「和モダン」「和のこころ」。海外から“逆輸入”的に「再発見」され、都合良く使い続けるうちに、私たち日本人自らが「使い倒した」感のある、「和」というキーワード。しかしながら、これからも向き合い続けなければいけないこのキーワードについて、新たな方向性を感じさせる空間に出会いました。
変化の著しい東京という地において、「いま・ここ」という現実的に求められる「現代性」と「時代性」、旅館という出発点からつづく「もてなし」、日本人にとって納得のいく「日本らしさ」を兼ね備え、ホテルという形で表現した「庭のホテル 東京」。東京都・JR水道橋駅からわずか徒歩3分、隣にはビジネスホテルのホテルチェーン「東急ステイ水道橋」という立地です。
今回、お話をうかがったのは代表取締役の木下彩さん。
「昭和10年、私の祖父がこの場所に『森田館』という旅館を開業したのが始まりです」。その後、時代の移り変わりとともに木下さんの父へと引き継がれ、「森田館」は、ビジネスホテル「東京グリーンホテル」に。「戦前からの日本旅館を受け継ぎ、父も『このままでいいのだろうか』との思いで、ビジネスホテルへの転換を決めました」。
そして17年前、先立った父の後、ホテルを切り盛りしていた母が他界した後、創業者孫娘の木下さんが経営を託されましたそれから10年ほど経ち「東京グリーンホテル水道橋」(現在の庭のホテルの場所)の建て替えを考えるようになったそうです。
「これからの時代、ビジネスホテルの業界では、ますます厳しくなると感じていました。高級から低価格まで、新しいホテルが続々とオープンし、また大手ホテルチェーンのスケールメリットにも差をつけられるとなると、土俵を変えるしかない、と」。そこで木下さんが「ではなにを?と考えた時に、祖父からの日本旅館の伝統と、ここ三崎町が歴史的にも意味のある場所だったということを活かそうと思いました。幼いころは、住んでもいましたが土地の歴史的な背景を知らなかったんです」と笑って答えてくださいました。
東京の主要観光地には電車の移動で30分以内、乗り換えも少ない水道橋の立地に、特色のあるホテルを・・・という思いから生まれたコンセプトが「美しいモダンな和」。
木下さんの考えは「外資系ホテルにも同じコンセプトはありますが、日本人から見て違和感を感じさせるものだと思っていました。ですから、日本人にとっての和を創ろう」というものでした。
「グリーンホテル時代からおつきあいのある設計事務所さんと、コンセプト作りから何年も話し合いを続けた」という「庭のホテル 東京」は、構想から約5年以上の歳月をかけ2009年に完成。
「既存のシティホテルとビジネスホテルの間をいく存在を目指しました」。「和といっても、京都的な“旅館すぎる”ものではなく、江戸のすっきりとした粋な和のインテリアを。今の時代に生きている人の感覚に合い、使い勝手のよいものをそろえ、国内外のお客さまのライフスタイルを変えずに『日本らしさ』を感じさせるホテル」が、実現しました。
その意識を反映してか、「庭のホテル 東京」は海外からの利用客も多く、その割合は4割以上にものぼるそう。開業わずか半年で評価された昨年に引き続き、「ミシュランガイドガイド東京・横浜・鎌倉2011」では2年連続で「快適なホテル」を表す二つ星を獲得。
そして意外なことに「お客さまは、東京都在住の方がかなり多いんです」という木下さん。東京に住まいながら、それでもこのホテルに滞在したいというその魅力は、庭のホテルならではの「和」の、いったいどこにあるのでしょうか?
庭のホテル東京
東京都千代田区三崎町1-1-16
TEL 03-3293-0028
FAX 03-3295-3328
○JR中央線・総武線(水道橋駅東口) 徒歩約3分
○都営三田線(水道橋駅A1出口) 徒歩約5分
○都営新宿線、東京メトロ半蔵門線(神保町駅A5出口) 徒歩約8分
詳しくは公式HPへ http://www.hotelniwa.jp/
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(文:宮内 有美 / 更新日:2011.02.23)