竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵 チラシ
竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション
メトロポリタン美術館所蔵
Japanese Bamboo Art from New York: The Abbey Collection
Gifts to The Metropolitan Museum of Art
東京国立近代美術館工芸館では、2019年9月13日(金)-12月8日(日)の期間、メトロポリタン美術館に収蔵されることになった世界有数の竹工芸コレクション『アビー・コレクション』の中から厳選した、竹工芸作品75件を紹介する「竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵」を開催します。
今回の展覧会はニューヨークのメトロポリタン美術館で話題となった竹工芸展の里帰り展です。アビー・コレクションと工芸館の選りすぐりの名品によるコラボレーションが見られるのは東京会場だけです。さらに、重要無形文化財保持者(人間国宝)による文化庁制作の「工芸技術記録映画」から、これまでに制作された竹工芸の映像3本すべてを展示室でご覧いただけます。
飯塚小玕斎《白錆花籠 雲龍》1990年
藤塚松星《潮》1978年
The Abbey Collection,“Promised Gift of Diane and Arthur Abbey to The Metropolitan Museum of Art.”
Images© The Metropolitan Museum of Art
日本初公開!世界を魅了した日本の竹工芸コレクション
日本の工芸に対する国際的な評価の高まりとともに、竹工芸特有の美しさと表現形態は世界的に関心を集めています。なかでもニューヨークのアビー夫妻が収集した日本の近現代の竹工芸作品は「アビー・コレクション」として知られています。コレクションがメトロポリタン美術館に収蔵されるのを機に2017年から開催された展覧会「Japanese Bamboo Art:The Abbey Collection(日本の竹工芸:アビー・コレクション)」は、47万人以上を動員し大きな話題を呼びました。本展は、アビー・コレクションを日本で初めて紹介する里帰り展です。工芸館所蔵の近代工芸の名品とあわせて、アビー・コレクションから厳選した75件の竹工芸を展示し、その自由な造形美の魅力を改めてご紹介します。
アビー・コレクション×工芸館名品スペシャルコラボ!!
近現代工芸史を彩る名品を多数所蔵している工芸館。素材と技を駆使してさまざまな表現をみせる工芸館の所蔵品の中から、選りすぐりの作品を竹工芸と取り合わせてご紹介します。工芸史における竹工芸の位置付けとその発展の歴史をおさらいしながら、より俯瞰的な視点でアビー・コレクションをご覧いただける、東京会場だけのスペシャルコラボ企画です。
Ⅰ. 東日本
竹工芸の世界では、明治時代に花籠などを作る「籠師」と呼ばれる職人が台頭し、次第に「職人」から「作家」を目指すようになっていきました。その活動の舞台となったのが、工芸品としての美しさや創意を競う美術展覧会でした。大正から昭和にかけて、作家としての地位を確立して竹工芸を芸術の域にまで高めた飯塚琅玕斎、小玕斎父子は東京で活動しましたが、彼らの故郷である栃木は、現在の重要無形文化財「竹工芸」保持者(いわゆる人間国宝)である勝城蒼鳳と藤沼昇をはじめ、著名な竹工芸家を多数輩出しています。また新潟県佐渡の本間一秋、秀昭父子、愛知の鳥居一峯、静岡の長倉健一などが、新たな表現手法を積極的に取り入れ、多様な創作を繰り広げています。
飯塚琅玕斎 《花籃 旅枕》1940年代前半
藤沼昇 《網代編盛籃 無双》2012年
勝城蒼鳳 《花籃 起耕》1999年
本間秀昭《流紋》2014年
長倉健一《花入女(ひと)》2018年
Ⅱ. 西日本
江戸時代末期から明治時代の初め、茶の文化の中心地であった大阪では、中国趣味や文人文化の趣向が流行しました。「唐物(からもの)」と呼ばれる中国製の道具類が珍重され、そして唐物を手本として日本国内でも唐物風の煎茶道具を作る籠師が増えていきました。大阪を中心とした煎茶愛好家たちの強力な支援を背景に、竹工芸は日本独自の編みの手法や様式を発展させていきました。初代早川尚古斎にはじまる早川家や、多くの籠師を育てた初代和田和一斎、その一門から出た初代田辺竹雲斎にはじまる田辺家、初代田辺竹雲斎の流れをくむ前田竹房斎の家系など、技を高め合った名匠の下から多くのすぐれた子弟が育ち、現代に続く竹工芸の発展を大きく前進させました。
三世早川尚古斎《堤梁花籃 舞蛙》1918年
門田篁玉《維新》 1981年
四代田辺竹雲斎 《舟形花籃 出帆》 2015年
Ⅲ. 九州
大分県の別府は、明治時代後期から、別府温泉の発展と豊富で優良な竹林資源によって、竹細工の産業が盛んになっ
たことで知られています。その伝統を背景に、別府では竹工技術者の養成が開始され、多くの名工が生まれました。戦後の日展では、生野祥雲斎が竹素材の特質を活用した彫刻的な立体造形による表現を確立し、また竹工芸の分野で初の重要無形文化財保持者の認定を受けるなど、めざましい活躍をみせました。その後も、門田二篁や生野徳三らが
大分の竹工芸の発展を継承しています。
生野徳三 《洸》1993年
本田聖流 《舞》 2000年
| イベント
■ シンポジウム「アビー・コレクションから考える竹工芸の現在(いま)」
9月14日(土)午後2時~5時
モニカ・ビンチク氏(メトロポリタン美術館アジア美術部学芸員、ダイアン&アーサー・アビー日本工芸
担当アソシエイトキュレーター、本展監修者)
諸山正則氏(工芸史家、前東京国立近代美術館主任研究員、本展監修者)
藤沼昇氏(出品作家)
本間秀昭氏(出品作家)
主催:東京国立近代美術館
協力:日本工芸会
■ ギャラリートーク
10月6日(日)午後2時~ 鈴木さとみ氏(栃木県立美術館学芸員)
11月3日(日)午後2時~ 四代 田辺竹雲斎氏(出品作家)
12月1日(日)午後2時~ 中尾優衣(東京国立近代美術館主任研究員)
■ 会期中水・土曜日タッチ&トーク午後2時~午後3時
申込不要・参加無料(要当日観覧券)
「アビー・コレクション」とは?
ニューヨーク在住の美術コレクター、ダイアン&アーサー・アビー夫妻は、1990年代から自らの審美眼で日本の竹工芸を収集してきました。200点を超える「アビー・コレクション」は、竹工芸の近代的発展に重要な役割を担った明治期の名工から、竹による新たな表現の可能性に挑戦する現代の作家までを幅広く収集対象とし、竹工芸の近現代史を語ることのできる貴重なコレクションとなっています。
【開催概要】
展覧会名(日):
竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵
展覧会名(英):
Japanese Bamboo Art from New York: The Abbey Collection Gifts to The Metropolitan Museum of Art
会期:2019年9月13日[金]-12月8日[日]
会場:東京国立近代美術館工芸館(千代田区北の丸公園・竹橋)
〒102-0091 東京都千代田区北の丸公園1-1 → map
主催:東京国立近代美術館、NHK、NHKプロモーション
企画:協力Ueki & Associes
協力:日本航空
開館時間:午前10時~午後5時(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日[火]、9月24日
[火]、10月15日[火]、11月5日[火]
観覧料
一般900円(700円) 大学生500円(350円) 高校生300円(200円)
中学生以下および、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
*()内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
*割引・無料には入館の際、学生証・運転免許証など年齢のわかるもの、障害者手帳をご提示ください。
https://www.momat.go.jp/cg/exhibition/theabbeycollection2019/#section1-1
アクセス
東京メトロ東西線「竹橋駅」1b出口徒歩8分
東京メトロ東西線・半蔵門線/ 都営新宿線「九段下駅」2番出口徒歩12分
■東京国立近代美術館工芸館について
工芸館は、日本で最初の国立美術館である東京国立近代美術館の分館として、建築家・谷口吉郎が改修を手がけ、昭和52(1977)年に開館しました。総数約3,860点(平成31年3月31日現在)を収蔵し、近現代の工芸およびデザイン作品を全般にわたって幅広く収集をおこなっています。工芸館の赤レンガの建物は、明治43(1910)年に建てられた旧近衛師団司令部庁舎を保存活用したもので、現在、重要文化財に指定されています。
※工芸館は2020年、石川県金沢市へ移転します。
https://www.momat.go.jp/cg/
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(文:制作 PR-M _PR制作部-1 / 更新日:2019.08.17)