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TIME & SYTLE MIDTOWN(六本木店)
画像:インテリア情報サイト撮影
【インタビュー】
今も20年後も愛されるデザインに取り組み、
ものづくりで世界に挑戦し続ける日本企業
2017年のオランダ・アムステルダムに続いて、2022年にイタリア・ミラノにインテリアブランドショールーム&ショップ「タイムアンドスタイル」をオープンした(株)プレステージジャパンの代表取締役吉田龍太郎氏。
インテリア情報サイトでは、2013年から、2017年、2019年、2020年と吉田氏のインタビュー記事を掲載しています。
今回は、アムステルダム店オープンから世の中が大きな転機を経験する中で、Boffi | DePadovaとのパートナーシップをはじめ、Peter Zumthor collectionの発表、東京・南青山店と大阪店のオープンを経て、ミラノ店オープンと躊躇することなく常に前進することをいとわなかった企業の10年間の軌跡の最終インタビュー記事です。
欧州の人々の日本のインテリアブランドに対しての反応、 海外店舗オープンのメリット、デメリット、欧米の展示会などでの反響、また、昨今日本のメディアやSNSで騒がれている「日本ブーム」は本当なのか、そのものづくりの現場で働く人々の価値観など多岐に渡ってお話をお聞きしました。
インタビューは、2024年1月5日、タイムアンドスタイルミッドタウン(六本木)店で行いました。
1. 日本のホスピタリティをそのままもっていければいいのか?
どこに重きをおくかはシンプルだが重要なこと
Q:2017年のオランダ・アムステルダムに続いて、2022年にミラノにブランドショールーム&ショップをオープンされましたが、海外店舗オープンのメリット、デメリット、アムステルダム店とミラノ店との連携や客層の違いなどを教えてください。
アムステルダム店とミラノ店とでは意味合いがまったく違います。アムステルダム店はローカル志向でミラノ店は世界のマーケットが対象です。
ヨーロッパの初めての出店先として2017年アムステルダム店をオープンさせました。初めにミラノに出店しなかった理由は、ヨーロッパでの経験値が少なかったので、まずはヨーロッパのローカルなお客様に当社の製品が通用するのかを試してみて体感したかった。ミラノに出すということは世界中の評価がここで下されるということです。アムステルダム店は採算がとれるまで5年はかかりましたが、そこで自信をつけミラノ店のオープンとなりました。アムステルダム店は、地元のお客様が中心で、ミラノ店はインテリア業界関係者が常に来店くださり、世界中の概念がここに集積します。日本の製品が通用するのか常に審判が下されます。
店舗スタッフは、店長だけが日本人で、あとは現地採用のスタッフです。アムステルダムもミラノもそうです。いろいろな国の国際的な感覚のある人をあえて採用しています。
日本の会社に勤めるということは、会社の業務システムが日本のシステムだから、彼らも覚悟して入社していると思いますが、日本のシステムに変えてくれるときもあれば変えてくれないときもあります。
私は店長たちに、彼らがアクセプト(受け入れる)するまで行動や態度などに対して注意はしなくていいと言っています。そして日本人の私たちが彼らのやり方を受け入れることも同時に大事なことです。
日本のホスピタリティをそのままでもっていければいいのですが、彼らはそれで育っていないので最初は無理で理解するには時間はかかります。そこを超えていかないとなじめないし友好的にもなれない。やがて彼らもだんだんと気づいて改善してくれます。
それは製品のプロモーションも同じで、モノだけ流通させるなら簡単ですが、日本製品を長く使ってもらえるようにするには、使い方やモノの歴史の伝授など、手離れの悪いこともしなければなりません。われわれが何を目的に事業をしているのかの答えは簡単で、どこに重きを置くかはシンプルですが重要なことです。
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(文:KEIKO YANO (矢野 恵子) / 更新日:2024.03.25)