【フォト・レポート】
暮らしとともにある「木」について多面的に学ぶ6日間
東京ミッドタウン日比谷で開催「木と生きる」をフォト・レポート
東京ミッドタウン日比谷では2024年4月16日(火)~4月21日(日)の期間、企業や個人が環境や社会・文化と向き合い、木や森との持続的な共存と未来を考えるイベント「木と生きる」を開催。
「緑とともにある街」「経年優化」という考え方と株式会社ディスカバー・ジャパンの「日本の魅力を再発見し、日本文化が未来へ継続していくきっかけづくりを目指す」という理念が合致し開催する「木と生きる」は、持続的に緑とともに生きる社会を考えるきっかけを創出することを目的としたイベントです。
イベントは東京ミッドタウン日比谷 1F アトリウムで木彫作品のインスタレーション、地下1F 日比谷アーケードでは、森と都市を感じる空間で企業の木との向き合い方を知るパネルエキシビジョンで木や森と持続可能な共存を目指す団体の先進的な取り組みを紹介していました。また、東京ミッドタウン日比谷6F BASEQ HALLでは、木や自然を題材に文化・建築・保全などについて各企業・団体の取り組みを発信するシンポジウムを実施。
会場の様子をフォト・レポートで紹介していきます。
▼人と木のかかわりあい方をインスタレーションで表現するイントロダクションエリア
東京ミッドタウン日比谷 1F アトリウムでは木彫作品のインスタレーションを株式会社乃村工藝社の空間プロデュースでイベントのイントロダクションを創出。
床に杉とひのきの木片チップを敷き、背後にネットにかけられた木のカケラ、くすの木で製作された彫刻で、壁にかこまれていない吹き抜けのアトリウムに壮大な香りの空間を造り出していました。
床に敷き詰められていた杉とひのきの木片のチップ
木の香りにはリラックスとリフレッシュ効果が高く、抗菌、抗炎症など様々な効果があるとされています。改めて木の香りの偉大さを感じました。
▼ 森と都市を感じる空間で企業の木との向き合い方を知るパネルエキシビジョン
東京ミッドタウン日比谷地下1F日比谷アーケードには、本イベントの共同参加団体による木や森、都市に関する先進的な取り組みを大型パネルで展示していました。国土の約7割が森林という資源に恵まれている日本における、各企業の「木」との向き合い方を訪れる方々にわかりやすく発信。
空間プロデュース:株式会社日建設計
出展団体:株式会社イトーキ、エステー株式会社、株式会社大林組、カリモク家具株式会社、神宮外苑地区まちづくり、ソニー株式会社、ダイキン工業株式会社、株式会社竹中工務店、東京都、トヨタ自動車株式会社、株式会社日建設計、西尾レントオール株式会社、株式会社乃村工藝社、パナソニックグループ、三井物産株式会社、三井不動産株式会社、三井ホーム株式会社、株式会社MUJIHOUSE、株式会社良品計画
▼ パネル展示には『つな木』を使用
木材と専用クランプを使って自由な用途とサイズで空間を組み立てられる「つな木」をして展示会場を演出。
誰でも簡単に組み立てられるので、普段の生活はもちろん、特別なイベントや非常事態にも、その時に必要な空間を、自分たちの手でつくることができます。
▼ワークショップエリア
会場では木に触れられる作品作りのワークショップを開催。木への強い想いを持って活動する作家とともに木の魅力を体感する時間を提供。
▼ 日本の大切な財産でもある木や自然を題材に、様々な角度で読み解いていくシンポジウム
東京ミッドタウン日比谷6F BASEQ HALLでは、4月18日(木)・19日(金)に木や自然を題材に文化・建築・保全などについて各企業・団体の取り組みを発信するシンポジウムを実施。木と人体との関係性や木を最大限生かしたものづくり、企業による木・森を守る取り組みなど、多様な視点から「木」と向き合うシンポジウムです。
18日(木)に開催の「木とウェルビーイング~匂いを科学する~」と「森を守る~企業が取り組む森づくりの挑戦~」に参加しました。
■4月18日(木)
13:30~「木とウェルビーイング~匂いを科学する~」
木と人体との関係性や匂いについて読み解いていくシンポジウム
ご登壇者:東京大学 竹内春樹教授、ソニー株式会社、三井ホーム株式会社、三井不動産株式会社 各社担当
15:00~「森を守る~企業が取り組む森づくりの挑戦~」
日本を代表する企業による自然を守り、育む取り組みを発信するシンポジウム
ご登壇者:ダイキン工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、三井物産株式会社、三井不動産株式会社 各社担当
画像:@interior-joho
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シンポジウム「木とウェルビーイング~匂いを科学する~」と「森を守る~企業が取り組む森づくりの挑戦~」に参加しましたが、講演内容は興味深いものでしたので感想をまとめました。
木の香りの効果は科学的に実証されていない!?
登壇者:東京大学 竹内春樹教授の「木とウェルビーイング~匂いを科学する~」は、前半の細かい解説で匂いについてのメカニズムはよくわかり、後半で一般的に言われている木の香りには、リラックスとリフレッシュ効果が高く、抗菌、抗炎症など様々な作用があるという説は、あくまで効果効能でよい結果、望ましい結果がでたということで、科学的にはまだ実証されていないと話されていました。このたとえが良いかわかりませんが、今は健康食品どまりで医薬品ではないということでしょうか。
ですが、香りの研究は伸びしろがあり、これが科学的に実証されればノーベル賞ものだということで、健康食品が医薬品となれば大きなビジネスチャンスが生まれるのではと思いました。
木を活用し続けることが大事
「森を守る~企業が取り組む森づくりの挑戦~」ではこれまでの自然を守り、育みに取り組む企業のいままでの実績をダイキン工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、三井物産株式会社、三井不動産株式会社の各社担当が報告する登壇でした。材木を活用するビジネスを実践しているのは三井物産株式会社だけで、全体的には地球温暖化の抑制や生物多様性の保存で森を守り、製品や建築資材で木を活用し続けることが大事だということで終始しました。
2024年度から国税として徴収される「森林環境税」の話題が出なかったのが残念でした。国内に住所がある人から1人1000円、住民税に上乗せする形で徴収される「森林環境税」の活用を、企業としてどのように考えているのかの話題がでるかと期待しましたがそれはありませんでした。
「森林環境税」は2015年にフランスで開かれたCOP21で採択された「パリ協定」の枠組みのもと、温室効果ガスの排出削減目標の達成、災害の防止などの目的で2019年に法律が成立されたものです。税収は自治体に全額配分され、林業の担い手の確保や公共施設の木造化などに充てられ山林ビジネスを促しています。
山林を手入れせずこのまま放置すればどんどんと廃るだけで、結果、電力供給の不安定要素が高い再生可能エネルギーの太陽光パネルが山々を覆い、土砂災害や農業用水、井戸水の汚染などの問題を引き起こしています。状況を考えれば税徴収はしかたがないことだと考えられますが、その山々の手入れのために政府は外国人労働者に頼ろうとしています。これでは林業従事者が増えるどころか賃金も下がり続けます。森林ビジネスはまだまだたくさんの問題を抱えています。
そのためにもこのようなイベントで「森林環境税」がどのように活用されているのかを、継続的に伝える必要があるのではないでしょうか。それでこそ「先人たちが残してくれたこの貴重な財産を、どのように未来につなげていくか。これからの豊かさとは何か?そのヒントは、まず “木を知ること”にありそうです。」の今回のイベントテーマにつながるのではないでしょうか。
「森林環境税」が、木を使い続けることで木材資源の循環をうながし、森林の健全な働きを維持することに活用されることを切に願います。
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(文:制作_インテリア情報サイト編集部-3 / 更新日:2024.05.06)