Photo: Yukikazu Ito
デザイナー 辰野しずか
などや代々木上原にて
展覧会「A moment in time -ume-」開催
デザイナー辰野しずか氏の展覧会「A moment in time -ume-」のニュースレターが届いていますのでご紹介します。
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東京・代々木上原にある、およそ築60年の民家を改装し誕生した、オルタナティヴスペース「などや代々木上原」にて、デザイナーの辰野しずかによる展覧会「A moment in time -ume-」を2021年9月30日(木)まで開催します。
ものづくりの背景に見えるポジティブなエネルギーを見つけ、それらを膨らませて可視化してゆく、そんな視点から、家具、生活用品、ファッション小物のプロダクトデザインを中心に活動する、辰野しずか。デザインに取り組む上で「伝統的な素材や技術は、自然の中から派生するものが多く、それらが本来持っている魅力を見つけ、引き出すことを素直に行っている」と語る辰野のプロダクトは、自然の風景を彷彿とさせ、透明感や清涼感を感じさせます。
砂糖と水からできている飴で製作のプロダクト
この度開催する「A moment in time -ume-」は、辰野しずかにとって初となる自主研究による展覧会です。ここ数年「草木染」に心惹かれているという彼女は、本企画を着想するにあたり、などや恵比寿の庭にある樹齢およそ60年の梅の木と出会いました。本展では、その梅の木を用いて染められた「飴」で制作された作品が一同に展示されます。砂糖と水からできている飴は、温度や湿度によって溶け出してしまうかもしれないデリケートな材料であり、土に還る自然由来の素材です。展示が終了した後に、作品は全て土に還り、形は消えてしまいます。
はかなくも作品が消えてしまった後にも、人の心に、記憶の片隅に残るもの。本展を通じ、会場で皆様にも探っていただけたら幸いです。
Photo:Gottingham
予測ができず、はかなく、循環する美しさ
ここ数年「草木染」に心惹かれています。
木や草花が持っている色は、同じ品種であっても育った場所、
季節やその個性で色彩に違いがでるため、抽出するまで予測がつきません。
人間にはコントロールができない、その自然と生まれてくる予想外の現象は、
なんとも美しいものだなと思っています。
そして、はかなく消えゆくものにも心惹かれています。
もうそこにはいないのに、人の心に残るものは、美しいと感じます。
そんなものを探っていきたいと思いました。
この展示では、などやの梅の色の記憶を、
飴という透明なケースに閉じこめました。
作品は全て土に還って欲しいと考え、飴という素材に行き着きました。
砂糖と水でできているので、多少溶けるかもしれません。
それもまた予測がつきません。
展示が終わった後は、すべて土に還します。
形は消えてしまいますが、誰かの記憶の片隅に少しでも残ることができたらと思います。
辰野しずか
2021.7
砂糖と水からできている飴で作品を製作
《クリエーター紹介》
辰野しずか Shizuka Tatsuno
クリエイティブディレクター / デザイナー
1983年生まれ。英国のキングストン大学プロダクト&家具科を卒業。デザイン事務所を経て、2011年に独立。2017年より株式会社 Shizuka Tatsuno Studioを設立。家具、生活用品、ファッション小物のプロダクトデザインを中心に、企画からディレクション、ブランディング、付随するグラフィックデザインなど様々な業務を手掛ける。
【開催概要】
タイトル:A moment in time -ume-
アーティスト:辰野しずか / Shizuka Tatsuno
会場:などや代々木上原(東京都渋谷区西原 3-19-3) ⇒ map
会期:2021年8月7日(土)– 9月30日(木)
開場時間:金・土・日・祝(13:00 - 18:00 )
主催:などや、nanzo Inc.、Shizuka Tatsuno Studio Inc.
プロデュース:遠藤豊(LUFTZUG)、岡村俊輔 / 会場グラフィックデザイン:林琢磨 / 協力: nomena inc.、uraku
新型肺炎ウィルス感染拡大防止のため、混雑時はお待ちいただく場合があります。
※緊急事態宣言や、混雑状況に合わせ入場方法に変更が出る場合があります。などやの公式SNSにて随時ご案内致します。
※上記日時以外に来場をご希望の際は、事前にご連絡ください。連絡先→ ciao@nadoya.jp
Photo: Yukikazu Ito
-About nanzo Inc.
nanzo Inc.(株式会社なんぞ)が運営する「などや」は、建築ディレクターの岡村俊輔と、テクニカルディレクターの遠藤豊(LUFTZUG)が立ち上げた、芸術、文化、食、生活などの多様な発展と変化に対して、敏感に作用する場と感覚の構築を目指した施設でありコンセプトです。取り組みの始まりとして、まず恵比寿と代々木上原を拠点に、いずれもあと数年で取り壊される予定のおよそ60年を経た庭付きの民家を、建物の風合いを残しつつ建築工法のスタディを重ね、改修し活用するところから始めています。
展示やアトリエ、プライベートキッチン、コーヒースタンド、コワーキング、レジデンスなど様々な目的の場として活用できるオルタナティヴ・スぺースとして、人々を呼び入れながら実験的なプロジェクトを行い、創造的な交流ハブとして機能することを目指しています。
「などや恵比寿」では、通りに面した壁面の2階部分を大きく開口し、24時間、誰でも鑑賞可能な "Fuyu Gallrey(浮遊ギャラリー) " を開設。月替りでデザイン、アート、音楽、パフォーミングアーツなど領域をまたいだ企画展を実施。
「などや代々木上原」は、展示スペースの他、食を切り口としたコミュニケーションスペース "daidokoro(ダイドコロ)" 、コーヒースタンド "nadoya no katte(ナドヤノカッテ)" を開設し、週末に開催するマルシェなどのイベントを通して、さまざまな領域で活動する人々や、近隣の生活者を巻き込んだ、コミュニケーションを図ります。
これらの活動が、この場が無くなった後も発想や創造の起点となるよう、活動し続けます。
Official Site: nadoya.jp
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(文:制作_インテリア情報サイト編集部-3 / 更新日:2021.08.26)