倉俣史朗 ショップ「スパイラル」 1990 撮影:淺川敏 © Kuramata Design Office
【世田谷美術館】
没後30年を超えた回顧展 倉俣史朗をいま、振り返る
「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」を開催
2023年11月18日〜2024年1月28日
世田谷美術館では、2023年11月18日〜2024年1月28日の期間、「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」を開催します。この展覧会は巡回展で、2024年2月17日〜4月7日の期間は富山県美術館で、2024年6月11日〜8月18日の期間は京都国立近代美術館で開催します。
・80年代は日本が一番輝いていたときだからこのデザインが生まれたのか、それとも倉俣史朗が天才だったのか。【フォト・レポート】「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」>>>>
いまや伝説のデザイナーとも言える倉俣史朗。発表当時、センセーショナルな話題となった飲食店や服飾店の店舗デザインを手がけ、また独創的な家具を発表しました。しかし、1991年、そのキャリアの絶頂のなかで突然亡くなります。享年56。その早すぎる死のために、デザイン界は宙吊りのまま置いておかれたと言ってもいいでしょう。そのためか、倉俣の業績を検証する展覧会は数多くありません。そして生前より日本よりもヨーロッパでの評価が高いということもありました。没後30年を超えて、今新たに、倉俣史朗の人と作品を検証し、その詩情あふれるデザインを読み直します。
展覧会概要
倉俣史朗(1934-1991、1978年以降は世田谷区在住)は、1960年代以降のデザイン界において、世界的に高い評価を受けたデザイナーです。富山県美術館所蔵の椅子《ミス・ブランチ》(1988年)に代表されるように、アクリル、ガラス、建材用のアルミなど、従来の家具やインテリアデザインの世界では用いられなかった工業素材に独自の詩情を乗せた仕事は、特に1970年代以降、世界的な注目を集めました。
1991年の没後もなお、比類ないデザイナーとして揺るがない評価を保っている倉俣ですが、国内美術館での紹介は数多いとは言えません。没後5年に原美術館から始まり、世界巡回をした回顧展(1996年)の後は、21_21デザインサイトでのエットレ・ソットサスとの二人展(2011年)がありました。しかし、埼玉県立近代美術館(2013年)以降、大きな展覧会は開かれていません。
本展では、作家の内面やその思考の背景による「倉俣史朗自身」を一つの軸としつつ、その「倉俣史朗自身」と紐づけながら初期から晩年までの作品を紹介することを試みます。2021年に没後30年を経たことも一つの契機として、同時代を生きた世代だけではなく、若い世代にも倉俣史朗という人と仕事を伝える機会となるでしょう。
展示構成
プロローグとして、独立前の三愛所属時代の仕事を紹介。
その後、年代を4パートに区切り、倉俣の仕事をテーマごとに見せます。
途中、「倉俣史朗の私空間」として、愛蔵の書籍とレコードを挿入。
エピローグでは、イメージ・スケッチと過去あまり公開されてこなかった夢日記や言葉をまとめて紹介し、倉俣史朗のデザインのその先を検証します。
倉俣史朗 ミス・ブランチ 1988 富山県美術館蔵 撮影:柳原良平 © Kuramata Design Office
倉俣史朗 ハウ・ハイ・ザ・ムーン 1976 富山県美術館蔵 撮影:柳原良平 © Kuramata Design Office
倉俣史朗 アクリルスツール(羽毛入り) 1990 京都国立近代美術館蔵 © Kuramata Design Office
倉俣史朗 抽斗の椅子 1967 富山県美術館蔵 © Kuramata Design Office
展覧会の見どころ
今、倉俣史朗を振り返る
バブル経済の絶頂期の1991年に、56歳という若さで突然亡くなった伝説のデザイナー倉俣史朗。その後、磯崎新や三宅一生といった同時代に仕事をした世界的デザイナーがたびたび言及するも、その業績を目の当たりにする機会は多くありませんでした。没後30年を超えた今回の回顧展では、いままであまり公開されてこなかった資料も含め、倉俣史朗の業績を回顧します。
海外での評価の高さ
香港に強大な美術館M+が誕生しました。そこに倉俣史朗がインテリアデザインを手掛けた新橋の寿司店「きよ友」がまるごと移設されたことはニュースになりました。店舗を丸ごと美術館に移設するというのも例がないのではないでしょうか。倉俣史朗の家具も海外の家具メーカーによって復刻・販売されています。造花の薔薇をアクリルに閉じ込めた《ミス・ブランチ》だけではない、倉俣史朗のデザインに対する世界的評価を再確認する機会です。
誰も知らない倉俣史朗
そのようにそのデザインの先駆性が今でも高く評価される倉俣史朗ですが、なにを考えてデザインをしていたのでしょう。今回の展覧会では、独立前に三愛で手がけていた仕事から、デザインという形にはならずに断片的に書き留められたままのスケッチや夢日記を紹介することで、その創作の源泉と秘密に迫ります。また、倉俣自身の言葉を多数紹介することで、伝説というヴェールを剥がして、本人に迫ります。
倉俣史朗
1934年に東京で生まれる。駒込の理化学研究所内で育った幼年期の思い出と、第二次世界大戦中の疎開先での光景が、その後の倉俣のデザインに通底し続けた。1965年の独立後は、次々と話題となる店舗デザインを発表し、同時代の美術家とも親しく交流した。1980年以降はイタリアのデザイン運動「メンフィス」に参加。その中心となったデザイナーのエットレ・ソットサスは、「ほかのデザイナーが電報を打っている時に、シローだけが俳句を詠んでいた」と語った。
倉俣史朗 イメージスケッチ「猫とHow High the Moon」 1980年代 クラマタデザイン事務所蔵
© Kuramata Design Office
倉俣史朗 イメージスケッチ「ミス・ブランチ」 1980年代 クラマタデザイン事務所蔵 © Kuramata Design Office]
倉俣史朗 スケッチブック「言葉 夢 記憶」より 1980年代 クラマタデザイン事務所蔵 © Kuramata Design Office
巡回展は、富山県美術館で2024年2月17日〜4月7日、京都国立近代美術館で2024年6月11日〜8月18日。
※画像の無断転載やコピーはご遠慮ください
【開催概要】
倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙
会期:2023年11月18日〜2024年1月28日
休館日:毎週月曜日および年末年始(12月29日~2024年1月3日)
*ただし、1月8日は開館。1月9日は休館
開館時間:10:00〜18:00(最終入場時間 17:30)
会場:世田谷美術館
主催:世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)、朝日新聞社
後援:世田谷区、世田谷区教育委員会
助成:公益財団法人花王・芸術・科学財団
特別協力:クラマタデザイン事務所
観覧料:一般1200(1000)円、65歳以上1000(800)円、大高生800(600)円、中小生500(300)円
*( )内は20名以上の団体料金。事前に電話でお問い合わせください。
*障害者の方は500円。ただし、小中高大学生の障害者は無料。介助者(当該障害者1名につき1名)は無料(予約不要)。
*未就学児は無料(予約不要)。
*高校生、大学生、専門学校生、65歳以上の方、各種手帳をお持ちの方は、証明できるものをご提示ください。
*ご入館に際しては感染症予防のため手指消毒、検温にご協力ください。館内で充分な距離を保てない場合がありますので、マスクの着用を推奨しています。
*展覧会の会期および内容が、急遽変更や中止になる場合もございます。会期中の最新情報は美術館ウェブサイト等でお知らせします。
*チケット情報:https://www.artpr.jp/setagayaartmuseum/www.e-tix.jp/setagayaartmuseum
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
詳細:https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00216
世田谷美術館は、東京都世田谷区の砧公園のなかにある美術館で建築家内井昭蔵の作品。地下1階・地上2階で、公園の背の高い木々に埋まるように有機的な平面形状で展開される建築物である。統一された正方形の凹凸でコンクリートに表情を造り、正三角形のトラス状の柱を全体の共通モチーフとして多用するなどの特徴的なディテール設計についても評価が高い。
世田谷美術館
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/
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(文:制作 PR-M _PR制作部-1 / 更新日:2023.09.09)