中古住宅購入から完成までvol.11
リノベーション体験記―イメージを伝える方法
エアコンがつけられない!?
中古のマンションをリノベ前提で購入したインテリア情報サイト編集部スタッフK一家。
無事に設計監理契約を結び、着工を前に落ち着かない年の瀬を迎えていました。
# 中古住宅購入から完成まで リノベーション体験記 vol.1~17
【12月27日 M先生からメール】
設計監理契約がすんでまもない12月末、M先生からメールがありました。
「エアコン配管穴の内径が65ミリということが分かりました。メーカーに相談したところ、このサイズではマルチエアコン2台分の配管は無理だということです」とのこと。
エアコンがつけられない!?
洋室2(妻の仕事場)に、エアコンの配管穴がないことに気づいたのは、実は物件を購入した直後のことでした。もちろん新しく壁に穴を開けることは、共用部をいじることになるのでできません。
最初に分かった時は慌てました。
35度、6度になるここ最近の夏を、扇風機だけで乗り切るなんてとても無理。窓枠につける「ウインドエアコン」なんてものもあるけど、音がうるさいようなので避けたい。
となると「マルチエアコン」をつけて、洋室1(夫の部屋)と洋室2で、室外機を共有するようにするしかないのかな?
…というのが、その時たどり着いた結論だったのです。
ということで、今まで触れていませんでしたが、実は11月の時点でM先生に「マルチエアコンつけたいんです」と相談していました。
今思えば、べつにマルチなんかにしなくてもよかったのです。
バルコニーに室外機を2段重ね置きして、同じ配管穴からダクトを通して2台のエアコンを施工することも検討できたのです(穴のサイズが小さかったので、どちらにしろ実現は不可能でしたが)。
けれど当時の私は、なぜか「マルチエアコンが要る!」と思いこんでいました。
マルチエアコンとは?
マルチエアコンとは、ひとつの室外機に対して室内機が2つ以上ついているもの。途中でダクトを分岐させ、壁を這わせて室外機のあるバルコニーから離れた部屋までつなげます。
マルチエアコンのメリット
・室外機のスペースをあまりとらずに複数のエアコンを設置できる
などの利点がある一方で、
マルチエアコンのデメリット
・室外機が壊れると全ての部屋でエアコンが使えなくなる
・買い替え時は全ての室内機が一緒に買い替えとなることが多い
・冷暖房効率も落ちる
などのデメリットも持っています。
結果としては上に書いたように、配管穴の径が足りず設置は断念。洋室2はエアコンなし!ということになったのです。「無理ならしょうがないわ」と、最初に慌てたわりにはあっさりと諦めてしまいました。勉強して、マルチエアコンのデメリットについて知ったからかもしれません。
ちなみにこのマルチエアコン取り付け工事という項目、検討中だからということで見積書には含まれていませんでした。
もし取り付けることになっていたら、いったいどのくらいの追加料金が…と考えると怖くなります。見積書をもらった時に「余裕で予算内に納まってる、よかった」なんて安心している場合ではなかったのですね。
イメージを伝える方法
【1月4日 M先生からメール、リビングのスケッチが届く】
年が明けて1月4日に、またメールを頂きました。今度は、リビングに小壁と飾り棚の追加の提案です。
家の中心となるリビングからの眺めは「この家が持っている景色」を代表する重要なものです。しかし設計契約段階の平面図では、インターホンをつけるための壁と電話カウンターの位置が示されていただけで、まだ空間の中での見え方まで考慮されていませんでした。
そこで右の図面のように細長い小壁を新たに設けて、リビングからカウンターの側面がそのまま見えてしまうのを避けたのです。簡単な修正ですが、空間にアルファベットのTの字が浮かび上がるような効果が生まれ、空間が引き締まっていると思います。
あと、3枚引き戸の脇に奥行10センチくらいの飾り棚を造ってもらうことになりました(左のスケッチと中央の画像参照)。
ここに、雑誌で見かけるような余白を活かした素敵なディスプレイができたら良いと考えました。家具や飾ってあるものが少々チープであっても、空間に力があれば全体の印象はそんなにチープにならないはずですから。
リビングからダイニングを見た時の手描きのスケッチ。やはり図面よりずっとイメージがわかりやすいです。
フリーハンドで描かれたパースからは何か温かみが感じられて、同じように温かな家が出来上がりそうな気がしました。
ちなみに現在、顧客へのプレゼンテーションは、3Dソフト(Vectorworks、Shadeなど)で描いたCGパースを用いるのが主流です。理由は部材の素材感や光の入り方、複数の角度からの空間の見え方など、様々なことをリアルに表現できるから。やはり、イメージを伝える力は手描きのパースより圧倒的に上です。
M先生は私たちにプレゼンする時のツールとして、手の込んだ3Dスケッチは使いませんでした。使ったのは図面、手描きのパース、素材のサンプル、過去に施工した物件のたくさんの写真、それにショールームとしてのご自身の家。それらに加えてもちろん、プロとしての経験から得られた、生きた情報もたくさん提供して頂きました。
プロは施主のニーズに応じて、どんなプレゼン資料を用意するのか、柔軟に変えながら対応しているのです。
もちろんどんな資料を使うにせよ、きちんとイメージを共有できているのかどうか、設計者側と施主側とが密に確認しあうことがいちばん大切です。完成後、こんなはずではなかったということがないように、特に大きな金額が関わる工事請負契約前までに、必ず不安なところ、分からないところは払拭する必要があります。
私たちの場合は大きな間取りの変更がなかったので、精巧なCGがなくても出来上がりの空間をイメージすることはできました。自分のイメージと先生の作風が一致していると分かっていたから、というのもあるでしょう。けれどやはり、多くの場合3DのCG画像は欠かせないツールとして用いられています。図面だけでイメージがわからないときは、これらの資料をお願いしてもいいと思います。
不安なところ、追加部分などをすべてクリアした1週間後の1月11日に、私たち家族とM先生、そしてM先生と長く提携している施工業者さんが現地に集合し、そこで工事請負契約が行われました。次回はそこからお話していきます。その後はいよいよ着工。工事が始まります。
※この記事は中古のマンションをリノベーションしたインテリア情報サイト編集部スタッフの執筆によるものです。
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(文:制作_インテリア情報サイト編集部-1 / 更新日:2015.03.29)