2021年度 グッドデザイン大賞には
外出困難な人々が遠隔操作しサービススタッフとして働く
夢のある働き方を叶える実験カフェ
オリィ研究所『分身ロボットカフェDAWN ver.β』が受賞
2021年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)は、分身ロボット『OriHime』(オリヒメ)の開発、提供を手掛ける株式会社オリィ研究所(運営する『分身ロボットカフェDAWN ver.β』(ドーン バージョン ベータ)が、大賞を受賞いたしました。
2021年度グッドデザイン大賞
https://www.g-mark.org
◆グッドデザイン大賞
グッドデザイン大賞は、その年に受賞したすべてのグッドデザイン賞受賞対象の中で、最も優れたデザインと認められるものに贈られる内閣総理大臣賞です。この賞は、その年のグッドデザイン賞審査委員(以下「審査委員」という)、グッドデザイン賞受賞者(以下「受賞者」という)、及び東京ミッドタウン・デザインハブで開催される「2021年度グッドデザイン賞受賞展」の来場者(以下「一般来場者」という)の投票により選ばれ、その年のデザインおよび社会の傾向を象徴する役割を担っています。
「動けないが働きたい」人が遠隔操作で働ける分身ロボット「OriHime」「OriHime-D」
2021年11月2日に行われた「グッドデザイン大賞」選出会において5つのファイナリストの中から、今年度の最高賞である「グッドデザイン大賞」は『分身ロボットカフェDAWN ver.β』が受賞。
「分身ロボットカフェ」は、2021年6月21日(月)に日本橋にオープンした株式会社オリィ研究所が主宰・運営する、ALSなどの難病や重度障害で外出困難な人々が、分身ロボット「OriHime」「OriHime-D」を遠隔操作しサービススタッフとして働く夢のある働き方を叶える実験カフェです。このカフェでは、「動けないが働きたい」という意欲ある外出困難者たちに雇用を生み出すと同時に、人々の社会参加を妨げている課題をテクノロジーによって克服することを目指しています。
◆分身ロボットカフェDAWN ver.β(ドーンバージョンベータ)
「すべての人に社会とつながり続ける選択肢を」をテーマに、ALSなどの難病や重度障害で外出困難な人々が分身ロボットを遠隔操作して働く常設実験カフェ。社会課題をテクノロジーによって克服し「動けないが働きたい」という意欲ある人々に雇用の場を提供し、ここから企業就職するケースも生む。2018年に協賛やクラウドファンディングによる支援を受け初開催し、以降3回の期間限定開催を経て2021年6月、遂に常設店舗を開店いたしました。
【店舗概要】
店舗名:「分身ロボットカフェDAWN ver.β」
営業時間:10:00〜19:00(LO18:30)
※OriHimeが接客する席の営業時間は店舗全体の営業時間と異なる場合があります。
定休日:不定休(メンテナンスによる休業の場合は公式サイトなどで告知)
住所:〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3丁目8−3 東硝ビル1F ⇒ map
(「日本橋ライフサイエンスビルディング3」に改称)
最寄駅:東京メトロ日比谷線 小伝馬町駅 徒歩4分 /JR総武線 新日本橋駅 5番出口すぐ
東京メトロ銀座線 三越前駅 徒歩7分、JR山手線 神田駅 徒歩10分
席数:約70席
面積:約300㎡(うち、カフェエリア:190㎡)
公式サイト: https://dawn2021.orylab.com/
※「OriHime」「分身ロボットカフェ」は株式会社オリィ研究所の登録商標です。
▼ 開発者
開発者:吉藤オリィ
開発者からのコメント:
長寿化が進む日本であるが、平均健康寿命と平均寿命の間には依然として約10年というギャップが存在する。寝たきりにならないのは寝たきりになる前に天寿を全うした人だけであり、医療の発展と共に将来的に多くの人が寝たきりになる可能性がある。我々はいずれ来る「セカンドライフ」についてはこんな趣味をしたい、ここに行ってみたいという豊かな夢を描くが、寝たきりになってからの「サードライフ」には具体的な未来像を描けずにいるばかりか、やがて来る現実から目を逸らすばかりである。 こうした私たちにとっての未来を先に生きているのが、我々が「寝たきりの先輩」と呼ぶ外出困難者・重度障害者たちである。彼らが社会と繋がり続け、誰かのためになっているという生の実感を得られるかどうかに、日本が世界から大きな注目を寄せられている「超高齢化社会をどう豊かに生きるのか」についての解があるのではないか、ということからこのカフェの実現を発想した。
我々は「障害」を障害者手帳の有無などではなく「したいことがあるのにできない状態」と定義している。このためOriHimeパイロットの中には重度障害を抱える外出困難者に限らず「メルボルンに住む子育て中の女性」も含まれている。彼女は「外に出て働きたいのに子育てのためそれが叶わない=障害状態にある」と考えるからである。彼女は頻繁に外国人観光客が来訪した渋谷のカフェでは「マリーさん、英語対応お願いします!」というメッセンジャーひとつで2分後にOriHimeにログインし、流暢な英語でお客様をお迎えできるので大好評であった。これこそが私たちの考える「リレーションテックによる適材適所社会」である。先天性の障害で寝たきりだった特別支援学校の女子高校生は在校中にこのカフェで働いた体験をにより「同じ道を後輩にも開きたい」という思いを抱くようになり、社会福祉士の資格獲得を目指してこの春からの大学進学を決めた。特別支援学校の卒業後に大学進学を選ぶ生徒は全体の5%とも3%とも言われている現状から考えても、彼らがこのカフェでの経験を通じて得た「未来を描く力」が次の世代への道を拓くきっかけになっていることは間違いない。
▼ 店舗デザイン
オヤマツデザインスタジオ 親松実
デザイナーからのコメント:
開発者の皆さんからこのプロジェクトの開発秘話や過去の実験店舗の話を聞くうちに、OriHimeの魅力とその可能性にどんどん引き込まれていった。コンセプトについてのディスカッションを繰り返すうちに、やがて「健常者と障害者とロボットが共存するカフェ」の形に導かれていった。障害者にフォーカスを当てた空間を造るのではなく、あたりまえにすべての人が共存する空間を目指した。店内は複数のエリアで構成されているが、「スナック織姫」のバーカウンターの遊び心も空間のアクセントになっている。バリアフリーの観点でも、一般社団法人WheeLogさんからの具体的なアドバイスを受け、車椅子が足入れできるテーブルの微妙な高さやエリアを繋ぐ動線の確保、バリアフリートイレの細かな衛生機器の配置までかなり細かいところまで配慮されている。まさに未来のカフェの在り方が凝縮された店舗となっている。
デザイン面では、ディスカッションの中でこの分身ロボットOriHimeが意外にも自然物や植栽と相性が良いことを発見できたのは大きな収穫だった。白いOriHimeのボディが、従来のロボット関連店舗にイメージされがちな「いかにも未来的な空間」ではなく「ほの暗く緑豊かな空間」でこそ際立つという効果を狙った。この狙いがどうだったかについてはSNSに掲載された #分身ロボットカフェ のタグがつけられた数々の写真を見れば一目瞭然であろう。
【株式会社オリィ研究所について】
「人類の孤独をリレーションテックで解決する」をミッションとし、遠隔操作でありながら「その場にいる存在感」を共有できる分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」を中心としたロボットの製造、および分身ロボットを活用した就労支援サービス「AVATAR GUILD(アバターギルド)」の提供を行なっている。他プロダクトとしては、テレワークでの肉体的社会参加を可能にする分身ロボット「OriHime-D(オリヒメディー)」、重度障害があっても目や指先などの僅かな動きだけでコミュニケーションを可能にする意志伝達装置「OriHime eye+Switch(オリヒメアイプラススイッチ)」など。
当社では今回の大賞受賞を契機にさらなる事業の拡大やソリューション開発を進めることを通じ、外出困難者の就労と社会参加を積極的に推進し、今後とも未来の新たな働き方の発明に務めてまいります。
株式会社オリィ研究所 公式HP https://orylab.com/
◆グッドデザイン賞とは
1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に毎年実施され、賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。
◆GOOD DESIGN SHOW 2021
グッドデザイン BEST100の受賞作品が一堂に会する受賞作品展が、特設ウェブサイトと実会場での展示を中心に実施されます。
日程:10月20日(水)〜 11月21日(日)
会場:特設ウェブサイト、東京ミッドタウン・デザインハブほか
http://promo.g-mark.org/ (※事前予約制)
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(文:制作_インテリア情報サイト編集部_3 / 更新日:2021.11.04)