»Archaeological research« as part of the project preparation
© Atelier Tsuyoshi Tane Architects, Pari
「田根剛:ガーデン ハウス」
ヴィトラ デザイン ミュージアム ギャラリーにて開催
2024年11月18日~2024年4月21日
Tsuyoshi Tane:The Garden House
18 November 2023 to 21 April 2024,
Vitra Design Museum Gallery
「ヴィトラ デザイン ミュージアム ギャラリー」では、2024年11月18日~2024年4月21日の期間『Tsuyoshi Tane: The Garden House』を開催します。
本展は、2023年6月にヴィトラ キャンパス内に竣工、発表された「Tane Garden House(ガーデン ハウス)」にまつわる展覧会です。
Tane Garden House, Vitra Campus, 2023© Vitra / ATTA, photo: Julien Lanoo
面積わずか15平方メートルのガーデンハウスは、「アウドルフ ガーデン」を整える庭師の休憩小屋でありながら、屋上にはキャンパスを訪れる観光客のための展望台が併設されています。
パリを拠点とする日本人建築家の田根剛は、設計面積の規模は小さくとも、このプロジェクトには大きな意義があると理解していました。その土地の歴史と記憶の徹底的なリサーチを重ね、地元の伝統的な技術や地域資源を活用する独自のデザインアプローチに、その想いは反映されています。本展覧会には、ガーデンハウスのスタディモデル、模型や図面、地元の職人との親密な協働プロセスが、建築家本人の空間構成によって展示されています。
Concept model, scale: 1:200 © Atelier Tsuyoshi Tane Architects, Paris
Concept collage © Atelier Tsuyoshi Tane Architects, Paris
ヴィトラキャンパスにガーデンハウスを建設するというアイデアは、ヴィトラ名誉会長のロルフ・フェルバウムによって発案されました。彼は、2020年に田根剛へ送ったメッセージの中で、以下のように述べています。「ピート・アウドルフによる『アウドルフ ガーデン』と『Tane Garden House』は、ヴィトラキャンパスにおいて、世界的な気候変動への高い意識を体現する最初の建築となるだろう。それゆえ、ガーデンハウスの構造、材料、施工法、すべての点において、サステイナビリティに対する高い基準が求められます。」
Concept/volume study models © Atelier Tsuyoshi Tane Architects, Paris
設計に至るまでの長い道のりは、まるで考古学者のように、場所の記憶を探り、掘り起こすことから始まりました。田根剛はこのアプローチを「Archaeology of the Future - 未来の考古学」と呼んでいます。ヴィトラデザインミュージアムギャラリーの展覧会は、彼独自の考古学的なアプローチとその先の創造的なプロセスが、どのように建築として形を成していくのかを明らかにしています。 100を超える模型やモックアップは、さまざまな試行錯誤と、構想が段階的かつダイナミックに変化していく様を表現しています。
Material study models, scale: 1:30 © Atelier Tsuyoshi Tane Architects, Paris
田根剛は、持続可能性という観点から、「above ground(地上)」をコンセプトに掲げ、建築における地下資源の過剰使用に対しての疑問を呈しました。茅や木材などの再利用可能な地上の素材は、スイスのバレンベルク野外博物館の歴史的建造物の一部から着想を得ました。このプロジェクト実現には近隣の職人同士のネットワークが重要になる考えていた田根剛は、彼らを「neighbours(隣人)」と呼び、彼らとの深い協働を通して地元の素材と技術を、このガーデンハウスに用いました。
Volume models, scale: 1:30 © Atelier Tsuyoshi Tane Architects, Paris
Key Visual »Tsyuoshi Tane: The Garden House« © Vitra Design Museum,
Graphic Design: Thorsten Romanus
Project model, scale: 1:10 © Atelier Tsuyoshi Tane Architects, Paris
Site model, scale: 1:30 © Atelier Tsuyoshi Tane Architects, Paris
Recycled wood podiums for the exhibition © Atelier Tsuyoshi Tane Architects, Paris
Rope knitting studies, scale: 1:5© Vitra / ATTA, Foto: Julien Lano
建物に使用されている部材は、単に建築の一部であるだけでなく、地域の素材、職人技術や知見の集合的な記録でもあります。例えば、伝統的な茅葺き屋根、一本の丸太から彫られた手洗い場、ロープを紡ぎ作られた階段の欄干などがそれにあたります。また、建築模型は、豪奢なパビリオンのようなものから実用的な道具小屋に至るまで、ガーデンハウス=庭小屋の歴史的な意味や形を類型学的に捉えようとする田根剛の思考を反映しています。それらの集大成として、地元の資源を最大限に活用することで環境への影響を最小限に抑えた、最新のガーデンハウスが誕生しました。この展覧会においてもガーデンハウス建設過程で生まれた廃材を展示台に再利用することで環境への配慮をしています。
展覧会開催に併せて出版された書籍『Tane Garden House』には、さまざまな模型写真、スケッチ、設計と施工にまつわる資料が収録されています。
※English, 304 pages, 11 x 15.5 cm, 2023, 25 € (German retail price)
《会場風景》
General information
Exhibition title:Tsuyoshi Tane: The Garden House
Dates: 18 November 2023 to 24 April 2024
Exhibition Design: Tsuyoshi Tane
Project Team (ATTA – Atelier Tsuyoshi Tane
Architects):
Valentino Pagani, Shota Yamamoto, Louise Moreau
Production & Graphic Design: Thorsten Romanus
Hashtags: #VDMTsuyoshiTane
Contact: www.design-museum.de
T +49.7621.702.3200
(文:制作_インテリア情報サイト編集部-3 / 更新日:2023.11.28)