デザインを考えるとき、過去から引用することは多いです。それを効果的に活かすためには、その過去のものの持つ背景や思想についてより深く知り、考え、理解することが大切です。「もう一歩深く知るデザインのはなし」は、デザインに関する事柄からいくつかを取り上げ、その周辺や様々な背景について考えることで、読者の方々に「もっと知りたい」と思っていただくことを目指しています。
ひとつめのテーマは「曼荼羅(まんだら)」です。
「曼荼羅」とはなにか
いま、「仏教」が熱いです。TVにはよくお坊さんが出てますし、仏教本も相変わらず人気です。けれどもともと仏教の教えは複雑で難しいもの。それを分かり易く絵で示したものが「曼荼羅(まんだら)」。この記事ではその「曼荼羅」についてご紹介します。ブームに乗っているだけでは分からない、めくるめく深い「仏教デザイン」の世界をのぞいてみましょう。
もう一歩深く知るデザインのはなしvol.1/曼荼羅
優しく包み込む「胎蔵曼荼羅」
難しい仏教の教えを、分かり易く絵で説明してくれるのが「曼荼羅(まんだら)」。一見どれも同じ印象ですが、そのデザイン構成はさまざま。そのうち日本でよく見られるもののひとつが「胎蔵(たいぞう)曼荼羅」と呼ばれるものです。中央にれんげの花のような図案と最も偉大な「大日如来」が配置され、周りをたくさんの小さな仏様が取り囲んでいます。
もう一歩深く知るデザインのはなしvol.2/曼荼羅
クールで知的な「金剛界曼荼羅」
今回も曼荼羅のデザインについてのお話です。中央に花のような図案が置かれた、優しいイメージの「胎蔵曼荼羅」のほかに、もうひとつ日本でよく見られるのが「金剛界(こんごうかい)曼荼羅」というもの。これは人間が厳しい修行を乗り越え、悟りへと向かう過程が順に描かれているもので、整然としたクールなデザインになっています。
もう一歩深く知るデザインのはなしvol.3/曼荼羅
「曼荼羅の好み」から見る日本人気質
前回までの記事で、日本に伝わった2種類の曼荼羅について比較紹介してきました。クールな雰囲気で、デザインとして完成度の高い「金剛界曼荼羅」よりも、多少いびつでも包み込むような温かさのある「胎蔵曼荼羅」のほうが、日本では人気があります。このことに、実は日本人ならではのものの感じ方、考え方がよく現れているのです。
もう一歩深く知るデザインのはなしvol.4/曼荼羅
この記事は2012年に掲載した「もう一歩深く知るデザインの話」をシリーズごとにまとめたものです。
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(文:maki / 更新日:2016.01.21)