【フォト・レポート】
21_21 DESIGN SIGHT
企画展 「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」
21_21 DESIGN SIGHT で開催されている、企画展 「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」にいってきました。
東日本大震災を受け昨年7月に開催した特別企画「東北の底力、心と光。 『衣』、三宅一生。」。
その中で垣間見た、東北のものづくりの「テマヒマ」に焦点を当てたのが今回の企画展です。
前回が、「衣」だったのに対し今回は「食」と「住」を中心とした展示となっています。
会場は、映像による展示と、松の枠で作られたガラス張りのショーケースでの展示構成となっています。
天井からは佐藤氏がデザインした模様つきの布が吊り下げられ、ショーケース内の展示物が床に落とす影と、天井の布のテクスチャとのマッチングを図ったデザインになっていました。
厳しい自然環境の中、限られた資源で行われてきた東北の食生活。
大根ひとつを取っても東北という環境で育てるために、その土地に合わせて、その土地でしか育たない改良を重ねた品種がそれぞれ存在します。限られた食材で冬を越すために、東北では、焼き、干し、凍みといった方法を取って保存食として蓄えていきます。
◆ 麩
東北では焼麩が多く、肉の代わりとして食されてきた。
日本には伝統的に儀礼や祭など非日常を表す「ハレ(晴れ)」と日常を表す「ケ(褻)」という独特の時間論が存在するが、焼麩の多くは冠婚葬祭などハレの日に食されている。
◆ 干し大根
「寒干し大根」は、氷点下の寒風と日差しを利用し、凍みと乾燥を何度も繰り返して作られる。
輪切り、縦割り、1本そのままなど、地域によって形はさまざま。
東北で作られるものは生活に密接したものが多くあります。
農業の行えない冬の副業としてこうした製品のものづくりを行ってきました。
東北の寒冷な気候が生み出す良質の針葉樹を用いて、たんす、樽桶、臼などが作られています。
写真左)川連漆器 写真右)ボッコ靴
展示会場で配られる資料を読むと、展示品の作者に関して知ることができます。作者は60代以上が多く、中には90代の方もいました。東北の伝統産業は後継者不足で高齢化が進み、途絶えてしまったものも多くあるそうです。
中には、一度途絶えて、最近になって復活したものもあります。ボッコ靴がその例で、この靴は100%天然ゴム製の靴で丈夫で暖かく、東北の寒い冬の雪上作業で愛用されてきたのですが、1980年代には製造されなくなりました。しかし、地元の人々の要望もあり、2005年に復活しました。
作られたものをより長く使うために、修繕するための職人もいますが、近年は後継者不足でその数を減らしているそうです。
今回の展示会の展示品は東北の日常生活に密接するものが多く、一般の店舗で購入できるようなごく普通のものが展示されています。しかし、その製品が製作されるまでの過程や東北地方の背景を理解しながら会場をまわることで東北のものづくりをより深く見ることができる展示となっていました。
(文:制作_インテリア情報サイト編集部-2 / 更新日:2012.05.24)