グッドデザイン2020・ロングライフデザイン賞受賞製品を5点紹介

 

 

グッドデザイン賞、グッドデザイン・ベスト 100、
ロングライフデザイン賞が決定
2020年度グッドデザイン賞の受賞結果を発表

長年にわたって人々に支持され、今後もその価値を発揮し続ける
デザインが「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」

 




公益財団法人日本デザイン振興会 (会長:川上元美 )は、主催事業であるグッドデザイン賞の 2020年度受賞結果を10月1日 (木)に発表しました。

2020年度グッドデザイン賞は、デザインにおいて他者や社会、環境などについて考え、それに応えることを示す「交感」をテーマに、4月2日 (木 )~ 6月2日 (火 )の期間で応募受付を実施。4,769件の審査対象の中から、国内外のデザイナーや建築家、専門家など、各分野の一線で活躍されている94名の審査委員による厳正な一次・二次審査を経て、1,395件の「グッドデザイン賞」受賞が決定しました。

・「グッドデザイン2020・ベスト100」受賞製品をピックアップで紹介

また、長年にわたって人々から支持され続けてきた商品などのデザインに贈られる「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」受賞19件も発表しました。

2020年度グッドデザイン賞受賞結果
受賞件数:1,395件受賞
企業数:974社
審査対象数:4,769件

2020年度グッドデザイン・ロングライフデザイン賞受賞結果
受賞件数:19件受賞
企業数:19社
審査対象数: 26件

発表した受賞対象には、独自性、提案性、審美性、完成度などの面において、特に優れた対象であり、これからのモデルとなるデザインとして位置づけられる「グッドデザイン・ベスト 100」の100件が含まれています。この中から、今後さらに審査を実施して、「グッドデザイン大賞」などの特別賞が10月30日 (金)に決まる予定です。

・おめでとうグッドデザイン賞2019 富士フイルム[結核迅速診断キット]が大賞受賞!

 

【開催概要】
GOOD DESIGN SHOW
会期:2020年10月1日(木)~11月30日(月) 
※コア期間:10月30日~11月3日
会場:ウェブサイト https://promo.g-mark.org/
参加費:無料(事前登録不要)

「グッドデザイン・ベスト100プレゼンテーション」(ライブ配信)
[日時]10月8日(木)11:00~15:30
[動画URL]https://www.youtube.com/watch?v=aoPP5PMJKzo&feature=youtu.be

 

このページではロングライフデザイン賞から5点の製品を紹介します。

ロングライフデザイン賞は、長年にわたって人々に支持され、今後もその価値を発揮し続けると考えられるデザインに贈られる賞です。新しく生まれたデザインではなく、スタンダードとして愛され続けるデザインの価値にフォーカスした、国際的にもユニークな賞です。私たちの暮らしに欠かせないアイテム、偉大なマスターピース、誰もが親しんできたサービスなど、最新の受賞作19点を通じて、長く愛されるデザインの魅力を紹介します。


ロングライフデザイン賞

https://www.g-mark.org/activity/2020/longlife.html

 

 

マルニ木工 HIROSHIMAアームチェア
 

 
マルニ木工にとって2008年に深澤直人氏と協働をはじめた最初のプロダクトであり、その後のマルニ木工の展開や取り巻く環境を大きく変えてくれるきっかけとなった製品です。誕生してから12年とロングライフデザインの中ではまだ新しいプロダクトですが、100年経っても「世界の定番」として認められる木工家具をつくり続けるというビジョンと創業当時から続けてきた精緻なモノづくりが高く評価されました。

審査委員の評価
2008年に深澤直人氏を迎えて、世界に向けてMaruniブランドを発信する第一弾のデザインとして誕生しました。以来、錚々たる世界の家具デザインの領域において、「MaruniのHIROSHIMA」だけで通用する日本発のデザインとして認められた意味は大きいものがあります。アップルの新しい本社にも数千脚のHIROSHIMAアームチェアが採用されるなど、その存在は不動のものになりました。マルニ木工の90年におよぶ木工技術の積み重ねがあって初めて実現したこのデザインは、日本の木工技術レベルの高さを世界に示し、世界の中で確たる存在として大変重要なデザインになっています。スタートして12年ですが、これからの100年を目指したロングライフデザインであるとも言えるでしょう。


 

 

天童木工 チェア(S-0507)


 

日本における家具デザインの創世記を支えた水之江忠臣氏によって、1954 年に神奈川県立図書館の閲覧室向けにデザインされたチェア(S-0507) 。「デザイナーは一生にひとつ、本当に良いものが残せたらそれで良い」と語っていた水之江氏ですが、この言葉を裏付けるように、商品化に向けて100 回以上の試作が重ねられたという逸話も残されています。発売後も水之江氏はライフワークのように改良を加え続けました。成形合板の背と座を、左右からブナ無垢材のフレームで挟み込むというシンプルな構造ですが、身体のラインに沿った背もたれと座板が快適な座り心地をもたらします。1964 年にはグッドデザイン賞を受賞しました。現在もダイニングチェアとしてだけでなく、教育関連施設や飲食店など、多くの空間で愛されつづけています。天童木工ではこれまで4点の製品でロングライフデザイン賞を受賞しています。

審査委員の評価コメント
椅子の基本要素だけで構成されていて、背と座面の人体が触れる部分が成型合板で、三次曲面形状に湾曲させて、身体を優しく支えます。体重を支えるフレームは構造的合理性を持った無垢材による、無駄のないデザインといえます。60 年以上の長きにわたって支持され続けている「日本の暮らしにおける定番デザイン」であり、それでいて時代の変化と共にリデザインを加え、鮮度を保つ努力も怠らないことも評価される点です。

 

 

カール・ハンセン&サンの「CH24 / Yチェア」


ハンス J. ウェグナーとの協働によって1950年に発表された『CH24』。今なお世界中で愛され、日本でもYチェアとして親しまれています。

審査委員による評価コメント
1950年以来生産され続けている世界のスタンダード・チェアです。デンマークを代表するデザイナーであるハンス J. ウェグナーのデザインは、背とアームの一本の曲木、それを支える脚部と貫部材、座面もその構造材を利用して、120mのペーパーコードを手で貼ることで構成されています。すべての工程と部材が高度なクラフトマンシップで実現されており、素材はデンマーク国内材を使用されていることもカール・ハンセン&サンの製品の特徴といえます。そして、モダンな建築空間にこのYチェアを置くことで場の雰囲気や印象が完成するなど、どの点を取ってもまさしく唯一無二の存在です。

 

 

 

株式会社ドラフト 花器 [D-BROS]


平らなビニールパックに水を入れると立体的な美しい花器に変わるユニークな発想を形にしたフラワーベースです。水を入れた時の光の屈折が美しくまるでガラスの花瓶かのように見えることを計算してデザインしてあります。価格が安く構造もイージーで、普段花器に馴染みがない人でも気軽に生活の中に取り入れてもらえて、花器のデザインも楽しめる、そんなプロダクトを目指して作られています。


審査委員の評価
花瓶という名の「瓶ではない」デザインである。登場した当初は驚いた人も多かったのではないだろうか?これだけ斬新で、素材とアイデアがうまく紡がれており、様々な場所と場面で使われているデザインこそ、ロングライフデザインというに相応しい。そしてプロデザイナーの知恵と豊かな発想が、そのままストレートに製品化され、ユーザーに届けられるという、クリエイティブ・インダストリーの実践の先駆けであった点も見逃すことはできないだろう。
 

・ブランド D-BROS(ディーブロス)のフラワーベース  花器のデザインも楽しめるプロダクト



 

廣田硝子株式会社 しょうゆさし [元祖すり口醤油差し]


おもてなしからお手入れまで、使い手となるあらゆる人の心に寄り添う醤油差しです。妥協点のない究極的な醤油差し、にこだわって生まれた[元祖すり口醤油差し]。実用的であることに加え、飽きのこないシンプルなデザインを中心に、日々のテーブルコーディネートを考えるのが楽しみになる醤油差しです。応用した醤油差しを種々開発した後、類似品が多数出るも、醤油差しの普及に大きく貢献しました。

審査委員の評価
私たちの暮らしに欠かせない絶対的な調味料といえば『お醤油』です。 テーブルに置かれた醤油差しは、その家の格を垣間見せてしまう大切なファクターであるように思います。 擦り合わせガラスの部分が美しく見た目に涼やかさを演出していますが、それは液だれさせないための機能美も兼ね備えていること。テーブルの上で決して主張せず、かつ凛とした美しさを醸し出す容姿。こまめにお手入れしたいものだからこそのサイズ感と中身が見える清潔感。 45年もの間、重宝されてきたのにはこのような訳があります。 お醤油の紫を美しく見せる、テーブルに置く時の美しさやお手入れの簡単さ、最も大切なのは液だれをさせないこと-簡単なようで難しい試行錯誤があったと推察します。 現代の暮らしにも、そして多様化していくこれからの私たちの暮らしにもずっと寄り添ってくれるものと期待しての高評価となりました。


 

 

・21_21ギャラリー3「2020年度ロングライフデザイン賞受賞展」開催

2020年度ロングライフデザイン賞受賞展は、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3にて開催されます。

【開催概要】
2020年度ロングライフデザイン賞受賞展
会期:2020年10月30日(金)-11月8日(日)
開館時間:平日11:00-19:00/土日祝 10:00-19:00 *予約不要
主催:公益財団法人日本デザイン振興会
http://www.2121designsight.jp/gallery3/longlifedesign2020/

 


グッドデザイン・ロングライフデザイン賞について
日本デザイン振興会によって1957年に設立されたグッドデザイン賞は、デザインを通じて暮らしと社会を豊かにすることを目指し、国内外の多くの企業やデザイナーが参加しています。日本で唯一の総合的なデザイン評価、推奨の仕組みです。毎年、あらゆるジャンルにおけるデザインが、その誠実さ、革新性、美しさ、倫理性に基づいて審査されます。ロングライフデザイン賞は、長年にわたり人々からの高い支持を得て、今後もその価値を発揮し続けるであろうと考えられるデザインに贈られます。今年の15の受賞者を選ぶ際、審査員は各候補作品が、これまで私たちの暮らしに何をもたらしたか、なぜ長年人々に愛され続けているのか、その美しさとは何なのか、議論を重ねました。2020年のグッドデザイン賞、ロングライフデザイン賞をまとめた「グッドデザイン賞年鑑」は2021年3月に発行を予定しています。
https://www.g-mark.org/activity/2020/longlife.html

 

(文:制作_インテリア情報サイト編集部-3  /  更新日:2020.10.05)

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