*展覧会メインビジュアル 掲載プロダクト:フェイ・トゥーグッド 「ローリーポーリー」(2018、ドリアデ)
21_21 DESIGN SIGHT 企画展
「The Original」
2023年3月3日(金) ~6月25日(日)
21_21 DESIGN SIGHTでは、2023年3月3日より企画展「The Original」を開催します。展覧会ディレクターには、デザインジャーナリストの土田貴宏を迎えます。
本展では、世の中に深く影響を与えるデザインを「The Original」と定義し、紹介します。ただし、ここでいう「The Original」は必ずしもものづくりの歴史における「始まり」という意味ではありません。多くのデザイナーを触発するような、根源的な魅力と影響力を備え、そのエッセンスが後にまで繋がれていくものです。
これまで21_21 DESIGN SIGHTでは、「デザインは生活を楽しく、豊かにし、思考や行動の可能性を広げてくれるものである」という考えに基づき展覧会を開催してきました。生活の中にある多様なデザインは、その歴史の中で影響し合い、時代に求められる形へと展開し続けています。しかし、生活様式が目まぐるしく変化する現代の社会では、そのデザインのエッセンスを見失いがちであるだけではなく、溢れる情報の中で、それに出会おうとする意欲すらも薄れているかもしれません。
世界の流行や潮流(トレンド)に適応することではなく、目の前にあるデザインの参照点であり、すべての端緒となる「The Original」をたどること。そしてあらためて見つめなおすことは、デザインの時間を超えた文脈と、それらを生み出したデザイナーたちとのつながりをもたらすでしょう。
会場では、デザインの第一線で活躍する3名.本展ディレクターの土田、企画原案の深澤直人と企画協力の田代かおるによって選ばれた100点以上のプロダクトを展示。家具、食器からテキスタイルや玩具などの「The Original」が並びます。あわせてその魅力を伝える写真やテキスト、選考過程や関係性を説明する資料などを通して、「The Original」の背景にある考え方をあますところなく紹介します。
私たちの日常にあるデザインをつぶさに見ていくと、それらの創造の原点となったものは、個人と社会のヴィジョンの交点に生まれてきたとも言えます。それらに「The Original」として再び目を向けることが、未来のデザインを生み出し、思考や行動の可能性を広げることにつながると信じています。
■ ディレクターズ・メッセージ
私たちの暮らしを取り囲む、きわめて多様なデザインの数々。それらの中で、オリジナルという言葉にふさわしいものはどれくらい存在するでしょうか。確かな独創性と根源的な魅力、そして純粋さ、大胆さ、力強さをそなえたデザイナーによるプロダクトを、この展覧会では「The Original」と呼びたいと思います。
The Originalは、ひとつの点にたとえることができます。その点に十分な影響力があれば、点は線へ、さらに面へと展開するでしょう。つまり後に続くいくつものデザインが、原点に対するバリエーションとして長期にわたり生まれていきます。やがてひとつの点は、時代の中で見えにくくなってしまうかもしれません。しかし生活を本質的に豊かにしたのはThe Originalであり、そこに宿ったオリジナリティの力です。
オリジナリティという概念は、さまざまに解釈することができます。そもそもあらゆるデザインには、何らかのオリジナリティがそなわっているようにも思えます。だからこそ、この展覧会で改めて紹介するのは、既存のプロダクトから現在の視点によって見出した「これはThe Originalではないか?」と考えられるものです。つまり1点1点の展示品はそれを観る人への問いかけであって、必ずしも歴然とした答えではありません。テキストや展示空間はじめ展覧会全体を通して、このテーマの輪郭を明らかにできたらと思います。
デザインにおいて「歴史に学ぶ」とは、過去のThe Originalに追従することではなく、そのすごさに触れた上で新しいThe Originalをつくることではないでしょうか。デザインの意味がどれほど変化し、また拡張しても、こうした循環はきっと変わりません。The Originalは、揺れ動く時代においてなお、立ち返るべきところとしての重要性を高めていくはずです。
土田貴宏
土田貴宏
デザインジャーナリスト、ライター。1970年、北海道生まれ。会社員を経て2001年からフリーランスで活動。国内外での数多くの取材やリサーチをもとに専門誌などに寄稿している。コンテンポラリーデザインを主なテーマとして、家具、インテリア、日用品について書くことが多い。東京藝術大学、専門学校桑沢デザイン研究所で非常勤講師を務める。近著『デザインの現在コンテンポラリーデザイン・インタビューズ』(PRINT & BUILD)。
【開催概要】
タイトル:21_21 DESIGN SIGHT企画展「The Original」
会期:2023年3月3日(金)~ 6月25日(日)
休館日:火曜日(3月21日は開館)
開館時間:10:00 - 19:00(入場は18:30まで)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
〒107-0052東京都港区赤坂9-7-6 ⇒ map
東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
tel.:03-3475-2121 www.2121designsight.jp
アクセス
都営地下鉄大江戸線・東京メトロ日比谷線「六本木」駅、
東京メトロ千代田線「乃木坂」駅より徒歩5分
主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
特別協賛:三井不動産株式会社
展覧会ディレクター:土田貴宏
企画原案:深澤直人
アートディレクター:佐藤 卓
グラフィックデザイン:飯田将平(ido)
会場構成:吉田裕美佳(FLOOAT, Inc.)
企画協力:田代かおる
写真:ゴッティンガム
21_21 DESIGN SIGHTディレクター:佐藤 卓、深澤直人
アソシエイトディレクター:川上典李子
*本展より入場料の変更を予定しております。
《会場風景》
ギャラリー2 撮影:木奥恵三
21_21 DESIGN SIGHT
東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
TEL: 03-3475-2121
http://www.2121designsight.jp/
(文:21_21 DESIGN SIGHT / 更新日:2023.01.07)