家を支える構造体として柱や壁を考えるのではなく、
家具がそのまま家を支える構造体になりました。
収納については、数千アイテムの生活用品で暮らしを考え続けてきた無印良品には、緻密でよく練られた知恵の蓄積があり、磨かれてきたモジュールがあります。建築家、坂 茂は課題と答えを最短距離で結ぶところに独創性を発揮する明快な作風で知られています。収納家具そのものを建築を支える柱と考え、空間も資材もいっさい無駄なく家に仕立てていくという端的な合理性に立脚した住宅です。
無印良品
1980年「わけあって、安い」をキャッチフレーズに消費社会へのアンチテーゼとして誕生した。生活に本当に必要なものを、本当に必要なかたちでつくることを商品開発の基本としている。また生活美学を大切にするという視点から「感じ良いくらし」を探求し続けている。『無印良品の家』では、「永く使える、変えられる」をコンセプトに、住まい手が自在に暮らしの形を編集できる丈夫で可変性に富んだ家を提案する。「家具の家」は「木の家」「窓の家」に続く新しい無印良品の家となる。
坂 茂
Shigeru BAN
建築家・京都造形芸術大学教授
1957年生まれ。83年クーパー・ユニオン建築学部卒業。82年磯崎新アトリエ勤務。85年坂茂建築設計設立。95~2000年国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)コンサルタント。2001~09年慶應義塾大学SFC教授。2010年ハーバード大学GSD客員教授。主な作品に「カーテンウォールの家」「ハノーバー国際博覧会日本館」「ポンピドーセンター・メス」など。日本建築学会賞作品賞、芸術選奨文部科学大臣賞、フランス芸術文化勲章など受賞・受章多数。
マンションを売りだす時、収納家具が間仕切り壁であればリフォームが容易にできます。フレキシブルで無駄のないスッキリとした合理的な住宅が可能です。
(文:KEIKO YANO (矢野 恵子) / 更新日:2013.03.14)