ゾウのうんちをリサイクルしてできた「ぞうさんペーパー」や「ぞうさん緑化マット」など、「自然の素材を伝統的な製法で売る」ことを基本にしながら、オリジナリティにあふれる商品を「作る・売る・発信する」ミチ・コーポレーション代表の植田紘栄志さん。今回は、ユニークなアイデアを商品化し、ビジネスとして成立させる植田さんの人物像に迫ります。
1971年、岐阜生まれの植田さんは、20歳の時にオーストラリアへ留学し、豪州ウイリアムス・ビジネスカレッジを卒業。学生時代には、様々なアルバイトを経験し、帰国後は商社で貿易に関するノウハウを身につけました。1997年に現在の前身となる有限会社ミチ・コーポレーションを設立。同社は2001年に株式会社となり、今年で10年目を迎えます。
「なぜゾウのうんちをリサイクルに?」「なぜスリランカという国でビジネスを?」植田さんに伺いたいことはたくさんありましたが、お話を伺い、真っ先に感じたことは、〈目的(商売)ありき、ではないスタンス〉でした。
「ぞうさんペーパー」「ぞうさん緑化マット」を作るきっかけとなったスリランカ。この“遙かなる”国とのつながりは、ひょんなことから始まったそう。駅で出会ったスリランカ人に「お金を貸してほしい」と頼まれ、貸した植田さんは、後に友人としてそのスリランカ人の結婚式参加のため、スリランカを訪れました。
この時に目の当たりにした、ジャングルの中のゴミの山がきっかけで、ペットボトルリサイクル事業を開始し、現在に至ります。スリランカとの出会いから始まり、偶然や体験を通して生まれ、次々と展開されるミチ・コーポレーションのオリジナル商品。「僕たちの商品やそのアイデアは、会議で決定したものではなく、旅先の出会いなど移動した距離の末にあると思っています」と植田さん。スリランカは、渡航勧告が出る国でもありますが「日本で言うなら青山や原宿。世界で言うなら上海など、みんなが行っている場所には、みんなが知っている情報しかありません。スリランカが知られてないところであればあるほど、僕にはプラスになるんです」と。
「僕は営業がヘタなのですが、ものづくりのビジネスでは、発信できるアンテナがあればいいと思っています。発信して、『わかってるな』と思う相手に提案していきたいんです」。まず、「自分のやりたいこと」などを熱烈に語る風でもなく、飄々と語る植田さん。一貫してこだわる「自然素材を伝統製法で作る」というスタンスも、「いいもの・おいしいものを僕らが見つけてそれを引っ張っり上げて、発信して。それをお客さんがよろこんで買ってくれる表情も見たいと思いながら、ものづくりをやっています」という思いも。
植田さんは、ビジネスにおいて〈ものづくりありきのスタンス〉を守りながら、ご自身の体験と実感をとても大切にしている方だと感じました。
次回は、ミチ・コーポレーションの独創的なものづくりについてクローズアップします。
公式HP http://www.michi-corp.com/
(文:宮内 有美 / 更新日:2011.03.20)