21_21 DESIGN SIGHT企画展「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」開催

 

 

 

21_21 DESIGN SIGHT企画展
「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」開催

 

 

21_21 DESIGN SIGHTでは、 2019年 3月15日(金)~ 6月30日(日)の期間、企画展「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」を開催します。展覧会ディレクターには、アートディレクターとして時代を牽引し続ける浅葉克己を迎えます。

 

世界中を旅しながら、各地で様々な人々やモノたちに出会ってきた浅葉にとって、「ユーモア」とは、コミュニケーションにおける最も大切な感性のひとつです。本展では、グラフィックデザインを通して人々を楽しませ続けてきた浅葉が国内外から集め、その活動のインスピレーションのもととなっている資料やファウンド・オブジェとともに、浅葉がそのセンスにおいてユーモアのシンパシーを感じているデザイナーやアーティストの作品を一堂に集めます。

価値があるとされるもの、価値が未だ見出されていないもの、人がつくったもの、自然のなかから生まれたもの。時代や国を超えた人々の営みから生み出されたユーモアのかたちと表現を一望することで、私たちは日々の営みのなかにある身近なユーモアを見つめ直すことになるでしょう。そして、そこにあるユーモアの感性こそが、デザインやものづくりにおいて重要な、コミュニケーションの本質のひとつと言えるのかもしれません。

 

 


|   ディレクターズ・メッセージ
 暮れも正月もない。2019年3月15日から6月30日まで21_21 DESIGN SIGHTで開催される大展覧会「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」の準備だ。

 最初は、五大陸の笑いを探して歩く旅をしようと深セン、香港、ニュージーランド、メキシコと探し回ったが意外とむずかしい。30年はかかってしまうなあと氣が付いた。

 今、僕の机の上には2017年秋に三宅一生さんと訪ねた、八ヶ岳の茅野、そこで出会った縄文時代の仮面の女神の等身大の置物がある。三角の仮面をつけた表現だが、毎日見ていても笑える。一万年も前のことを考えると氣が遠くなってしまうが、笑いは現在までずーっと続いている。

 時間軸や空間軸を超えて、会場は必ずゴチャゴチャにしたい。こんなモノやあんなモノが交差し交換する。メキシコの旅から帰ってきて、すぐにノーベル賞作家のミゲル・アンヘル・アストゥリアスの『マヤの三つの太陽』(岸本静江訳 新潮社1979年)を取り寄せた。読んでみると …

「あたり一面が骨肉の争いを演じていた。椅子は椅子に突き当たった。ナイフはナイフに、フォークはフォークに、スプーンはスプーンに、ソース入れはソース入れに、皿は皿に、盃は盃に、コップはコップに、ナプキンはナプキンに、爪楊枝は爪楊枝に、灰皿は灰皿に、静止画の果物は天然の果物に、天然の果物は蝋細工の果物に、小ぶりのナイフと小ぶりのフォークをのせた魚料理用の食器一式は魚料理用の大振りの食器一式に、壜は壜に、食卓用水差しは食卓用水差しに、音もなく …それがみんな音もなく、音もなく、音もなく…死にものぐるいの戦いだ ……」このシュルレアリスムの文体が最後まで続く。 21_21 DESIGN SIGHTの会場はこんな風になるのでは …。と想像した。

 晴海埠頭の作品倉庫から漆塗りの世界地図が出てきた。世界は、この国々で回っているのだ。浅葉克己が地球僻地探検家として、今までに地球を歩き回って見てきたモノ、集めてきたモノたちと、身の回りのモノを並べてみることにした。

 広告を教えてくれた恩人・土屋耕一さんの回文を書でかいてみる。「ナジャ・アイララ」(※)文明からは金子國義さんの油絵。そして、 90歳にしてさらに活力溢れる久里洋二さんの今日に続くチャレンジングなアニメーション作品、見る者を笑顔にする和田誠さんの似顔絵、たえず笑いを求めて制作活動をしてきた福田繁雄さんの立体作品。海外からの出品作家には、ディーン・プール(ニュージーランド)、トミー・リー(香港)、スタンリー・ウォン(香港)、ジャンピン・ヘ(中国・ドイツ)、ロン・アラッド(イギリス) …と名だたる面々が並ぶ。浅葉克己の作品からは年賀状 1 0年分、雑誌『卓球王国』から「浅葉克己のひとりピンポン外交」 188回分。 50年分のブチューン(ワイドラックス)カメラで撮影したモノなど。さらに、井上嗣也さんのオリジナルポスター。娘・浅葉 春の陶芸作品。日比野克彦さんの巨大な作品…など次々と並べていく。

 すると、モノとモノが共鳴し合い(あるいは不協和音を奏で)、時間も場所も言葉も意味も超えた不可解だが愉快な、訳のわからぬ「何か」を発し始めた。

 人間の笑いは、どこから来るのか。ユーモアの本質とはどこにあるのだろうか。ひとりで笑うこともあるが(孤独な笑い、ブラックユーモアというのか)、人間は誰かと会って、これ面白いよねと同意して笑うこともある。時代や国や文化によって異なるユーモア感覚もあるが、すべてを超えた笑いも存在するのではないだろうか。

 あまねく地球上に存在するすべてのユーモアの源泉を集めてみたい。表現は異なるかもしれないが、小さな笑い、大きな笑い、爆笑、失笑、艶笑、冷笑、微笑、苦笑 …。ひとつひとつを拾いだし、一堂に見てみたい。


  ①ユーモアは心を和ませる。 ②ユーモアは暗い氣持ちをひきたてる。
ユーモアの中身は複雑であるが、このふたつを頭の隅に置いて見てほしい。

 ユーモアは、コミュニケーションの本質だ。

浅葉克己

※「ナジャ(Nadja)」(現在閉店)と「アイララ( AiLARA)」は新宿二丁目の伝説のスナック。常連客には赤塚不二夫やタモリ、荒木経惟、唐十郎、金子國義、四谷シモン等、ジャンルを超えた文化人が名を連ねる。ナジャのコースターデザインを宇野亞喜良が、アイララのロゴは浅葉克己が手がけた。

 

 

 

 

 


浅葉克己ポートレート

 

浅葉克己

1940年横浜生まれ。桑沢デザイン研究所、佐藤敬之輔タイポグラフィ研究所、ライトパブリシティを経て、1975年浅葉克己デザイン室を設立。日本の広告史に残る数多くの名作ポスター、コマーシャルを制作する。1987年東京タイプディレクターズクラブを設立。代表作に、長野オリンピック公式ポスター、サントリー「夢街道」、西武百貨店「おいしい生活」、武田薬品「アリナミン A」、ミサワホーム「ミサワデザインバウハウス」等。中国に伝わる生きている象形文字「トンパ文字」に造詣が深い。2015年には年間で 4度の個展を開催。2015年は「浅葉克己デザイン日記」、2016年は「薔薇刑」にて 2年続けてADC原弘賞を受賞した。その他、毎日デザイン賞、日本アカデミー賞、ADCグランプリ2回、ADC原弘賞 3回、紫綬褒章、旭日小綬章、亀倉雄策賞など受賞多数。東京ADC委員、東京TDC理事長、JAGDA理事、AGI日本代表、東京造形大学・京都精華大学客員教授、青森大学客員教授、桑沢デザイン研究所10代目所長。卓球六段。


 

 

 

 

|  展覧内容 一部紹介

福田繁雄「アンダーグランドピアノ」1984年

 

ディーン・プール「Fingers」 2018年

 

日比野克彦「種は船 Y150丸」2008年(左)、「種は船 横トリ丸」2008年(右)

 

クリヨウジ(久里洋二)「LOVE」1963年

 

上野真未「巨豚がキョトン」2018年

 

 


ダミアン・プーラン「People Power」2018年

 

 

ジョン・ウッド&ポール・ハリソン「The Only Other Point」2005年

■関連イベント
○オープニングトーク
日時:2019年3月23日(土)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー 1&2
出演:浅葉克己、他

*この他にも会期中、多数のイベントを企画しております

 

 

【開催概要】
企画展「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」
会期:2019年3月15日(金)~6月30日(日)
休館日:火曜日(4月30日は開館)
開館時間:10:00-19:00(入場は18 :30まで)
              *5月25日(土)は六本木アートナイト2019開催にあわせて23:30まで開館延長(入場は23:0 0まで)
入館料:一般 1,100円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー 1&2
        〒107 -0052 東京都港区赤坂 9 -7-6 → map
         東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
tel::03-3475-2121 
アクセス:都営地下鉄大江戸線「六本木」駅 東京メトロ日比谷線「六本木」駅
           東京メトロ千代田線「乃木坂」駅より徒歩5分
主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
後援:文化庁、経済産業省、港区教育委員会
特別協賛:三井不動産株式会社
協力:株式会社グリーンディスプレイ、公益財団法人 DNP文化振興財団
展覧会ディレクター、グラフィックデザイン:浅葉克己
企画協力:中村至男、鈴野浩一/トラフ建築設計事務所、上條桂子

参加作家:赤木 仁、anothermountainman(スタンリー・ウォン)ロン・アラッド、浅葉 春、
               福田繁雄、ジャンピン・ヘ、日比野克彦、井上嗣也、金子國義、クリヨウジ(久里洋二)、
               トミー・リー、中村至男、玉屋庄兵衛、上野真未、ディーン・プール、ダミアン・プーラン、、
               サイトウ・ P・ヒロヒサ、和田 誠、渡辺紘平、ジョン・ウッド&ポール・ハリソン、他
http://www.2121designsight.jp/program/humor/index.html

 

21_21 DESIGN SIGHTディレクター:三宅一生、佐藤卓、深澤直人
アソシエイトディレクター:川上典李子

 

 

 


21_21 DESIGN SIGHT
東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
TEL: 03-3475-2121
http://www.2121designsight.jp/

 

(文:21_21 DESIGN SIGHT  /  更新日:2019.02.02)

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