デザインを考えるとき、過去から引用することは多いですね。それを効果的に活かすためには、その過去のものの持つ背景や思想についてより深く知り、考え、理解することが大切です。「もう一歩深く知るデザインのはなし」は、デザインに関する事柄からいくつかを取り上げ、その周辺や様々な背景について考えることで、読者の方々に「もっと知りたい」と思っていただくことを目指しています。
ここでは、教会の聖堂を彩る光のインテリア、「ステンドグラス」について少し学んでみましょう。
神秘の光、ステンドグラス
皆さんは教会でステンドグラスを見たことがありますか?ステンドグラスを通った光が床に色とりどりの影を落とすさまは、とても神秘的。特にヨーロッパの中世カトリック教会のものは圧倒的な存在感です。精巧な図案で埋め尽くされ、単なる美しさを超えて執念のようなものさえ感じさせる大聖堂のステンドグラス。そこに込められた想いを紐解いていきます。
もう一歩深く知るデザインのはなしvol.10/教会のステンドグラス
一般庶民に「神様の存在」をアピール
中世ヨーロッパで数多く建てられたゴシック様式の大聖堂。華やかなステンドグラスが競って作られたのもこの頃です。それらは当時の庶民たちに「キリストはこの極彩色の光のように偉大な存在なのだ」というメッセージを投げかけ、神への畏敬の念を起こさせる力を持っていました。ステンドグラスは、キリスト教を庶民にPRするための「装置」だったのです。
もう一歩深く知るデザインのはなしvol.11/教会のステンドグラス
大聖堂のインテリアデザインに秘められた「願い」
中世ゴシック様式の大聖堂を建てた建築家たちは、極限まで聖堂を高くしようと努力しました。それだけではなく、内部の壁をたくさんの垂直線で埋め尽くすことで、自然に上の方に視線が吸い寄せられるような視覚効果を狙っています。そのデザインは天上にいる神様に少しでも近づきたい、という中世の人々の願いを表していると考えられるのです。
もう一歩深く知るデザインのはなしvol.12/教会のステンドグラス
この記事は2012年に掲載した「もう一歩深く知るデザインの話」をシリーズごとにまとめたものです。
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(文:maki / 更新日:2016.02.18)