インテリアの基礎知識 建具編
VOL.6フラッシュ戸の構造
建具とは閉てる具の意味で、建築の開口部を開閉するものの総称です。
工業製品の建具は、サッシもドアも戸と枠が対で生産されますが、従来建具は建具職人が制作し、枠は建築本体の造作材としてつくりこまれてきました。
一方、伝統的な日本の建具の最大の特徴としては、柱と柱の間に建て入れて、鴨居と敷居に彫った溝の中を滑って動く、スライド式の引き戸であることでした。ドアのように建具を前後に動かす開き戸方式では開放スペースが必要ですが、引き戸は場所をとらず、スライドさせるだけで、簡単に部屋をつないだり、区切ったりすることが出来ます。こうした機構によって、引き戸は日本の室内空間に見合う建具として、開き戸よりも普及していきました。
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<フラッシュ戸の構造>
「flush(フラッシュ)」とは英語で平らな、とか同一平面の、という意味があります。
横桟・竪框等の骨組みの両面から 合板などを接着し 表面に桟(さん)組子の無い戸のことです。普及したのは合板が国内生産され始めた明治末期以降のことで、建具4種(襖、障子、框戸、フラッシュ戸)の中では最も歴史が浅いものです。
現在、フラッシュ戸には、額入りフラッシュ戸(図1)やガラリ入りフラッシュ戸(図2)、額・ガラリ入りフラッシュ戸(図3)などの種類があります。またフラッシュ戸に用いられる素材としては、ラワンやシナノキ(家具や造作、楽器などに用いられる広葉樹)、ポリエステル、メラミン板(ともに成形材に用いられる樹脂の1種)、突き板(丸太を軸に沿って削り取ってつくられる単板)などがあげられます。
・額入りフラッシュ戸(図1)
戸やドアの上部にガラスをはめ込んだものを「額入りフラッシュ戸」と呼んでいます。主に玄関ホールや廊下に面したところに設置される場合が多く、戸やドアを閉めたままで、玄関ホールや廊下の採光を確保できるのが特徴です。
・ガラリ入りフラッシュ戸(図2)
戸やドアの下部にガラリ(複数枚の羽板を平行に設置したもの)を取り付けたものを「ガラリ入りフラッシュ戸」と呼んでいます。おもにキッチンや勝手口、洗面所など、採光と同時に通風・換気機能が求められる場所に設置されます。
・額・ガラリ入りフラッシュ戸(図3)
戸やドアにガラスとガラリ(通風・換気用の羽板を設置)を取り付けたものを「額・ガラリ入りフラッシュ戸」と呼びます。おもに、採光と通風・換気機能が同時に求められる勝手口やキッチンや洗面所、廊下・玄関ホールに面した室内戸(ドア)などに使用されます。
フラッッシュ戸は芯材の框と桟の接合にはカッター止めを用いることが多く、強化策として枘継ぎにしたり中桟の数を増やすこともあります。フラッシュ構造ゆえに生じるくるいの問題には注意が必要です。
表に見えないからといって芯材に曲がりや節のあるものを使用すると反りが出るので、ほどよい質のものを選ぶ必要があります。また、空洞部が多く温度差で空気層の膨張収縮がおきやすいので、表面材に凹凸ができないよう空気孔を開けるなど対策を講じなければいけません。
逆に、芯材の空洞部を生かして防音や断熱、防火など目的に応じた充填材を入れて、強度と機能を高めることも出来ます。
表面仕上げ材として芯材の両面から各化粧合板を張り付けます。この仕上げ材の良し悪しでフラッシュ戸の見栄えと製品の格が決まります。見込み部分にも同じ素材を用いることが多いです。
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(文:インテリア情報サイト編集部-2 / 更新日:2015.09.17)