国立新美術館 日本を代表するクリエイティブディレクター「佐藤可士和展」 開催



 

国立新美術館 佐藤可士和展 開催
2021年2月3日(水)~5月10日(月)

 

 

国立新美術館は、2007年の開館以来、「さまざまな美術表現を紹介し、新たな視点を提起する美術館」を活動方針に掲げ、デザインや建築の展覧会を定期的に開催してきました。この理念を体現する企画として、来たる2021年2月3日(水)から 5月10日(月)まで、日本を代表するクリエイティブディレクター、佐藤可士和(1965年生)の展覧会を開催いたします。

4都府県に対する緊急事態宣言の発令および政府からの要請を受け、 新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、 本展の会期は4月24日(土)までとなりました。ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

https://www.nact.jp/exhibition_special/2020/kashiwasato2020/


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1990年代、株式会社博報堂でアートディレクターとして斬新な広告プロジェクトを次々と手がけた佐藤は、 2000年の独立以降、企業から、幼稚園、病院、ミュージアム、エンターテインメント界、ファッション界、そして地域産業まで、多種多様な分野で革新的な VI・ CI計画やブランド戦略を手がけ、国内外から注目を集めてきました。デザインの根本原理 ―伝えるべき情報を整理してその本質を抽出し、誰もが一目で理解できる視覚言語・記号に置き換え、広く伝達する ―を、その本来の領域をはるかに越えた幅広い分野に適用する佐藤独自の稀有な方法論は、デザインの概念を拡張・刷新するだけでなく文化、経済活動、そして私たちの日常生活に至るまで、社会のすみずみに影響を及ぼしています。

過去最大規模の個展となる本展では、佐藤自身がキュレーションする会場構成のなかで、約30年にわたる佐藤の活動の軌跡を多角的に紹介します。展示室を巡る来場者は、佐藤の数々の仕事を「作品」として鑑賞する刺激的な体験を通して、その唯一無二のクリエイティビティを体感することになるでしょう。
 


佐藤 可士和 Kashiwa Sato  クリエイティブディレクター Creative Director
プロフィール
1965年東京生。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。株式会社博報堂を経て2000年独立。同年「SAMURAI」設立。ブランド戦略のトータルプロデューサーとして、コンセプトの構築からコミュニケーション計画の設計、ビジュアル開発まで、強力なクリエイティビティによる一気通貫した仕事は、多方面より高い評価を得ている。グローバル社会に新しい視点を提示する、日本を代表するクリエイター。主な仕事に国立新美術館、東京都交響楽団のシンボルマークデザイン、ユニクロ、セブン-イレブン、楽天グループ、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、ふじようちえん、カップヌードルミュージアムのトータルプロデュースなど。近年は武田グローバル本社、日清食品関西工場など大規模な建築プロジェクトにも従事。文化庁・文化交流使(2016年度)として、日本の優れた商品、文化、技術、コンテンツなどを海外に広く発信することにも注力している。著書に『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)、『聞き上手話し上手 38の可士和談議』(集英社)、『佐藤可士和の打ち合わせ』(ダイヤモンド社)ほか多数。毎日デザイン賞、東京ADC賞グランプリ、東京TDC賞金賞、朝日広告賞グランプリ、亀倉雄策賞、日本パッケージ大賞金賞ほか多数受賞。
公式サイト: kashiwasato.com


 

クリエイティブディレクターとは
クリエイティブディレクターの概念は、アメリカの広告業界で1950年代に誕生し、1960年代に一般に知られるようになりました。当時のアメリカでのクリエイティブディレクターは、広告制作を行うクリエイティブチームのリーダーとして、視覚表現を担当するアートディレクター、文章表現を担当するコピーライターなどの専門スタッフを一手に束ね、広告表現の方向性を定めて、制作進行を指揮管理する立場の人でした。日本では1960年代に広告業界にクリエイティブディレクターの語が導入されましたが、当初は広告代理店の制作部で、アートディレクター、コピーライター、CMプランナー(テレビ・ラジオのCM企画を行う日本独自の職種)の上に立つ「役職」のニュアンスでした。しかし次第に、広告の企画立案から最終の表現まで全体を監督する「職業」として認識されるようになります。日本の広告業界では、新聞・雑誌やテレビが主要な広告メディアであった70-80年代は、コピーライターかCMプランナーがクリエイティブディレクターを務めるのが一般的でしたが、メディアの多様化が始まった90年代には、アートディレクターがクリエイティブディレクターの役割を担うケースが増えていきました。一方、欧米では1990年代にファッション業界で、服飾デザイナーがクリエイティブディレクターとなり、ブランドコンセプトの構築から、服のデザイン、店舗設計、広告までトータルに監修するケースが現われました。1994年にGUCCIのクリエイティブディレクターに就任したトム・フォードは、その最も早い例に数えられます。日本では2000年代から、広告の枠を越えて、企業や商品のブランディングに携わるクリエイティブディレクターが徐々に現れてきましたが、その筆頭に挙げられるのが佐藤可士和です。佐藤は前例のない分野に次々と進出し、クリエイティブディレクターの活動領域をたゆまず拡げてきました。

 

 

 

展覧会の構成

THE SPACE WITHIN
子どもの頃からマンガの表紙やロゴ、標識などのマークが好きで、それらの中に一つの宇宙(スペース/SPACE)を見ていたという佐藤。本展のイントロダクションでは、佐藤の原点とも言える幼少期のコラージュ作品「宇宙」や、1989年の博報堂入社当時、Macintosh IIciを用いて初めてコンピュータでデザインした作品「6 ICONS」などを展示します。シンプルで明快、一度見たら忘れられないと評される佐藤のデザインのベースをなす思考法「超整理術」をはじめ、クリエイティブフィロソフィーにも触れながら、その人物像に迫ります。

 


「宇宙」 1974年 色紙のコラージュ 48×50 ㎝

 

 

ADVERTISING AND BEYOND
1989年に広告代理店の博報堂に入社した佐藤は、1990年代にアートディレクターとして斬新な広告表現を次々に打ち出したのち、2000年に独立し、活動の場を広げていきました。この時期の佐藤の功績として特に注目されるのは、デザインの力を通したメディアの拡張です。従来の広告展開の主軸は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の4大メディアでした。しかし佐藤はこの前提にとらわれず、人々の目に触れるもの全てが、デザイン次第で情報伝達の有効なメディアとなる可能性を提示していきます。佐藤は、CDジャケットや飲料のパッケージから、ショッピングバッグ、駅の連貼りポスター、ビルボード、街路を巡るラッピングバス、そして道端で通行人に配られるポケットティッシュまでもメディアととらえ、それら全てを統一性のある明快なデザインで貫きました。街のあちこちが、情報を瞬時に伝える「アイコン」となって連動し、人々の目に飛び込む。その街並みがテレビや新聞で報道されれば、広告になる。佐藤の画期的なデザインワークは、広告戦略そのものの刷新を導きました。このセクションでは、1990年代後半から2000年代にかけて佐藤が手がけた主要プロジェクトから、ビルボード、連貼りポスターなど屋外広告の傑作を、発表時のダイナミックなスケールで展示します。また広告キャンペーンの一環として展開されたグッズに加え、プロダクト、パッケージ、書籍の装丁などのデザインも紹介します。


グローバル旗艦店「ユニクロ ソーホー ニューヨーク店」
屋外広告(工事中店舗の仮囲い) 2006年

 

 


「ステップワゴン」 ポスター(B0判 2連) 1998年

 

 

THE LOGO
企業理念や商品・サービスの価値など、目に見えない概念のエッセンスを象徴的に視覚化したロゴは、コミュニケーション設計の要として、プロダクト、店舗や施設、社屋のサイン、名刺や封筒、アプリアイコンやホームページ、SNS、パッケージ、ショッピングバッグ、衣服のタグなど、さまざまな媒体に展開されます。そのためロゴには、いかにサイズや質感が変わったとしても、一貫したイメージを伝えることのできる明快なデザインが不可欠です。佐藤は、企業、教育機関、文化施設、病院、地域産業、服飾ブランドなど、多種多様な分野でクリエイティブディレクションを手がけるなかで、多くのロゴを制作してきました。それらはいずれも、一度目にしたら忘れがたい簡潔明瞭な造形と色彩を特徴としています。このコーナーでは、佐藤は展覧会ならではの趣向として、私たちが日々慣れ親しんでいる数々のロゴを、巨大な絵画やオブジェへと物質化し、壮大なインスタレーションに展開します。圧巻の大きなロゴはいずれも、企業・組織の理念や活動分野に由来する素材で制作されています。見えないものを鮮やかに可視化するとともに、まだ見ぬものを創り出す佐藤の圧倒的なクリエイティビティを体感してください。
 


「国立新美術館」2006年

 

 

THE POWER OF GRAPHIC DESIGN
紙を中心とする平面のメディアに展開されるグラフィックデザイン。佐藤がプロデュースするプロジェクトはきわめて多岐にわたりますが、全ての発想のベースには、グラフィックデザインがあります。このコーナーでは、選りすぐられたポスターの傑作を紹介します。シンプルで明快、鮮烈でパワフルにして、洗練された美しさが際立つ佐藤のグラフィックデザインは、見る者の目をとらえて離しません。


シャトー・ワイマラマ ワインエチケット
「MINAGIWA Kashiwa Sato Limited Edition」 ポスター
2020年 シルクスクリーン 105×75 cm

 

ICONIC BRANDING PROJECTS
佐藤は2000年代半ばから、企業、教育機関、文化施設、病院、地域産業、伝統文化、服飾ブランドなどさまざまな領域で、クリエイティブディレクターとしてブランディングのプロジェクトを数多く手がけてきました。対象の本質的価値を引き出し、それを端的に視覚化して社会にコミュニケーションするブランディングにおいて、佐藤が一貫して追求してきた戦略が、目に触れるあらゆるものをメディアととらえ、デザインを通して「アイコン」にすることです。その基本となるのはロゴですが、商品も、店舗やオフィスなどの空間も、建築物も、それらが存在する街の風景さえも、佐藤は効果的かつ的確にコンセプトを伝達するアイコンへと変貌させてきました。たとえば、有名な「今治タオル」のブランディングでは、商品の真っ白なタオル自体が「安心・安全・高品質」を象徴するアイコンとなり、明快なロゴとセットになって、見る者の記憶に鮮明に残るビジュアルアイデンティティを確立しています。また、リニューアルを総合プロデュースした東京都立川市の「ふじようちえん」では、ユニークな楕円形の園舎の建物(設計:手塚貴晴・手塚由比)が、「園舎自体が巨大な遊具」という佐藤のグランドコンセプトを体現し、幼稚園そのもののアイコンとなっています。このセクションでは数々のプロジェクトを一挙に紹介し、進化を続ける佐藤独自の「アイコニック・ブランディング」の革新性に迫ります。


「今治タオル」 ブランディングプロジェクト トータルプロデュース 2006年-
 


「ふじようちえん」 リニューアルプロジェクト トータルプロデュース 2007年

 


「日清食品関西工場」 トータルプロデュース 2019年

 

 

LINES & FLOW
このセクションでは、佐藤自身の「アイコン」とも言うべき二つのアートワークのシリーズ、「LINES」と「FLOW」の対比的なインスタレーションを展開します。本展のキービジュアルにもなっている「LINES」。クリアな赤・青・白の直線で構成されるこの作品は、無限に組み替えられ、油彩画、陶板、映像…と、ありとあらゆるメディアに展開される可能性を秘めています。それは、デザインが及ぶ領域を絶えず拡張し、既存のさまざまな枠組みを塗り替えてきた佐藤の活動そのもののアイコンといえるでしょう。本展では全て新作として、コンセプトムービー、有田焼の陶板作品と組皿、そして初公開となるステンレススチールを用いた大型作品をご覧いただきます。「LINES」の幾何学的構成とは鮮やかな対比をなす、大きな和紙に描かれた有機的なドローイングのシリーズ「FLOW」は、青の岩絵具をたっぷりと含ませた大筆の一振りから生じる作品です。紙にいっさい触れることなく、動力と重力だけで描かれる「FLOW」には、佐藤の身体の一瞬の動きを通じて、目に見えないエネルギーやパワーが可視化されています。対象の本質に最もふさわしい表現スタイルを追求する佐藤は、ときにはコンピュータではなく、自らの手で描いた魅力的なイラストやドローイングをデザインに生かし、高く評価されてきました。「FLOW」は、この「画家・素描家」としての佐藤の卓越性を象徴するアイコンといえます。本展では「FLOW」の最新作3点を、その前身に位置付けられる有田焼のシリーズ「DISSIMILAR」とともに紹介します。岩絵具が空中に飛び散る一瞬をとらえたダイナミックな映像作品も見どころです。

「LINES」 2020年 吹付塗装/ステンレススチール 121×182 cm

 

【開催概要】
佐藤可士和展
会 期:2021年2月3日(水)~5月10日(月)
毎週火曜日休館
※ただし、2月23日(火・祝)、5月4日(火・祝)は開館、2月24日(水)は休館
開館時間:10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで 当面の間、夜間開館は行いません。
※入場は閉館の30分前まで
会 場:国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558東京都港区六本木7-22-2
主 催:国立新美術館、SAMURAI、TBSグロウディア、BS-TBS、朝日新聞社、TBSラジオ、TBS
共 催:ぴあ
特別協賛:ユニクロ、楽天、日清食品
協賛:
セブン&アイ・ホールディングス/ヤンマーホールディングス/UR都市機構/エイブル&パートナーズ/ワイマラマジャパン/LDH JAPAN/くら寿司/クレアプランニング/コナカ/千里リハビリテーション病院/DDホールディングス/ビューティーエクスペリエンス/三井物産/丹青社/丹青ディスプレイ/日本GLP/NISSHA/カシオ計算機/グローブライド/東北新社/ナスタ/Honda/エー・ピーカンパニー/山下PMC/三輪山本/OCHABI/青木酒造/伊丹産業/カネボウ化粧品/キリンビール/山形緞通/カルチュア・コンビニエンス・クラブ/明治学院大学
協力:
今治タオル工業組合/KIHARA/クロススポーツマーケティング/慶應義塾大学/光和/国際空手道連盟極真会館/大洋印刷/武田薬品工業/ふじようちえん
後援:佐賀県/有田町
観覧料:詳細については今冬発表予定
お問合せ
03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://www.nact.jp/exhibition_special/2020/kashiwasato2020/

 

 

ペンブックス 『1冊まるごと佐藤可士和。【2000-2010】』 を大幅増補・全面改訂!
2020年までと、これからの仕事の全てがここに。

Pen本誌が佐藤可士和の大特集を組み、店頭完売となったのが2006年。その後、活躍フィールドは企業広告だけにとどまらず、プロダクトデザインやコーポレート(企業)ブランディング、地域産業、そして教育機関や公共政策にまで広がりを見せており、彼の作品・仕事を見たことがない人はいないだろう。ユニクロなどの一大プロジェクトや代表作はもちろんのこと、生い立ちからクリエイティブ哲学までを1冊にまとめたのが2010年『Pen Books 1冊まるごと佐藤可士和。[2000-2010]』だった。それから10年、2021年2月から自身過去最大の個展「佐藤可士和展」が国立新美術館で開催され、30年の活動が紹介される。今回の新刊には、最新インタビュー、過去10年の仕事、個展の裏側、そして未来の仕事などが増補され、2000年から2020年までの佐藤可士和と、そのデザイン力と可能性がつまった1冊に。
 

 

 

 

 

 

 

 


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(文:制作 PR-M _PR制作部-1  /  更新日:2020.11.15)

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