前回まで、「茶室」における光について考えてみました。そこでは太陽の光は白い障子紙や竹、蘆などを組んだ下地を通り抜け、柔らかく拡散しながら、穏やかに空間を演出していました。
今回からは、それとは対照的な光のあり方として、中世ヨーロッパの「ゴシック教会におけるステンドグラスの光」について取り上げてみます。同じ「光の空間演出」といっても、こちらは茶室の光などよりずっと主張が強く、光自体が主役、といってもいいかもしれません。
神秘の光、ステンドグラス
皆さんは教会でステンドグラスを見たことはありますか?ステンドグラスを透過した光が床に色とりどりの影を落とすさまは神秘的で、私たちを魅了します。もちろん日本の教会でも見られるのですが、中世ヨーロッパのゴシック大聖堂の天井高は高いもので40m以上。全く規模が違います。目も眩むほど鮮やかな光が、そんな途方もなく高い窓から降り注ぐ…キリスト教徒でなくたって、想像するだけで思わずひざまずきそうな気分になってきますね。
気の遠くなるほど精巧な図案で埋めつくされた、大聖堂のステンドグラスの色彩を見ていると、単なる美しさへの希求以上の、何か執念のようなものさえ宿っている気がしてきます。なぜ、こんなにも見る者を圧倒するようなステンドグラスが必要だったのでしょうか。
ステンドグラスの最盛期はゴシック時代
ステンドグラスは5世紀頃には作られていたとみられていますが、最も美しいものが多く作られたのが、およそ11〜14世紀頃の中世の時代です。
この時代にあちこちで建てられた大聖堂は「ゴシック様式」と呼ばれ、それまでのロマネスク様式のものと比べると、建築技術が飛躍的に発展しています。フライング・バットレスなどの技術が発明されて壁はより薄く、天井はより高くなり、大きな窓を作れるようになりました。また鋳鉄の技術の発達によって、複雑で自由な形状の窓枠が作れるようになり、ステンドグラス自体の表現も洗練されてきました。その結果、色鮮やかな光で飾られた、圧倒的な祈りの空間が誕生したのです。
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次からは、ゴシックの大聖堂におけるステンドグラスの、そして光そのものの役割について考えていきたいと思います。
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(文:maki / 更新日:2012.10.05)