【フォト・レポート】展覧会「開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z」

 

 

【フォト・レポート】
東京都庭園美術館で開催の
展覧会「開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z」

 


東京都庭園美術館開催中(2024年2月17日(土)~ 5月12日(日))の「開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z」展をフォト・レポートで紹介していきます。


皇族・朝香宮家の邸宅として、1933年(昭和8)に竣工した旧朝香宮邸は、戦後外務大臣・首相の公邸や迎賓館など、時代とともに役割を変えて1983年に東京都庭園美術館と開館しました。以来、アール・デコ様式の邸宅建築空間を活かし、新たな芸術の価値を常に発信し続け、緑豊かな庭園に囲まれた美術館として、人々の憩いの場となっています。

建設当初の姿を留めた旧朝香宮邸は、国指定の重要文化財という特性も兼ね備え、活用と保存を調和・両立させながらも今日たくさんの方々をお迎えしています。

 

東京都庭園美術館
https://www.teien-art-museum.ne.jp/
 


Photo:@interior-joho.com 東京都庭園美術館外観(正面)


 

アルファベットのAからZを頭文字に持つキーワードをピックアップして解説

開館40周年を記念して開催する本展は、改めて旧朝香宮邸をじっくりと読み解くための展覧会です。竣工から90年、時を刻んだ空間をキーワードを道しるべに巡ります。


Photo:@interior-joho.com 展覧会場入り口

これまで培った調査や研究をもとに、アルファベットのAからZを頭文字に持つキーワードをピックアップして解説。



改めて旧朝香宮邸を見つめ直す試みとして、各部屋に設置されたキーワード・カードの解説を読みながら導かれて館内を回っていきます。A-Zのカードを集めてみましょう。

最後の展示である新館の会場に、カードをつづるコーナーがありますので自分なりのデザインでつづってみてください。


 


 


 


 


 


 

キーワード・カードには、この建物の歴史や関わった人、旧朝香宮邸に関する基本情報がまとめられています。それはあたかも旧朝香宮邸の辞書を引いて紡いでいくような体験、と展覧会説明文には書かれていました。

 

旧朝香宮邸の東京都庭園美術館といえば・・・・


 


 


 


 


旧朝香宮邸の東京都庭園美術館といえばラリックの香水塔、照明、ラジエーターカバーが有名ですが、これらは通常の展覧会でも閲覧できます。

 

「素顔」の旧朝香宮邸
通常の展覧会では、展示ケースや仮設の壁面の設置、家具・調度品を配した再現展示等、美術館の展示室として活用している旧朝香宮邸ですが、本展では敢えてあるがままの旧朝香宮邸を知っていただく機会として、観覧可能なエリアを公開しています。インテリア情報サイトでは館内で使用されている素材やパーツに注目して紹介してきます。

 

▼ 新館では旧朝香宮邸全体巨大平面図を展示


平面図をみると旧朝香宮邸の全体がよくわかります。


壁には仕上げ材やパーツのカラースキームが展示されています。


朝香宮邸時代に使用されていたモダンな家具も展示

 


 


アンティーク風ではなく本物のアンティークドアハンドル


丁番(蝶番)やピポットヒンジ、ドアノブもアンティーク


 

今回の展覧会では普段はカーペットなどで素材を保護している床を公開していましたので、本館(旧朝香宮邸)の床材をまとめました。

▼木質床材
旧朝香宮邸の床材は木片が長物のフローリングではなくほとんどが「寄せ木張り」です。「モザイクパーケット」、細い板を魚の背骨のようにつなぎ合わせた「ヘリンボーン」などいろいろな模様の床材をみることができます。


▼タイル・石床材


テラスのモザイクタイル床


 


御影石の市松模様のバルコニー床

 

本館(旧朝香宮邸)にはたくさんの窓があります。

▼窓


大食堂の円弧の連続はめ殺し窓


フランス窓


片引き窓

撮影は展覧会内覧会のときの2月で梅の花が咲き誇っていました

 

 

現代作家の視点に委ねて旧朝香宮邸を読み解いてみる

展示会場には伊藤公象(1932-)と須田悦弘(1969-)をゲストアーティストに迎え、本館内や庭園 で、旧朝香宮邸をさらに深く読み解く手がかりとなるようなインスタレーションを展開。作品を探しながら廻るのも一つの楽しみです。


出展作家(ゲストアーティスト)
▼ 伊藤公象 作品


庭園には、伊藤公象氏のシリーズ「多軟面体」が出現。空・地・庭園の緑等、日々変化する自然と作品とが結びつき、日常に存在する刹那の時空間へと誘います。


伊藤公象《「土の襞」―白い光景―》陶土 2006年 作家蔵  展覧会会場風景

本館2階北の間には代表作「土の襞」を配置、1930年代の美術タイルに囲まれた室内空間で陶と陶とのコラボレーションを展開します。

伊藤公象 ITO Kosho(1932-)
土を素材とした陶作品で独自の造形世界を追求し、空間や環境によって有機的な変容を見せるインスタレーションで知られる。


 

▼ 須田悦弘作品


須田悦弘《椿》木に彩色 2024年 作家蔵 展覧会会場風景
 


須田悦弘《コヒルガオ》木に彩色 2024年 作家蔵 展覧会会場風景

須田悦弘 SUDA Yoshihiro(1969-)
木彫による精巧で緻密な花や草木を思いがけない場所に配し、空間全体に静かな驚きをもたらすインスタレーションを展開している。 

須田悦弘氏の作品は、館内の意外な箇所にさりげなく寄り添うようにそっと佇ませた展示で、見つけたときには思わず顔がほころびます。


 

最後に
朝香宮鳩彦(やすひこ)王のお后である明治天皇第8皇女允子(のぶこ)妃が描いた絵画です。やさしい色合いが妃殿下のセンスの良さを垣間見ることができます。


鳩彦王は、軍事研究のためフランスに留学されましたが、1923年(大正12年) 4月パリ郊外で交通事故に遭われ、看病の為渡欧された妃殿下とともに大正14年(1925)まで長期の滞在を余儀なくされました。

当時フランスは アール・デコの全盛期で、1925年にはパリで現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称アール・デコ博覧会)が開催されました。朝香宮ご夫妻は博覧会を見学されてそのころ流行していたアール・デコへの造詣を深められました。允子妃は、日本帰国後にアール・デコ仕様の新宮邸を建設するのに尽力されました。ですが、建築が完成した年の11月にご逝去されています。

今回は旧朝香宮邸の建築空間に焦点をあてた、可能な限り素のままの旧朝香宮邸の内部が紹介されています。

今までに何度も来館された方は新たな発見ができ、初めての方は建築そのものを存分に堪能できる展覧会です。新たな見どころや魅力を来館して発見してみてください。

 

※画像はすべて東京都庭園美術館「開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z」展の 展覧会会場風景
​Photo:@interior-joho.com

 

展覧会カタログ
本館・旧朝香宮邸の新撮写真や、現代作家によるインスタレーションの展示風景写真を盛り込んだカタログ。豊富な写真ページに加え、AからZのキーワード解説や出展作家の言葉を収録した充実の内容です。アール・デコの館をもっと知りたい人への手引きとしても、おすすめです。当館ミュージアムショップにて販売。

 

【開催概要】
展覧会名:開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z
英文タイトル:Commemorating the Museum’s 40th Anniversary The A to Z Guide to the Former Residence of Prince Asaka
会期:2024年2月17日(土)~5月12日(日)
開館時間:10:00 – 18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日
※ただし4月29日・5月6日は開館、4月30日(火)・5月7日(火)は休館
会場:東京都庭園美術館 本館+新館
住所:東京都港区白金台5-21-9 ⇒ map

入館料
一般=1,400(1,120)円/大学生(専修・各種専門学校含む)=1,120(890)円/中・高校生=700(560)円/65歳以上=700(560)円
※( )内は20名以上の団体料金 ※小学生以下および都内在住在学の中学生は無料 ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・ 精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者2名は無料 ※教育活動として教師が引率する都内の小・中・ 高校生および教師は無料(要事前申請) ※第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料

主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館
協力:ギャラリー小柳
年間協賛:戸田建設株式会社、ブルームバーグL.P.、ヴァンクリーフ&アーペル

アクセス
[目黒駅]JR 山手線東口/東急目黒線正面口より徒歩7 分
[白金台駅]都営三田線/東京メトロ南北線1 番出口より徒歩6分

本展はオンラインによる事前予約制を導入しています。
記載内容に変更が生じる場合があります。 その他、最新情報につきましてはウェブサイトにて随時お知らせいたします。

東京都庭園美術館
https://www.teien-art-museum.ne.jp/

 

 

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(文:制作_インテリア情報サイト編集部-3  /  更新日:2024.04.05)

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