【コラム】 テーブルウェアの古今東西の意味とは?

テーブルウエアの古今東西の意味とは?
 

他の国に比べて日本は、焼物の産地が多い。

国焼デザインが多く生まれたのは、侘びの精神を器に取り入れた茶の湯、千利休の時代。利休亡き後には、弟子の1人・古田織部により織部焼などダイナミックで開放的な国焼シーンに移り変わりながらメイドインジャパンのやきものが多く誕生した。そして、日本に箸が入ってきたのは、弥生時代の末期であると言われている。その箸の表面を覆う漆になると紀元前とも伝え聞く。

その頃のヨーロッパと言えば、まだ、手づかみでの食事が一般的だった。豪華な色絵磁器や染付磁器は16世紀後半から17世紀に、東洋から東インド会社の貿易によってもたらされ、バロック文化と同調して爆発的な人気を博す。特に強い権力と富を得たヨーロッパ各国の王侯・貴族や富裕な商人は争って美しい東洋の陶磁器を収集し、邸宅を飾って、それをステイタスシンボルにした。

日本人がテーブルウェアに凝る文化は、ヨーロッパのそれとは異なるような気がする。

日本の一般家庭で所有しているアイテムで一番数が多いのが食器。日本人は世界の食を家庭でも楽しむ。それと合わせてテーブルウェアも揃える。ヨーロッパのテーブルウェア文化が富と権力の象徴に比べて、日本のテーブルウェア文化は神様へのお供えから始る精神世界を楽しむもの。自分たちが心から楽しむ文化がここにある。

昨今世界中で日本食ブームだが、日本人の食文化の豊かさ、レベルの高さはここから来るものだろう。

 

 

 

 

(文:KEIKO YANO (矢野 恵子)  /  更新日:2013.02.05)

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