家の根幹に、数寄屋に代表される美意識とそれを具体化する素材と技術を置いています。
伝統や美に対する感受性は日本の重要な資源。しかし過去を振り返ってこれを守るのではなく、未来に向けて運用できる技量が必要になります。国内に多くの森を持ち、木材を環境形成の基点に置く住友林業の思想の延長に、杉本博司が提案するのは、中古マンションにも適用できる「数寄の家」と、利休の「待庵」を本歌とする茶室「雨聴天」です。伝統を未来に活用する素材運用の妙味にご注目ください。
住友林業
1691年(元禄4年)の創業以来、山林経営、木材建材の製造・流通事業、住宅事業、リフォーム、その他住生活に関するあらゆるサービスを木を介してグローバルに展開している。CSR(企業の社会的責任)が着目される遥か以前より「保続林業」の理念のもと、持続可能な社会の実現に貢献している。
杉本博司
Hiroshi SUGIMOTO
現代美術作家
1948年生まれ。70年立教大学経済学部卒業。74年よりNYを拠点に写真制作を開始。作品制作の傍ら古美術商も経験し、その後も収集を続ける。08年設計を手掛ける新素材研究所設立。主な作品に『海景』『劇場』など。主な個展に「杉本博司:時間の終わり」「歴史の歴史」など。主な建築作品に「護王神社」「IZU PHOTO MUSEUM」など。ハッセルブラッド国際写真賞、高松宮殿下記念世界文化賞、紫綬褒章など受賞・受章多数。
日本人特有の伝統や美に対する感受性を、改めて誇りに思う住まいの提案です。
(文:KEIKO YANO (矢野 恵子) / 更新日:2013.03.14)