2012年春の開業が待ち遠しい、東京スカイツリー。これからますます発展しそうなこの周縁エリアが、「EAST TOKYO」として、いま注目を集めています。これまで、TOKYOといえば渋谷区や港区など西側エリアが文化の中心として牽引してきましたが、飽和状態となった今、建築家・アーティスト・デザイナーなど、あえてこの「EAST TOKYO」へ移るクリエイターが増えつつあるといいます。
そこでインテリア情報サイトでは、東京スカイツリーのお膝元であり、隅田川沿いの蔵前に、今年5月11日オープンした「EAST PROJECT "Mirror"」を取材、オープンから数ヶ月を経た今なお、多くの人が訪れる同施設についてお話をうかがいました。
かつて山野楽器の倉庫兼事務所として使用されていた築40年の7階建てビル全フロアを借り上げ、全面リノベーション。「企画や設計、家具の買い付けなどのインテリアデザインまで、すべてを自社スタッフで行っています」とは、このMirrorプロジェクトを運営する「バルニバービ」取締役・デザイン企画開発室ディレクターの中島邦子さん。1、3Fのリバーサイドカフェ「Cielo y Rio(シエロ イ リオ)」、3Fのレンタルギャラリー「EAST Gallery」、そして8月4日にオープンしたばかりの卓球サロンバー「RIBAYON(リバヨン)」とさまざまな業態の店舗が入る、このMirrorのインテリアデザインのコンセプトは、「川のそばということを意識して、くつろぎ感のある空間を作りました。布や木などナチュラルな質感を持つ素材を使って、やわらかさを感じられるように」と中島さん。「お客さまの視点に立って、人がくつろげるためのデザインを考えました」。
「いわゆる“インテリアのためのインテリア”や、“ディスプレイのためのディスプレイ”というものが苦手で」と笑う中島さん。「パリのアトリエなどに見られるような、“人が存在して成り立つ空間”を作りたいと思っています。それは、穴埋め的にモノを置くのではなく、モノがセンスよく置かれていて、全部に必然性があり意味がある空間です」。
東京都内に11店舗、関西エリアに16店舗を展開するバルニバービ。「私たちがプロデュースする店舗は、全店コンセプトが異なり、インテリアも同様に雰囲気が異なります。それは、その土地の特性やお客さまがそれぞれ違う、という考えが先にあるからです」。今後、アートも扱っていくMirrorは、「アートに興味がありそれを目的として訪れるお客さまでもありますから、くつろぎだけではいけないとも思います」。
「くつろぐのが目的だったら、家にいれば充分ですよね」と、中島さん。そこでMirrorが提案するのは、「意識させないデザイン性も必要」。中島さんの考える空間は、「すべて手作り、すべてアンティーク、は居心地がいいと思わないんです。所々に、パキッとした部分がほしくなります。美しいところは美しく、抜けているところには、味のあるものを。常にバランスを考えています」。
「決めすぎた空間ではなく、かわいさや笑える部分を作り、なんとなく『ふっ』となるところがほしくなります。そして、既製品・別注・アンティークを使いながら、各所に自由さ“allowance”を置いています」。それぞれに異なるコンセプトやテーマのある店舗を抱えるMirror。運営するバルニバービも「私たちは、店舗としてなかなか人が目をつけない立地や建物を、自由にリノベーションしプランする事を得意とし、面白いと考えています。Mirrorも、かつて倉庫だった建物、隅田川沿いという立地の特性を活かし、大きなスケールで街の空気感を変えていきたいと思っています」と中島さん。「Mirrorができたことで、『おもしろい』と反応があり次々と出店が増えるのは、とってもうれしいことです」とお話くださいました。
次は、Mirror各フロアのそれぞれのインテリアへのこだわりをご紹介します。
EAST PROJECT "Mirror"
運営:株式会社バルニバービ
HP:http://www.balnibarbi.com/
リバーサイドカフェ「Cielo y Rio(シエロ イ リオ)」
営業時間:11:30 - 23:00 / Mon - Fri
9:00 - 23:00 / Sat,Sun,Holiday
卓球サロンバー「RIBAYON(リバヨン)」
営業時間:19:00 - 26:00
(文:制作_インテリア情報サイト編集部-1 / 更新日:2011.07.20)