【フォト・レポート】21_21 DESIGN SIGHT「田中一光とデザインの前後左右」展

「田中一光とデザインの前後左右」展

 

 

【フォト・レポート】
21_21 DESIGN SIGHT
企画展「田中一光とデザインの前後左右」

 

 

グラフィックデザイン、広告の他、デザイナーとして日本のデザイン界、デザイナーたちに大きな影響を与えた日本を代表するグラフィックデザイナー田中一光の企画展「田中一光とデザインの前後左右」が、東京ミッドタウンのデザイン施設「21_21 DESIGN SIGHT」で9月21日から開催中である。

田中一光は、1960年に日本デザインセンター創立に参加し、その後田中一光デザイン室を主宰。西武流通グループのクリエイティブディレクターに就任後、店舗空間、グラフィックの他、「無印良品」のアートディレクションなどを通じて企業イメージ戦略をデザイン面から提案したり、また、日本の伝統文化である「茶の湯」の現在の在り方を模索したりと、企業文化や日本文化の推進の功績が大きい日本を代表するグラフィックデザイナー。国内外で個展を開催し、1994年に紫綬褒章を受章。同年、ニューヨーク・アートディレクターズクラブに殿堂入り。2000年度には文化功労者など、受賞多数。2002年他界。

同展は、友人としての交流があったクリエイティブディレクター小池一子氏の展覧会デレクション、田中一光デザイン室に88年まで勤務した廣村正彰氏の会場構成など多くの個人、企業の協力で開催された。

クリエイティブディレクター小池一子氏によるギャラリーツアーの様子

本会場はギャラリー1・2に分かれる。


ギャラリ-1では、田中一光の本にそそぐ情熱を垣間見ることができる。展示してあるものはどれも貴重な本ばかり。装丁ばかりではなく本の内側にもこだわりをもったのがよくわかる。

ギャラリー2は10点のポスターの展示でキャノンのスキャンと出力で拡大、再現された。



田中一光のフィルターから日本の存在、文化を世界に伝えた。
タイポグラフィー、写植

22点の劇場ポスター

企業との仕事も多かった田中一光、多くのロゴは今も残る大企業ばかり・・・

20年以上に渡って務めた「無印良品」のアートディレクション。企業イメージ戦略をデザイン面から提案した。

田中一光のクリエイションをインスピレーション源にした、三宅一生+Reality Lab.による新作衣服の展示もある。スタッフが着ていた Reality Labの衣装。


モーションセンサーで田中一光グラフィックの世界観を表現

中庭吹き抜けでは、廣村正彰さんによるカラフルなインスタレーションが目を引く。壁は田中一光が携わったTANT(色紙)で、床は、中川ケミカルのカッティングシートが貼られている。
生前の田中一光を知る方々の貴重な思い出の写真や資料、実際の活動を示したアーカイブ画像も紹介。

 田中一光(1930~2002)氏は、著書「デザインの前後左右」に掲載されているが、伝統の継承から未来の洞察、東と西の国々との交流など、アートディレクターでもある。日本の伝統文化である「茶の湯」で現在のあり方を模索し、茶人「宗一(そういつ)」としても多くのクリエイターに多大な影響を与え「現代の茶の湯」を広めた。いろいろな人との活動そのものが始りを作った人、場をつくった人である。

この企画展では、田中一光というクリエイターの人と仕事をデザイン思想がどのように展開し、表現されたかを探ることができる。

会場では、グラフィックデザイン作品、映像、図版、記録資料など、多数の作品が展示されている。関連書籍も販売。

また、期間中は多くのトークやワークショップを開催。複数のクリエイター、文化人によるトークシリーズ「カンバセーション」や、高田唯による活版印刷のワークショップ、ギャラリーツアーなどの開催がされている。

来週から始まる秋のデザインイベントシーズンに、是非とも足を運んで頂きたい展覧会である。

 

クリエイティブディレクター小池一子
廣村正彰 アートディレクター

会期:2012年9月21日(金)~ 2013年1月20日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHT (東京ミッドタウン・ガーデン内)
   東京都港区赤坂 9-7-6
休館日:火曜日(10月30日、12月25日は開館)、年末年始(12月27日〜1月3日)
開館時間:11:00〜20:00(入場は 19:30 まで)
入場料:一般1,000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料

 

 

 

(文:KEIKO YANO (矢野 恵子)  /  更新日:2012.10.24)

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