【インタビュー】 世界に挑戦し続ける日本企業 Vol.4 「ACTUS」

アクタスには撮影・編集・コピーライト・グラフィックデザインを全て社内スタッフが行っている「ACTUS STYLE BOOK 」という書籍があります。1997年よりスタートしたACTUS STYLE BOOKは、中身はカタログといえばカタログなのですが、全頁インテリアコーディネートされたスタイリングページで、オールカラー240ページというボリュームで350円(税込)という価格で販売もしていました。これはインテリアの面白さ、生活の楽しさ、型にはまらず自分らしく暮らすことのすばらしさを伝えたい本です。というコンセプトのもと、不定期刊行にて現在Vol.9まで発刊しています。発刊当初は、カタログは無料という概念が強く、インテリアショップがカタログを発売していると話題にもなり、一部一般書店でも販売していました。
 


ACTUS STYLE BOOKから



 

日本のインテリアはやっとここまできました

ACTUS STYLE BOOKとは別に2012年10月に一冊の本が発売されました。アクタススタッフのリアルなコーディネート実例として、スタッフの自宅(日常のライフスタイル)を切り撮った『123人の家 vol.1』です。発刊までの約1年半をかけて、全国のアクタスで働くスタッフのご自宅を撮影・取材して1冊にまとめた本です。「ACTUS STYLE BOOK 」の編集担当責任者自ら、アクタススタッフの自邸に出向き、ありのままの生活=インテリアを写し出したこの本は、一般読者はもとより、同業種他業種からも多くの反響がありました。

 





海外での反響も大きく、海外出張の度にこの本を持参している休山さんは、海外のデザイナーやインテリアメーカーのオーナーに見せて、「日本人の暮らしはこんなにクール(かっこいい)なんだね」と必ず言われるそうです。日本のインテリアをちょっと上から目線でみていた欧米人にとっては、日本人の住空間は貧しいと思っていたのに、この本に掲載されている日本人の暮らしぶりを見て、考えを改めたようです。
 


 



その後、2014年6月に第2弾を発売し、累計で18万部を売り上げて、2017年には第3弾も発売されました。

3弾までの発刊の5年間で、大きく変わったのが、「リノベーション」というインテリアを躯体から楽しんでいくスタイルです。日本は今、総住宅戸数が総世帯数を超える「住宅過剰社会」となり、「ストック住宅」と呼ばれる既存住宅の活用が社会的な課題となっています。取り壊すのではなくそれをうまく活用したいのですが、古い間取りや内装のままでは、今の時代の暮らしに合いません。特に70年代、80年代に建設された日本の住居は間取りを細かく区切る設計が多く、開放感を感じるのは難しい。ですが、リノベーションで空間はよみがえります。アクタスは、置き家具というエキップメントの分野だけではなく、以前よりシステムキッチン、システム家具などを取り扱い、2016年には、住宅インフィルそのものにも事業幅を拡げたアクタス・リノベーション「HOW」も立ち上げています。


また、「100年企業」という新たな目標に向かって、新しいストアコンセプトも必要です。アクタスはその準備をすでに始めているようです。建物の再生も必要ですが、お買い換えで不要となって引き取った家具を、素材ごとに分別して、再び資源として再利用するシステムといった「エコ・ループ*8」の活動にも積極的にも取り組んでいます。

*8 アクタスでは、不要になった家具(他社製品含む)を引き取りし、家具と包装資材をすべて再生化する活動に取り組んでいる。回収した古い家具や包装材を素材別に分解分別し、リサイクル化を推進。2016年には全物流・配送拠点でのゼロエミッション(廃棄物ゼロ)を達成。



一般人も気が付き始めたインテリアの大切さ

日本では伝統的に「もったいない」という観念・考え方をもっています。戦前の日本はモノを大事にしながら丁寧な暮らしをしていました。ですが、敗戦でアメリカの統治国家となった日本の若者たちは、そこから大量にモノを消費することを美徳としました。モノの価値観が180度変わった瞬間です。明治時代に生まれた親たちからはモノを大事にする「もったいない」という教育をうけ、社会からはもっと消費をしようと呼びかけられ、大量消費をしながらモノは捨てられない、モノであふれた生活を長年続けていました。これが、親世代の「実家の断捨離」という負の遺産です。

 

 


https://www.actus-interior.com/

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(文:KEIKO YANO (矢野 恵子)  /  更新日:2021.04.19)

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