中古住宅購入から完成まで
リノベーション体験記vol.14―「なんで家の長所を潰すの?」
使いやすさも大事だけれど・・・・
キッチンの上の吊り戸棚って、高すぎて使いにくい…と不満を抱えていた私。
せっかくリノベするのだから、位置をもう少し下げて使いやすくしたい!と思っていましたが、吊り戸棚の下には小さい窓があってずらすことができません。仕方がないので、よく使うザルやボウルだけでも使いやすい高さに収納するため、「吊り戸棚の下に簡単な水切り棚をつけて、それを扉で隠せるようにして下さい」と依頼したのでした。
前回のお話はこちらから
http://www.interior-joho.com/interview/detail.php?id=2961
「なんで家の長所を潰すの?」
ところが、M先生と私の現場でのやりとりを横で聞いていた夫が、家に帰ってから猛反発。
「あんなこと聞いてない。せっかく窓があるのに、それをふさぐ意味がわからない。なんで家の長所(開放感)を潰すの?とにかく窓は1センチもふさいでほしくないから!」
確かに、このことはあまりきちんと夫に話していませんでした。
わが家の場合、キッチンを使うのは9割がた妻である私なので、正直「ここは独断でもいいかな」と思っていたのです。
また、いつも疲れていてリノベの相談をしても反応の薄い夫に、たまにしか使わないであろうキッチンの仕様変更について話しても…と、独りよがりな遠慮をしていたというのもあります。相談して面倒そうな顔をされるのはもういやだなあ…などという気持ちもありました。
でも使おうと使うまいとキッチンだって家の一部。妻のものであると同時に、夫のものでもあるのです。いくら反応が薄くても、興味がなさそうに見えても、きちんと説明して共有しておかないといけません。
「窓は他にもたくさんあるから通風も開放感も十分確保できている、だから吊り戸棚の下の小窓の一部がふさがるくらいはあまり問題ない」と思っていた私。けれど夫はそうではなく、「この眺望と開放感こそ、この家の命。それを少しでも損なうことは許せない!」という考え方だったのです。こんな根本的なスタンスの差に、リノベもかなり進んだこの段階になってようやく気づいたのです。
私はしばらく悩み、そして「今まで自分の好みばかり通してきたのだから、せめて今後はできるだけ夫の意見を尊重しよう」という結論に達しました。
「もしかしたら、今からでも取り消してもらえるかもしれない。M先生にお願いしてみる」
「…うん、ぜひそうして」
夫は納得してくれたようでした。
吊り戸棚は悔いの残る結果に…
M先生も依頼を受け入れてくれました。結局、
・吊り戸棚の扉の高さ寸法は70cmで変更なし。色だけネイビーを白に変更する
・ザルなどを置く水切り棚はほしいので、吊り戸棚の内部につけて扉で隠れるようにする
という案に落ち着き、ほっとひと安心したのです。
けれど最終的に、この吊り戸棚の計画はちょっとだけ悔いの残るものとなってしまいました。
この工事、最初は
・棚本体は既存のものを使う
・扉だけ交換し、棚内部に水切り棚をつける という予定でした。
しかし水切り棚は「シンクの上」につけたかったので、それには扉や内部の仕切りの配置を変える必要があり、結局吊り戸全体を作り直すことになったのです。
そのため、全部で85000円という結構な費用がかかっています。
結果的に「高すぎて出し入れしづらい」という問題は解決できず、それなのにコストはこれだけかかった、というのは今思えば少し残念なことです。
水切り棚の位置などにこだわらなければ、既存の棚を壊して作り直したりしなくてすみ、大幅にコストダウンできた可能性が高いと思います。そのことに気づけなかったばかりに、もったいないことをしてしまいました。
調子に乗って、あれもこれも追加
この他にも、いくつか追加の依頼をしました。
例えばゴミ箱を収納するためのスペース。キッチンの脇にある出窓の下の壁をくり抜いて作ってもらったのです。
これは、たまたま着工直前に興味本位で現場についてきた、私の父のなにげない一言から実現したもの。「ここ、中はどうなってるんだ。空洞ならゴミ箱でも入るようにしたらいいんじゃないか?」
確かに、キッチンの計画においてゴミ箱の扱い方は大事なポイント。細かいことですが、ここをきちんと考えておかないと、一気に生活感が出てしまいます。私は言われるまですっかり忘れていたので、指摘をもらって本当に助かりました。
ただ、急に言われて急に決めたので、どんなゴミ箱を置くのか全く考える余裕もないままM先生にお願いすることになってしまったのです。
適当にサイズを設定して作ってもらったのですが、あとでゴミ箱を探したところ、デザインと機能、サイズの全てを上手く満たしてくれるものが見つかりませんでした。
結局、後からデザイン優先で選んだゴミ箱に対し、作った収納スペースは高さがやや足りませんでした。ですから、開閉レバーを踏む度に開いたフタが上にぶつかりますし、中のビニール袋を替える時にはわざわざゴミ箱を引っ張り出してこなければいけません。ちょっと面倒です。
ですが、吊り戸棚の失敗に比べればそんなことはたいしたことではありません。何といってもやはりゴミ箱をすっきり収納することができたので、おおむね満足しています。
ゴミ箱収納のついでに、もうひとつお願いしてしまいました。洗面所にある分電盤をボックスで隠す工事です。やってもらうか、それとも後から自分で適当に木箱のようなものをつけて隠すか、迷ったまま契約を迎え、結局頼まずじまいになっていたのでした。
出来上がりを見て、これも本当にお願いしてよかったと思いました。自分でやれば目も当てられない仕上がりになるに決まっているのに、どうして最初から頼まなかったのだろうと、今となっては不思議です。
着工後なのに増え続ける見積もり総額
上でお話したキッチンの吊り戸変更の費用が85000円。契約時の仮見積りでは7万円だったので、15000円増えています。そして、新たに加わったキッチン脇のゴミ箱収納と分電盤隠しボックスの工事はどちらも35000円。つまり、これだけでも計85000円が見積りに追加されたわけです。
この他にも、ユニットバスの搬入費用が後から少し上がったとか、がたついていた網戸を全て交換してもらうことにしたとか、フローリング材が少し足りなくて追加したとか…いろいろと細かい追加変更が重なり、総額がよく分からなくなってきました。
そこで、M先生に見積書を再度出してもらえるよう依頼。
頂いた2回目の見積りの、予備費を除いた総額は約752万円。予算上限の800万円にはまだ余裕がありますが、それでも契約時に頂いたものよりも約28万円も増えていました。やはり予算には余裕を持っておくことに越したことはありません。
次回へ続きます。
※この記事は中古のマンションをリノベーションしたインテリア情報サイト編集部スタッフの執筆によるものです。
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(文:制作_インテリア情報サイト編集部-1 / 更新日:2015.06.28)