いておいた押縁で固定します。
(図2)落とし込み
    上桟を2枚にわって、その溝から落としてはめ込む。納めた後は、楔(くさび)などで上桟を固定します。
(図3)かんぬき
    半割した中桟の一方は框組と一緒に、もう一方は2枚の鏡板を入れた後、遣り返しで納めます。

 

 

 

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(文:インテリア情報サイト編集部-2  /  更新日:2015.09.03)

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