19世紀後半、万国博覧会などを通じて海を渡った日本の美術工芸品は、西洋の人々に驚きの目をもって迎えられました。とりわけ芸術家たちにとって、その斬新な構図やデザイン、緻密な技は、作品を制作する上での大きなヒントとなったのです。ジャポニスムと呼ばれるこの現象は、絵画の分野では、印象派と浮世絵などとの関連が既に詳しく紹介されていますが、工芸については、その技法の多様さのため、これまでスポットをあてられる機会はほとんどありませんでした。
着物やその他染織品の文様染に使われる日本古来の型紙は、この時期に西洋にもたらされ、その美しいデザインや高度な技術が高く評価されて、当時西洋各地で起きた美術工芸改革運動に大きな影響を与えました。
本展は、19世紀末から20世紀初頭にかけて西洋に渡った日本の美術工芸品の中でも特にこの型紙に注目し、型紙が西洋の芸術家たちの創作活動にどのような影響を与えたのかを紹介する日本で初めての試みです。日本で生まれた型紙が海を渡り、染色という本来の用途を超えて自由に解釈され、アール・ヌーヴォーをはじめとする西洋の美術工芸改革運動の中で豊かな広がりを見せていった様相を、約400点の作品とともに俯瞰する展覧会です。
画像左上から時計まわりに:型紙 梅に変り芝翫縞 リバティ社 ©Liberty Art Fabrics /リバティ商会 シラン・シルク見本帳 1900-05年頃 リバティ社 ©Liberty Art Fabrics /アーデルベルト・ニーマイヤー 《花器》 1907-08年 ニンフェンブルク磁器製作所 /型紙 瓢箪 ヴュルテンベルク州立博物館、シュトゥットガルト
■東京展概要
会 場:三菱一号館美術館
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-6-2
会 期:2012年4月6日(金)-5月27日(日)
本展は展示替えがあります。詳しくは、作品リストをご覧ください。
東京展の前期、後期は以下の通りです。
(前):4/22まで展示、(後):4/24から展示
休館日:毎週月曜(但し、4月30日と5月21日は開館)
開館時間:[火・土・日・祝]10時~18時、[水~金]10時~20時
※いずれも最終入館は閉館30分前まで
主 催:三菱一号館美術館、日本経済新聞社
お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
http://mimt.jp/
(文:制作 PR-N_PR制作部-3 / 更新日:2012.05.10)