21_21 DESIGN SIGHT企画展
「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」 開催
21_21 DESIGN SIGHTでは2018年6月29日(金)~10月14日(日)まで、企画展「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」を開催します。展覧会ディレクターには、独自の表現により、ウェブ、インターフェース、映像の分野で高く評価されている中村勇吾を迎えます。
私たちが普段なにげなく親しんでいる音楽は、音色や音域、音量、リズムといった様々な要素によって緻密にデザインされた構造物(アーキテクチャ)であると言えます。しかし、日常の中でその成り立ちや構造について特別に意識する機会は少ないのではないでしょうか。本展では、ミュージシャンの小山田圭吾(Cornelius)が音楽の構造に着目して書き下ろした新曲「AUDIO ARCHITECTURE」を、気鋭の作家たちがそれぞれの視点から解釈し、映像作品を制作します。参加作家は、映像、アニメーション、ダンス、グラフィック、広告、イラストレーション、プログラミング、メディアデザインなどの領域を横断しながら、多彩な感性をもって新しい表現に取り組む9組です。
Wonderwall片山正通が会場構成を担当したダイナミックな空間に、ひとつの楽曲と複数の映像作品を繰り返し再生することで、「音楽建築空間」の構築を試みます。
音楽、映像、空間が一体となった会場で、音楽への新鮮な視点を発見してください。
Cornelius スタジオライブ撮影の様子(撮影:稲垣哲朗)
| ディレクターズ・メッセージ
昨年の初夏、二子玉川駅のブックファーストでGINZAという女性誌を立ち読みしていたところ、当時ちょうどリリースされたばかりのコーネリアスのニューアルバムについてショーン・オノ・レノンが語ったエッセイを見つけました。その文章の中で、彼がコーネリアスの音楽を「He paints a kindof audio architecture.」と表現している一節に出会いました。音の建築。まさに言い得て妙!と私はこの言葉をすっかり気に入ってしまい、この言葉を頼りにしながら、あるひとつの展示構成について考えはじめました。それがこのAUDIO ARCHITECTURE 展です。
AUDIO ARCHITECTURE展は、あるひとつの音楽をもとに空間を構築する試みです。映像・インテリア・グラフィックからテキストまで、空間内のあらゆる要素がひとつの音楽と関係しあい、それぞれが固有性を発揮しながらも、そのすべてが音楽を軸に連動し、調和し続けている。そのような「音楽建築空間」をつくり、体感してみたいと思いました。
他の領域における表現やデザインと同じく、音楽は、その全体から細部に至るまで周到に設計されたひとつの構築物(アーキテクチャ)であることに違いはありません。ただ、音楽は、目で視るのではなく耳で聴くもの、そこに在り続けるのではなく今この瞬間から過去へと流れ続けていくものです。このような時間軸上の聴覚体験、という知覚モードの特殊性から、私たちは、音楽を、この視覚中心の空間世界からは遊離した、なにか別種の、特別なもののように感じています。
「音楽について語ることは、建築について踊るようなものだ」という言葉にもあるように、音楽を、音楽以外のメディアによって表現し尽くすことは不可能です。しかし私たちは、それが不可能であるからこそ、敢えてそこに接近しようと試みたり、互いに呼応し合うなにかを見出そうとしてしまうのだと思います。このAUDIO ARCHITECURE展も、そのような願望の歴史の延長線上にあります。
具体的な展示にあたっては、独自の方法論で表現やデザイン活動に取り組み、今回の「AUDIO ARCHITECTURE」というプロトコルを豊かに再解釈して頂けそうな作家やデザイナーの方々にお声がけし、ご参加頂きました。この原稿を書いている時点では、その全貌はまだ見えていないのですが、おそらく、それぞれの参加作家がこの音楽と結ぶ関係や距離は、実にさまざまに異なっていることでしょう。それぞれの固有性が連動し、調和し続ける「音楽建築空間」を、ぜひ一緒に体感してください。
中村勇吾
■ 『AUDIO ARCHITECTURE』
作詞:中村勇吾/作曲: 小山田圭吾(Cornelius)
Time / Space
Light / Shadow
Shape / Material
Mass / Void
Grid / Module
Structure / Surface
Chaos / Order
Sound / Silence
Into the Music
Music, Don’t Stop
Into the Music
Music, Don’t Stop
Theory / Emotion
Think / Feel
Body / Soul
Conscious / Unconscious
Positive / Negative
Intentional / Accidental
Intelligence / Sensitivity
Artificial / Natural
Into the Music
Music, Don’t Stop
Into the Music
Music, Don’t Stop
Time, Space and, Music
Loud / Quiet
Mellow / Sharp
Major / Minor
Clear / Strange
Into the Music
Music, Don’t Stop
Into the Music
Music, Don’t Stop
Into the Music
Music, Don’t Stop
Into the Music
Music, Don’t Stop
Time, Space and, Music
Stop
■ 展覧会ディレクター
中村勇吾 Yugo Nakamura
ウェブデザイナー/インターフェースデザイナー/映像ディレクター。1970年奈良県生まれ。東京大学大学院工学部卒業。多摩美術大学教授。1998年よりウェブデザイン、インターフェースデザインの分野に携わる。2004年にデザインスタジオ「tha ltd.」を設立。以後、数多くのウェブサイトや映像のアートディレクション/デザイン/プログラミングの分野で横断/縦断的に活動を続けている。主な仕事に、ユニクロの一連のウェブディレクション、KDDIスマートフォン端末「INFOBAR」のUIデザイン、NHK教育番組『デザインあ』のディレクションなど。主な受賞に、カンヌ国際広告賞グランプリ、東京インタラクティブ・アド・アワードグランプリ、TDC賞グランプリ、毎日デザイン賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞など。
■ 音楽
小山田圭吾(Cornelius) Keigo Oyamada
1969年東京都生まれ。1989年、フリッパーズギターのメンバーとしてデビュー。バンド解散後、1993年、Cornelius(コーネリアス)として活動開始。現在まで6枚のオリジナルアルバムをリリース。自身の活動以外にも、国内外多数のアーティストとのコラボレーションやリミックス、プロデュースなど幅広く活動中。
■ 会場構成
片山正通(Wonderwall) Masamichi Katayama (Photo: Kazumi Kurigami)
インテリアデザイナー。Wonderwall代表/武蔵野美術大学 空間演出デザイン学科 教授。1966年岡山生まれ。コンセプトを具現化する際の自由な発想、また伝統や様式に敬意を払いつつ現代的要素を取り入れるバランス感覚が国際的に高く評価されている。近作に「ピエール・エルメ・パリ 青山」、「INTERSECT BY LEXUS」等。2018年夏オープンの外務省による海外拠点事業「JAPAN HOUSE London」のインテリアデザインも担当している。最新の作品集は、ドイツで出版された『Wonderwall Case Studies』。
| 作品紹介(一部)
会場デザインのプロセス (会場構成:Wonderwall)
梅田宏明 「線維上にある」
筋繊維の構造をモチーフに、音楽を動きとして映像にする作品。
大西景太 新作イメージ
音の要素を視覚化し、カタチと動きで表現。
水尻自子 新作イメージ
音と人の感覚にまつわる歌詞に着目し、微妙な感覚の違いをアニメーションで表現。
UCNV 本展展示イメージ
独自のプログラムにより意図的に生じさせたグリッチ表現を用いた映像作品。
| 参加作家 紹介
稲垣哲朗 Tetsuro Inagaki
1983年、東京都生まれ静岡県御殿場市出身。日本大学藝術学部放送学科卒業。2006年、OORONG-SHAに入社。少数精鋭の制作スタイルから数多くのアーティストの作品に携わる。主にライブ映像やMusic Video、ライブ演出映像等、幅広く制作を行う傍ら、映像クリエイターのラインプロデュースや、映像コンテンツの企画等、プロデュース業も行うマルチプレイヤーとして活動中。2017年3月、独立。クリエイティブプロジェクトとして「KITE / カイト」を発足。
梅田宏明 Hiroaki Umeda
2002年より自身の振付作品がパリ・シャイヨー国立劇場など世界各地に招聘され、これまでの公演先は世界40ヵ国/150都市以上に上る。作品では振付、ダンスだけでなくサウンド・映像・照明デザインも手がけ、2010年アルスエレクトロニカ入賞。近年は身体的感覚にフォーカスしたインスタレーションも制作、ダンス作品を元に制作されたドーム型映像作品はドイツのFulldome Festival受賞、その他世界各地のフェスティバルで上映されている。
大西景太 Keita Onishi
1980年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修了。音楽の構造や音の質感をアニメーションで表現する手法を用いて映像インスタレーション作品、ミュージックビデオなどを制作する。主な作品に『Forest and Trees』(東京都現代美術館「アートと音楽」展など)、『ハイスイノナサ/地下鉄の動態_』(MV)、『ベートーベン/運命行進曲』(NHK 名曲アルバム+)など。またCM、プロモーション映像、モーションCIなど広告表現にも携わる。東京工科大学デザイン学部講師。
折笠 良 Ryo Orikasa
アニメーション作家。1986年茨城県生まれ。アニメーション作家。茨城大学教育学部卒業。東京藝術大学大学院映像研究科修了。2015年 文化庁新進芸術家海外研修員としてモントリオールに滞在。主な作品に『Scripta volant』(2011)、『水準原点』(2015)、『Notre chambre』(2016)などがある。
北千住デザイン Kitasenju Design
Web、アプリ、VJ、インスタレーション等、プログラミングを用いた視覚表現の研究・開発を行っている。Basculeより2018年に独立、在籍時にCannes Lions 2013 Silver Lion、FWA Site Of The Month (Sep,2015)など受賞多数。https://kitasenjudesign.com/
辻川幸一郎 Koichiro Tsujikawa
映像作家。何気ない日常の中でふと浮かび上がる妄想や幻覚を、子供の手遊び感覚で映像化する。CorneliusをはじめとしたMVや、CM、WEB企画、ショートフィルム、アートディレクションなどの様々な分野で、国内外で活動中。最近作Cornelius『あなたがいるなら』、The Claypool Lennon Delirium『satori』。
勅使河原一雅 Kazumasa Teshigawara
1977年東京生まれ。映像作家/デザイナー。1999年からウェブデザインに携わり、2006年、Qubibiを起ち上げる。以降、インタラクティブメディアを中心に創作活動を行う。D&AD、カンヌ国際広告賞、文化庁メディア芸術祭など国内外の各賞を受賞。近年では初の個展(Qubibi Exhibition at Museum
of Digital Art, 2017-2018)をチューリッヒにて開催。
Bascule
株式会社バスキュール。2000年設立。テクノロジー×デザイン×コミュニケーションのスキルを駆使し、未来のユーザー体験を創造するインタラクティブ・クリエイティブ・カンパニー。人々の日常の行動に由来するリアルタイムデータを、新たな体験価値に変換する新しいデザインに挑んでいる。
水尻自子 Yoriko Mizushiri
1984年青森県十和田市出身。アニメーションを中心に制作する映像作家。身体の一部や寿司などをモチーフにした感触的なアニメーションを特徴とする。MVやCMの制作などを手がけつつ、短編作品の制作を続ける。文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞、広島国際アニメーションフェスティバル 木下蓮三賞、ベルリン国際映画祭短編コンペ正式出品など。
UCNV
プログラマー/アーティスト。コンピュータ上で画像や映像を破損させるプログラムを開発し、それらを用いて作品制作やライブパフォーマンスを行う。
ユーフラテス EUPHRATES
独自の「研究活動」を基板として活動しているクリエイティブ・グループ。慶應義塾大学 佐藤雅彦研究室の卒業生により2005年活動開始。映像・アニメーション・書籍・展示・テレビ番組・グラフィックデザインなどを通した表現の開発やメディアデザインに取り組んでいる。近年の活動に、NHK Eテレ『Eテレ2355・0655』のディレクションや、同じくEテレ『大人のピタゴラスイッチ』『考えるカラス』の映像制作等。
■ 技術監修
遠藤 豊(LUFTZUG) Yutaka Endo
LUFTZUG代表/アートディレクター/プロデューサー/テクニカルディレクター。1977年新潟生まれ。舞台芸術から派生し、音楽、映像、デザイン、テクノロジーほか領域を問わず関係性を構築する。2005年に有限会社ルフトツークを東京に、2012年LUFTZUG EUROPEと2018年Lugtjeをアムステルダムに設立。曖昧なメディアの媒介として役割を確立しようと活動を広める。積極的な人と感覚の交流、感覚の遍在化を目指し国内外で積極的に活動を行う。テクニカルディレクターとして、CITIZEN 「LIGHT is TIME」(2014ミラノ・東京)、「北斎」展 (2014パリ)、「建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"」(2015東京)、向井山朋子「La Mode」(2016台中)、「HOME」(2016)他、演出などに携わる。
http://www.luftzug.net/
■ グラフィックデザイン
北山雅和(Help!) Masakazu Kitayama
1967年、神戸生まれ。桑沢デザイン研究所卒。コンテムポラリー・プロダクションを経て1998年にHelp!設立。コ-ネリアス、秦 基博などのCDジャケット・デザインを中心に、J SPORTS「Foot!」等、サッカー番組のアート・ディレクションも手がける。作品集『LiGHT STUFf』が第11回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選定。NHK .連続テレビ小説.「カーネーション」タイトルロゴを担当。2015年より東京・大阪で個展『TYPOGRAFFITI 1 -INVISIBLE-』を開催。
【開催概要】
21_21 DESIGN SIGHT企画展「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」
会期:2018年6月29日(金)~10月14日(日)
休館日:火曜日
開館時間:10:00 ~19:00(入場は18:30まで)
入館料:一般1,100円、大学生800円、高校生 500円、中学生以下無料
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
〒107-0052 東京都港区赤坂9-7-6
東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
tel: 03-3475-2121
http://www.2121designsight.jp/program/audio_architecture/
アクセス 都営地下鉄大江戸線「六本木」駅 東京メトロ日比谷線「六本木」駅
東京メトロ千代田線「乃木坂」駅より徒歩5分
主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
後援:文化庁、経済産業省、港区教育委員会
特別協賛:三井不動産株式会社
展覧会ディレクター:中村勇吾
音楽:小山田圭吾(Cornelius)
会場構成:片山正通(Wonderwall)
参加作家: 稲垣哲朗 梅田宏明 大西景太 折笠 良 辻川幸一郎× Bascule ×北千住デザイン
勅使河原一雅 水尻自子 UCNV ユーフラテス
技術監修:遠藤 豊(LUFTZUG)
グラフィックデザイン:北山雅和(Help!)
21_21 DESIGN SIGHTディレクター:三宅一生、佐藤 卓、深澤直人
アソシエイトディレクター:川上典李子
21_21 DESIGN SIGHT
東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
TEL: 03-3475-2121
http://www.2121designsight.jp/
(文:制作 PR-K_PR制作部-1 / 更新日:2018.05.12)