【REPORT】
2018年度グッドデザイン大賞・金賞発表
「GOOD DESIGN EXHIBITION 2018」受賞展 レポート
公益財団法人日本デザイン振興会(会長:川上元美氏)は、主催事業である2018年度グッドデザイン賞の「大賞」、「金賞」、「グッドフォーカス賞」の受賞結果を10月31日(水)に発表しました。
グッドデザイン大賞は、その年のすべてのグッドデザイン賞受賞対象の中で、社会性、時代性、提案性などの面でもっとも優れているとされるデザインです。 1980年の制定以来、時代を象徴するシンボル的なデザインとして、日本の社会におけるデザインのマイルストーンの役割を担っています。
2018年を象徴するデザインである「グッドデザイン大賞」は、大賞候補であるファイナリスト6件に対して、本年度グッドデザイン賞審査委員とグッドデザイン賞受賞者、受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION2018」の来場者による投票を実施して、最多票数を得た作品に与えられます。
選出の流れは審査対象が4,789件→受賞1,353件→ベスト100→金賞19件→ファイナリスト6件→大賞1件となります。
本年度全受賞デザインの中で、総合的に特に優れたデザインの2018年度グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞/全19件)から選出された大賞候補であるファイナリスト6件の作品を紹介します。
■ エンタテインメントロボット「 aibo」
エンタテインメントロボット「 aibo」ソニー株式会社(東京都)
「一家に1台、ロボットを」。そんな未来が急にリアルに感じられてしまう商品です。人に寄り添い、新しい関係性を築けるロボットとして新しいaiboを開発したソニーの作品です。人や社会は今後AIを搭載したロボットとどのように暮らしていくべきか?」という問いに対する答えとして、音声アシスタント機能を搭載したスマートスピーカーをはじめ、利便性を追求するロボットがある一方で、人の心を豊かにしてくれる感性価値を提供するロボットの存在があるのではないかと考えて作られている新しいaibo。初期搭載されている動作は20程度、それが日々のコミュニケーションを通じ、数百にまで増えていきます。「ロボットと人は心を通い合わせることができる」。aiboに触れた人は、そう確信でき「犬」の模倣ではなく、ロボットという新しい「生き物」と人が共生する未来が見えてきます。
■ Gogoroスマートスクーター
Gogoro Energy and Transportation Platform 「 Gogoro Energy Network (GoStation/ Gogoro SmartBatteries/
Gogoro Control Center) + Gogoro Smartscooter (Gogoro 1 & 2 Series/ Gogoro App/ iQ System) 」 GogoroInc.(Taiwa n)
台湾の企業「Gogoro Energy and Transportation Platform」によって開催されたスマートスクーター。高密度なバイク事情の環境への配慮から出発でつくられ、エネルギー管理・ビックデータ・盗難防止等を含むスマートプラットフォームを構築しています。利用者はバッテリーを所有することも、自分で受電することもありません。このシステムは、台湾で占有率が最も高い電動バイクによる成果の中で考えられ電池交換方法とビジネスモデルは、成功の重要な基礎となりました。今では徐々に台湾以外の都市にも広がり始めています。
■ ポータブルX線撮影装置 [FUJIFILM CALNEO Xair]
ポータブル X線撮影装置「 FUJIFILM CALNEO Xair」富士フイルム株式会社(東京都)
富士フイルム初となる在宅医療での使用に適したポータブルX線撮影装置である。近年の受像部の高感度化により、X線出力・バッテリを大幅に低減、可搬性/操作性に優れた小型で3.5kgの超軽量「ハンディスタイル」デザインのX線撮影装置を実現。これにより、在宅検査を行う医師や技師の移動や撮影準備等の身体的負荷低減と患者の放射線被曝低減に貢献する等、今後の高齢化社会伸展により増加が予測される在宅診療に最適な医療現場のワークフローを提供します。世の中にある在宅医療のフローそのものを刷新し、大きな変革の可能性を秘めた超小型X線撮影装置です。小さく軽く取り回しが効き、外観も操作性も優れています。表層的なアプローチではなく、在宅医療の実態とそこにある問題を解決する為に、自社の技術が今までにないかたちで有機的に繋がり、一つのプロダクトへと美しく集約された点が高く評価されました。過去の資産を生かしながら本質的価値を問い直し、革新的な開発に挑戦する姿勢は、多くの企業や社会に勇気を与える作品です。
■ 宿泊施設「hanare」
宿泊施設「hanare」株式会社 HAGI STUDIO(東京都)
hanareは東京・谷中のホテルです。 しかし、単に一つの建物に完結したホテルではなく、まち全体を一つの大きなホテルに見立てることで 地域と一体になったホテルです。 ホテルのレセプションは最小文化複合施設「HAGISO」の2Fにあります。 宿泊室はまちの中。 大浴場はまちの銭湯。 ホテル自慢のレストランはまちの美味しい飲食店。 お土産屋さんは商店街や路地に店を構える雑貨屋さん。 文化体験はまちのお稽古教室やお寺で。 レンタサイクルは自転車屋さんで借りることができます。 あなた次第でまちはホテルになります。 the whole town can be your hotel
■ 駅前広場と道路空間からなる景観
駅前広場と道路空間からなる景観「丸の内駅前広場から行幸通りに繋がる景観」東日本旅客鉄道株式会社
(東京都)+東京都(東京都)
首都東京の「顔」に相応しい風格ある景観の創出、及び交通結節点として必要な交通機能の確保を目的に、東京駅から皇居に至る一体的な都市空間整備として、東京都とJR東日本などの関係者が連携し推進してきたプロジェクトで、まさにデザインコンセプトの「風格ある首都東京の『顔』を創出する」風景が出来上がりました。多くの事業者による景観整備を一体的にデザインする観点で検討・調整を重ね、トータルデザインの実現に結びつけ、駅舎、駅前広場、行幸通りを繋ぐ丸の内地区に世界的にも類稀なる景観を作り上げました。
■ おてらおやつクラブ
2018年度グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)おてらおやつクラブ(貧困問題解決に向けてのお寺の活動)
受賞者:特定非営利活動法人おてらおやつクラブ(奈良県)
全国のお寺の「ある」と社会の「ない」をつなげた活動で、お寺にお供えされるさまざまな「おそなえ」を、仏さまからの「おさがり」として頂戴し、子どもをサポートする支援団体の協力の下、経済的に困難な状況にあるご家庭へ「おすそわけ」します。活動趣旨に賛同する全国のお寺と、子どもやひとり親家庭などを支援する各地域の団体をつなげ、お菓子や果物、食品や日用品を届けています。日本国内において子どもの7人に1人が貧困状態にあり、一日一食の食事に困る子どもたちが増えている一方でお寺にはたくさんの食べ物がお供えされています。貧困問題の解消に寄与することを目的にした活動です。
以上のファイナリスト6件が選出された中から、2018年度グッドデザイン大賞は貧困問題解決に向けてのお寺の活動の「おてらおやつクラブ」が受賞しました。最後まで台湾企業の「Gogoroスマートスクーター」と票を争っていましたが、受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION2018」の来場者による投票はこのような結果となりました。
2018年度グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)を受賞したおてらおやつクラブ
「2018年度グッドデザイン賞」の 最新受賞作品を紹介する「GOOD DESIGN EXHIBITION 2018」は、東京ミッドタウン(六本木)にて11月4日(日)まで開催します。会場では2018年度受賞作品がすべて展示されます。
※グッドデザイン賞のホームページ
http://www.g-mark.org/
グッドデザイン賞は、商品、建築、ソフトウェア、プロジェクト(取り組み)、サービスなど、多彩なジャンルから選ばれる1000点以上の「グットデザインを」すべて出展します。国内外、形のあるもの/ないもの、デザイナーの有名無名などを問わず、私たちの豊かな暮らしを形づくる力を持ったさまざまなデザインに誰もが出会える、グッドデザイン賞が贈るビックイベントです。
ご興味のある方は是非とも足を運ばれてはいかがでしょう。
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<会場風景>
会場は何箇所に分れていますので、案内マップを確認のうえ、お廻りください。
(文:制作_インテリア情報サイト編集部-1 / 更新日:2018.11.02)