nendoがデザインした
「階段」が適度な繋がりを生む二世帯住宅
デザインオフィスnendoから15年ぶりとなる個人住宅作品「階段の家」のニュースレターが届きましたのでご紹介します。
東京の閑静な住宅地に建つ住宅をデザインしました。「階段」が適度な繋がりを生む二世帯住宅です。
敷地の周囲に住宅やアパートなどが建て込んでいることから、建築のボリュームを敷地の北側にぐっと寄せて南側に庭を確保し、南面をできるかぎり大きく開くことで採光や通風、そして庭の緑を積極的に生活空間に取り込むことに。
そして、こうした配置計画によって先代から愛されてきた既存の柿の木を残すことが可能となりました。
階段の上り下りの負担に配慮した結果、高齢の両親の住まいは1階に配置。
そして夫婦と子供の三人家族は2~3階で暮らすことに。これによって、両親と一緒に暮らす8匹の猫たちが内と外を自由に出入りしやすくなり、母の趣味である庭の植栽の手入れと鑑賞が手軽に楽しめるようになりました。
このとき、二世帯が上下に完全分離をされてしまうことが懸念されたため、南側の庭を一部「階段状」にし、1階から3階までを貫くように建築内部に引き込むことで、「階段」の内側には水回りや上下移動用の階段といった機能的要素がコンパクトに収められています。
上部は緑の豊かな温室のような半屋外スペースとなり、高い場所に登るのが大好きな猫たちにとっても格好な日向ぼっこの場所となります。
そして、この階段と緑によって上下階が斜め方向に緩やかに繋がるようになり、三世代の家族みんながお互いの気配をそれとなく感じながら過ごせる空間が生まれました。
この階段は「内部と庭」そして「家族同士」を繋ぐのにとどまらず、地上では南側の私道と接続しながら外へ伸びていき、上部はトップライトを経由して空へと吸い込まれていくことで、周囲や街とも緩やかに繋がっていくような、そんな、広がりのある建築となることを意識しました。
Casa BRUTUS「MY HOME 2020」2020年2月号に掲載
Casa BRUTUS「MY HOME 2020」にて、nendoが手掛けた個人住宅「階段の家」を取り上げていただきました。nendoが15年ぶりに手掛けた個人住宅「階段の家」について、Casa BRUTUSの住宅特集「MY HOME 2020 家をデザインするということ。」にて20ページを超える特集で掲載いただいています。
Casa BRUTUS「MY HOME 2020」
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Casa BRUTUS(カーサ ブルータス) 2020年 2月号 [家をデザインするということ。]
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(文:制作_インテリア情報サイト編集部-2 / 更新日:2020.04.02)