中古住宅購入から完成まで
リノベーション体験記vol.10―契約は慎重に
納得のいく家づくりのために
築25年のマンションを買ってリノベーションすることにしたインテリア情報サイト編集部スタッフK一家。いよいよ本契約、そして着工に向け計画が大きく動き出しました。
M先生からもらった見積書(前回の記事参照)の金額は、予備費を含めても十分予算内に収まるものでした。提案もこちらのイメージ通りです。うちの場合は相見積もりも取っていなかったので、M先生と契約して、正式にわが家のリノベーションを依頼しようという決心がすぐにつきました。
いよいよ契約手続きが始まります。
「重要事項説明書」で契約するかどうかを判断
【12月13日 見積書の説明および重要事項説明書読み上げ 続き】
見積もりをもらったその日に、M先生から「重要事項」についての説明を受けました。説明を受けたのは平日で夫は仕事だったため、私1人で対応。その場で署名押印はせず、あとで夫と内容を確認した上で印を押して、本契約の日に持っていきました。
「重要事項説明書」は、正式に契約が成立する前にあらかじめ「私たちはこれからこういう契約を結ぼうとしていますよ」という説明をするためのものです。建築士は必ず、本契約の前にこの「重要事項説明書」を、内容を説明した上で施主に渡さなければなりません。
書いてある内容は、大まかに言うと次のようなことです。
・設計※1にあたり、建築士が作る設計図(平面図、立面図など)の種類
・工事監理※2 の方法
・施主が建築士に支払う金額と支払い時期
・契約解除の方法
※1設計…工事を行うために必要な「設計図書」を作成すること。
※2工事監理…施主の立場に立って、工事が設計図書通りに行われているかどうか確認すること。
建築士は、机に一級建築士証明書を施主に見えるように置いた上で、文面を読み上げます。施主は、説明の内容やその時の建築士の対応に納得できれば、署名して印を押します。万一不満があれば、契約を結ばず新たに別の業者を探すことも可能です。
「設計・監理」と「工事」はべつべつに契約
【12月21日 M建築研究所にて本契約】
M建築研究所にて、ついに正式な契約手続きです。
この日に締結したのは「建築士業務委託契約」。M先生に「設計」と「工事監理」を正式にお願いします、という内容です。「工事」自体についての契約はこの時点ではまだです(年が明けてから、M先生と提携する施工業者さんと手続きしました)。
このように、設計事務所に家づくりを依頼する場合は、「設計・監理」に関する契約を建築士と、「工事」に関する契約を施工業者と、それぞれ交わす必要があります。一方、設計から施工までを全て行うリフォーム会社では、これらが一緒になっているケースが多いそうです。
「建築士業務委託契約書」の内容は先の重要事項説明書と重複しますが、だいたい次のようなことです。
・物件の概要
・報酬(設計費および工事監理費)の金額、支払い時期
・業務の期間
・「設計」「工事監理」それぞれの業務の具体的な内容
・計画を変更する場合の注意
・瑕疵があった場合の責任の所在について
・契約解除や紛争の解決方法について …など
いちばん重要なことは、建築士に支払う「金額」と、「その金額で何をどこまでしてもらえるのか」を明確にしておくことです。
施主はこの「建築士業務委託契約書」と、先にもらった「重要事項説明書」、見積書や図面の内容をしっかり理解し、納得できたら契約書に署名捺印します。
疑問はすべてクリアにしてから押印を!
忙しくても流されず、慎重に
手続き全般にわたって言えることですが、施主は、納得できる形で家づくりをしたいのであれば、面倒でもきちんとすべての書類の内容を理解することが大切です。
実際、この時期は契約のことだけではなくいろいろと忙しくて、つい流れでばたばたと契約をすませてしまいそうになります。偉そうに言っている私もそうでした。けれど、印を押すということは「契約書や見積書、図面の内容を理解して納得しました。文句はありません」という意味。単なる手続き作業のような感覚でいては、本当はいけないのです。
契約書は契約当日より前に受け取って、きちんと目を通すことが大切です。わが家の場合は、先に「契約書案」という形で写しをもらいました。しっかりした会社や事務所であれば、おそらくそうやって施主が契約書を理解するための配慮をしてくれるはずです。
最後に、嬉しいおまけ。
M先生から正式契約に対するお礼として、箱にぎっしり詰まった美味しいシラス干し1㎏を頂きました。和歌山にあるご実家で作っておられるとか。海の香りのするシラスが、年末の忙しさと「いよいよ着工だ」という緊張感で余裕がなくなっていた私たちを、しばらくの間ほっこりさせてくれました。
年が明け、1月中旬には施工業者さんとの工事契約、隣家への挨拶をすませていよいよ着工となります。
次回に続きます。
※この記事は中古のマンションをリノベーションしたインテリア情報サイト編集部スタッフの執筆によるものです。
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(文:制作_インテリア情報サイト編集部-1 / 更新日:2015.03.01)